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マシだった気がする  作者: kinpo


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第3話


深夜のコインランドリーは、音が多い。

回っている。

乾いている。

終わりかけている。

終わらない。


俺は椅子に座る。

前回、金属だった。

冷たかった。

だから今日は、プラスチック。

判断は改善されている。

実行もする。


それでも、冷たい。

なるほど。

室温の問題か。

前回のほうが、まだマシだった。


洗濯機の残り時間を見る。

あと三分。

信用しない。

こういう表示は、だいたい延びる。

だから、立たない。

待つ。


隣の乾燥機が止まる。

女が来た。

見覚えがある。

たぶん。

時間帯が同じだ。

生活圏が重なっている。


彼女は洗濯物を取り出す。

丁寧だ。

急いでいるのに、急いでいない。

コンビニと同じだ。

なるほど。

今回は、家だな。


俺の洗濯機が止まる。

予定より遅い。

予測は当たった。

嬉しくはない。


立ち上がる。

膝が鳴る。

前回も鳴った。

反省はしない。

鳴るものは鳴る。


彼女が言う。

「乾燥、もう一回かけようか迷ってて」

なるほど。

迷っているというより、決めたくない。


「少し湿ってるなら、やめたほうがいいです」

俺は言う。

理由は説明しない。

説明すると、長くなる。

長くなると、だいたい間違う。


彼女は少し考える。

考える時間が、洗濯物より長い。

それが答えだ。


「やめます」

そう言って、袋に詰める。

角が合わない。

無理に押し込む。

小さな失敗。

反省はしない。


俺は洗濯物を取り出す。

靴下が一枚、床に落ちる。

拾う。

知らない埃がつく。

前回はシャツが落ちた。


彼女は先に出る。

ドアの前で振り返る。

何か言いかけて、やめる。

その判断は、正しい。

一手遅れて。


「雨、降りそうですね」

俺は言う。

分かっている。

今、重要なのはそこじゃない。


「そうですね」

彼女は笑う。

笑う理由は、分からない。

分からなくていい。


外は降っていない。

それも、よくある。


《これは、誰も生き残る必要のない話である。》

(乾燥は足りないくらいがちょうどいい)

洗濯機の中で、水音だけが続いていた。

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