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【完結】笑顔の破壊力が物理的な破壊力!〜世界最優の兵器は、少女の笑顔でした〜  作者: ぽこむらとりゆ


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笑顔の破壊力 lv.121

「よし! じゃあ王宮にワープするよ」


 ゼンが指をパチンと鳴らすと、私達は王宮の食堂にいた。


「もう十三時だ、皆お腹空いてるでしょ? 食べながら話そう」


 ゼンは、食堂の時計を指さした。


 裁判の話を、食事をしながらするらしい。


「私はお腹がペコペコです……」


 オルレアは、倒れそうな様子で椅子に座った。


 私の体の心配をしてくれていたが、一番大変だったのはオルレアだ。相当疲れただろう。


 私達がそれぞれ席に着くと、扉が開き、魔人達が食堂に入ってきた。


「もう帰ってきたのかよ! てっきり何日もかかると思ってたぜ」


 ジェットは相当驚いているようだ。


「ルルさんを呼び戻すと息巻いて出て行ってから、四時間程しか経ってないですね」


 イシスが言うと、


「息巻いてじゃなくて、意気込んでなんだろ? それで、そのルルはどこなんだろ?」


 グランは私達がいるのに、ルルがいない事を不思議に思っているようだ。


「まあ、とりあえず座ろうよ」


 ゼンが三人を促すと、魔人達は大人しく座った。


 魔人達が席に着き、料理が運ばれてくると、皆食べ始めた。


「では、先日行われた裁判についてですが、サモラ王国の国王と王妃に関しましては、地位を剥奪し、オルカラ王国の地下窂での無期刑となりました」


 ダンが、裁判の結果を私達に共有した。


「ダン、何か言い方が変じゃねえか? 国王と王妃に関してはって、他にも裁かれた奴がいるみたいじゃねえか」


 ジェットがダンの言い回しを指摘する。


「首謀者は国王と王妃だけど、脅されていたとはいえ、直接動いた魔法師団もお咎めなしとはいかないからね、表面上、労役(ろうえき)の刑を言い渡したよ」


 ジェットの疑問にはゼンが答えて、続けた。


「実際オルカラ王国の被害は甚大(じんだい)だからね。魔法師団員達には、生涯オルカラ王国の為に働いてもらうって事で、サモラ王国とは話がついているんだ」


 サモラ王国の国王と王妃は地位を剥奪された、という事は、王子であるタキ・サモラが王位についたのだろう。


「ゴウカの人々の事を考えると素直に喜ぶ事は出来ないが、魔法に秀でた国の魔法師団を味方につけられたのは、オルカラ王国にとってプラスになりそうだな」


 アークが複雑そうな表情で言った。


「もう察しているだろうけど、サモラ王国の王子だったタキ・サモラがサモラ王国の新国王になったよ。反乱を企てていたから、色々資料も持っていて、国民の支持を集めるのが簡単だったのは、本当にありがたかったなあ」

 

 ゼンは、サモラ王国に行った時のことを思い出しているのか、目を瞑り、嬉しそうに言った。


「コホンッ」


 とダンがわざとらしく、自身に注目を集める。


「オルカラ王国とサモラ王国は無戦協定に加えて、友好条約をオルカラ王国側に有利な内容で結びました。タキ様が即位された事で、特に結ぶ必要はなかったのですが、あちらがどうしても、という事で承諾致しました」


 と言ってダンはニッコリと笑った。


「裁判について言う事はもう無いかな。次は君たちが気になっている、ルル様についてだけど」


 ゼンが魔人達の方を見て言い、先程までゴウカの神殿で行われていた事を話した。


 聞き終わった魔人達は、少し驚いた様子で黙り込む。


「凄い事をしていたんですね。神を呼び出すだなんて……お願いも無謀なものが多かったように思えますし、それをよく短時間で終わらせましたね」


 イシスが感心したように言うと、


「無謀じゃなくて、無茶なんだろ? グランも不可能なお願いに感じるんだろ?」


 イシスもグランも神の子達のお願いは、叶えられないものだと思っているようだ。


『普通』であれば、絶対に叶えられなかっただろう。


 だが、こちらにいたのは大層な称号を持つ者ばかりだった。


「それにしてもよ、『名もなき木』と『名もなき果実』ってなんだよ。何で名前つけねえんだよ。その実の効果がなんなのかもわかんねえし、謎すぎんだろ」


 ジェットは不思議そうに言った。

 

「確かに、その実が凄いものって事しか聞いてなかったな」


 アークがジェットに同意した。


「名前、ですか……わたくし共も、木に名前をつけようと試みた事はあったのですが、木を前にすると何も浮かばないのです。なので、『名もなき木』が名前のようなものになっております」


 ダンが困ったように言った。


 魔法なのか、木そのものの力なのか、木に名前をつける事が出来なかったようだ。


 神聖なものなのだろうか。


「実の効果は、『人それぞれ』だよ」


 ゼンが楽しそうに言った。


「人それぞれとはどういう事でしょうか」


 オルレアが聞くと、


「その言葉通りです。食べる人により効果が変わります。今回はリリ様がどんなお茶にでも合うお菓子を望まれていましたので、そのような効果が出たのです」


 とダンが答えた。


 そんな都合の良いものが存在するとは。


「ちなみに、ぼくが食べると味が物凄い勢いで変わっていって色んな味が混ざり過ぎて美味しくなかったよ。ダンが食べた時は死にかけてたね」


 ゼンはその時の事を楽しそうに話した。


 ダンが食べた実は、猛毒にでもなっていたのだろう。


「リリ様には明確なイメージがあったから、これしか無いと思って出したけど大正解だったね。本当に良かったよ」


 ゼンは勘が良いのか、経験によるものなのか、色んな事を知っていて、間違えることが殆ど無い。


 ゼンがいてくれて良かったと何度思った事か。


「そんなに皆さんで頑張ったのに、結局ルルさんを引き連れて帰ってくる事は出来なかったんですね。ボクも会えると思ってたんで、少し残念です」


 イシスは、真顔で落ち込んだような声を出す。


「引き連れてじゃなくて、連れてで良いんだろ? 数十年後にこの世界に帰ってくるなら、その時に挨拶すれば良いんだろ?」

 

 グランはイシスに笑顔で言った。


 ルルに会えるのは随分先の話になるけれど、必ず会える。


 それは楽しみで仕方ないが、使命が無くなった私は、これからどうしたら良いのだろう。


「レイル様は、ご自身がしたい事をして良いのですよ」


 私の表情を読んだらしく、ダンが優しい声で私に言った。


 私のしたい事……やってみたい事はある、けど……。


「ありがとうございます。考えてみます」


 私はダンに笑顔を返す。


「これからの話か? この国も色々と変わるだろうし、俺らも今までみたいにはいられないよな。俺もちゃんと考えるか」


 そう言ってアークは、真剣な表情でこれからについてを考え始めた。

 

 もう皆デザートも食べ終わっているが、食堂に残りお茶を飲みながら話している。

 

「ぼく達は、この世界を救ったんだ。多少のワガママは国が聞いてくれるだろうから、どんな事でも言ってみると良いよ」


 ゼンはアークに向かって言った。


「ルルさんが安心して帰って来られる場所を作らないとですね」


 オルレアはこちらに笑顔を向ける。


 ただ家にいるだけでは無く、ルルが帰ってきた時に私は頑張っているんだと、堂々と言えるようにしたい。


「そうだね。久しぶりに会うルルを心配させるわけにいかないよね」


 私は、だらし無い生活を送る私を見てプンプンと怒るルルを想像して、笑顔がこぼれた。


 

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