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【完結】笑顔の破壊力が物理的な破壊力!〜世界最優の兵器は、少女の笑顔でした〜  作者: ぽこむらとりゆ


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笑顔の破壊力 lv.116

「ぼくも今まで、神の召喚なんてした事が無いからどうなるかはわからないけど、最善と全力を尽くすよ」


 ゼンは意外にも、あまり自信がないようだ。


 それを聞いて、アークが驚いたような表情をし、


「神の召喚……って、神託みたいに声だけで話すんじゃないんですか?」


 と言ってゼンを見る。


「神と話さないといけないのはレイルちゃんでしょ? ぼくだけに聞こえても意味がないんだよ」


 ゼンはアークに言った。


 私の為に、ゼンとオルレアが力を尽くしてくれる。


 絶対に、神との交渉を成功させなければならない。


 ゼンは、食堂に置かれたピンクの時計をチラッと見て、


「もう八時四十分だ。あと、二十分で九時だね。話はこの辺で終わりにしてぼくらは準備に取り掛かるよ」


 と言って、ダンと目を合わせる。


「では皆様、九時にお迎えに上がりますので、準備をよろしくお願い致します」


 ダンが言い終わると同時に、ゼンが指をパチンと鳴らし、二人は消えた。


 私とオルレアも朝食を食べ終わり、魔人達に鼓舞(こぶ)されながら食堂を出て、部屋に戻った。


 私はすぐにキュインをし、バッグを見つめる。


「ねえオルレア……戦闘服着ない? 今日は気合いを入れないといけない気がする……」


 私はオルレアに聞いた。


「戦闘服ですか? 私は先程、レイちゃんが着られるつもりで大神官様に質問したのだと思っていました」


 そう言うオルレアを見ると、既に戦闘服に着替え終わっている。


「はははっ! 流石オルレアだね」


 私はバッグから戦闘服と靴、腰袋を出し、急いで着替えた。


 戦闘服を着ると、背筋が伸びる気がする。


 気持ちもシャキッとして、やる気が出てくる。


 コンコンッと扉が鳴ると、


「大神官様がいらっしゃいました」


 とジェイナの声がした。


 時計を見ると、丁度九時をさしている。


 私が返事をすると、扉が開き、ゼンが笑顔で入ってきた。


「豪華な部屋だね、羨ましいなあ」


 絶対に思っていない、羨ましいという言葉に笑いが込み上げる。


「見て、ぼくも戦闘服を着てきたんだ。やっぱり、気合いを入れないといけないよね。君たちが着ていてくれて嬉しいよ。じゃあ、早速行こうか」


 ゼンは満面の笑みで言った。


「そういえば聞いていませんでしたが、どこに行くんですか? やはり、大神殿ですか?」


 オルレアが聞くと、


「いや、今日は、ゴウカに行くんだよ」


 と言って、ゼンは指をパチンと鳴らした。


 気がつくと、私達は地面に降り立っている。ゼンのワープは見事としか言いようがない。


 どうやらここは、ゴウカの中心辺りのようだ。


 周りを見回すと、家が沢山建ち並び、街になっている。


「これは、お父様が言っていた、大神官様が建てられた家……ですよね」


 オルレアが呟いた。


「ヴェルデは人使いが荒いよね。『建築用木材の森』を一方的にぼくに押し付けてきたんだよ! 別に大変な作業でもないんだけど、もう少しぼくを(うやま)うべきだよ」


 そう言いながらも、ゼンは得意げな表情をしている。


 褒めて欲しいのだろう。


「本当に凄いですね。普通こんな短期間で街なんて作れないですよ」


 私が言うと、ゼンはニコニコと笑い、


「そうなんだよ、ぼくって何でも出来ちゃうんだ。そんなに褒められたら、次は神の召喚を成功させるしかないね」


 そこまで大袈裟に褒めてはいないが、ゼンには効果があったらしい。


「おお! すごいな! 街ができてるぞ! でも何で家に色が無いんだ?」


 アークとダンが、ワープで私達の前に現れた。


 アークも私達同様、戦闘服を着ている。


 ダンがワープを使う所を見た事がないのに、二人はワープで来た。恐らくアークが持っているらしい、『私の元へワープする魔道具』を使ったのだろう。


 どこかに発信機でも付けられているのだろうか……。


 アークが言うように、ゴウカの街に建てられた家々には、色が無い。正しくは、全て木の色だ。


「ぼくがやるのは家を建てるだけだよ。色は実際に家に住む人が自分で塗るんだ」


 ゼンは、一番近くの家を指さして言った。


 自分で自分の家の色を決められる……すごく楽しそうだ。


「こういう時は、基本的にヴェルデ様が『建築用木材の森』を放置し、一方的に役目を振られていますので、建てるだけで精一杯なのです」


 ダンが街づくりの裏話を私達に言うと、


「もちろん、まだまだ余力はあるんだけどね。この規模の街を作るのは、ちょーっとだけ疲れるんだよ。色を塗って欲しいって人がいるなら喜んで塗るよ? でも、殆どの人は自分で塗りたいって言って、ぼくの手伝いを必要としないんだ」

 

 ゼンは言い訳のように言ったが、ゼン程の魔力量があっても、一度に大規模な魔法を使うと疲れるのは当たり前だ。


 自身がこれから住む家を、好きなように塗りたい気持ちもわかる。人に塗ってもらうよりも愛着が湧きそうだ。


「そういえば、何で神を召喚するのにゴウカなんですか? てっきり大神殿に行くものだと思ってました」


 アークが疑問を口にする。


「ゴウカにも神殿を作ったんだ。他の神殿みたいにしっかりしたものでは無いし、色もないけどね。ゴウカの状況を見て、神が少しでも同情してくれたら儲けものだよ」


 そこからゼンは、神と話す方法の説明を始めた。


 場所は、ゴウカの神殿の地下にある、祭壇(さいだん)が置かれた小さな部屋で、特に部屋の名前は無いが、イチノの大神殿でゼンが毎日祈りを捧げている部屋と同じ造りにしてあるらしい。


 大事な部屋であれば名前がありそうなものだが、実際、部屋は形だけで、お祈りに必要なのは場所や祭壇では無く、神聖力と信仰心(しんこうしん)らしい。


「信仰心と言われても、今から入信出来るものなんですか?」


 私は、少し不安になりながら聞いた。


 私の言葉に、ゼンは一瞬ポカンとした表情になり、


「ははははっ」


 と笑い始めた。


「ごめんね、ぼくの説明が足りなかったよ。信仰心って言うと硬く感じるよね。神殿の所属になったり、何かに入信しないといけないという意味じゃ無くて、ただ、ルル様の父、『神』の存在を信じるだけで良いんだ」


 ゼンはそう優しく言うと、私と目を合わせニコッと笑った。


 神の存在を信じる。この世界に来る時に神の存在を感じた私は、信じるも何も、神は居ると言い切れる。


 ゼンとオルレアは神職についていることから、神の存在を疑いはしないだろう。


 問題は、アークとダンだ。


「わたくしは、神の存在を確信しております。兄が大神官であるわたくしに、疑う余地はありませんし、ルル様の存在を確認したのですから当然です」


 いつもの笑顔でダンが言うと、


「俺だって、ルルと関わった一人だ。神の子とパーティを組んだ一人だ。神を信じる信じないじゃなくて、神が居ることを知ってる」


 アークは、はっきりと皆に言い聞かせるように神の存在を肯定した。


「うん、大丈夫そうだね。それじゃあ、ゴウカの神殿に移動しよう」


 そう言うと、ゼンは指をパチンと鳴らした。


 私達は、ゴウカの神殿に降り立つ。


「ここが、ゴウカに出来た神殿か。木で作られてるのは珍しいよな。それでも物凄く澄んだ空気だ」


 アークが言うように、ここの空気は澄んでいる。まるで、私の家の庭や、王宮の庭園にいるようだ。


「ここは神聖力が溢れていますね。大神官様が一生懸命祈りを捧げた証拠です。数日でここまで……素晴らしいです」


 オルレアはうっとりとした表情で、神殿内を見つめている。


 大神官であるゼンが祈りを捧げる事で、その場が神聖力で満たされるらしい。


 何も無い所に街を作り、神殿を作り、神殿を(いの)りにより聖域に変えてから、私達を呼び出したのだ。


 いつもヘラヘラしているが、ゼンは仕事が早く、相当やり手な大神官だ。


「オルレアに比べると、ぼくの神聖力は大した事ないけど、ここでオルレアに力を使わせる訳にいかないでしょ? だから、ちょっと頑張ったんだ。じゃあ、地下に行こうか」


 ゼンは、ルルを呼び戻す時に、オルレアに全力を使ってもらおうと頑張ってくれたようだ。


 私達はゼンに続いて地下へ向かう。

 

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