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黒炎の剣士たち

夜の森、冷たい風が木々をざわめかせる。16歳の高校生、焰斗はバイト帰りにコンビニの袋を握り、街灯の下を歩く。「寒え…早く帰って寝たい」と呟く。両親は仕事で不在がち、友達とも距離を感じる焰斗にとって、夜はいつも少し寂しい。ふと、足元で赤い光が瞬いた。小さな石が、まるで心臓の鼓動のように輝く。「なんだこれ、ただの石じゃねえ…」と拾うと、熱い脈動が掌を刺し、眩い光が焰斗を飲み込んだ。体が浮く感覚に「うわっ!」と叫ぶが、意識は闇へ落ちた。


目を開けると、炎と剣が響き合う戦場。赤く染まった空、焦げた土の匂いが鼻をつく。黒い鎧の兵士が「異邦人!死ね!」と剣を振り下ろす。焰斗は咄嗟に地面の木の枝を掴むと、それが真紅の炎剣に変わった。「うそ、なんだこれ!?」と叫ぶ背後から、凛とした声が切り込む。「焰斗、星炎の剣士に選ばれた者。迷うな、立ち上がれ!」


振り返ると、銀髪をなびかせる17歳の少女、月凪が立つ。青い瞳は鋭く、氷の刃が冷たく輝く。「私は月凪、星炎の剣士のリーダー。敵は『暗焔団』、世界を灰にする狂信者だ。」彼女の声には高貴な決意と、焰斗を信じる響きがある。月凪は暗焔団に故郷を焼かれ、家族を失った。赤い石のペンダントを握り、孤独に戦ってきた。「星炎の剣士は、絆の炎で闇を払う。焰斗、お前を呼んだのはこの石だ。この戦いを終わらせるため、私と戦う?」焰斗は月凪の瞳に宿る悲しみと覚悟を感じ、心臓が熱くなる。「ああ、月凪!俺、この戦いを終わらせる!」炎剣を握り、彼女と並んで突撃する。


焰斗の炎剣が弧を描き、兵士の鎧を焼き切る。剣先から炎が迸り、地面に焦げ跡を刻む。月凪の氷剣が光を放ち、敵を凍てつかせる。氷の結晶が砕け、キラキラと舞う。「新人、悪くない」と月凪が微笑む。焰斗はその笑顔に胸が締め付けられ、「月凪と一緒なら、どんな敵もぶった斬る!」と叫ぶ。月凪の頬が赤らみ、「…無茶言うな、焰斗」と呟くが、目は彼を見つめ、心が揺れる。


「置いてかないでよー!」と弾ける声。15歳の陽華が駆け込む。金髪のポニーテールが揺れ、太陽の光を宿した槍が眩しい。「焰斗君、かっこいい!月凪ちゃんも!」と笑う。陽華は暗焔団に村を焼かれ、親友を失った。親友が残した赤い石のブレスレットを握り、笑顔で希望を繋ぐ。「私の光、みんなの心を照らすよ!」陽華の槍が光の矢を放ち、敵を貫く。光が戦場を切り裂き、兵士が膝をつく。焰斗が「陽華、すげえ!」と返すと、彼女はウインク。「焰斗君、もっと見てて!」


次に、静かな声。「敵、68人。無駄な動きは無意味。」16歳の涼波が現れ、水の鞭を振るう。黒髪を結い、冷静な瞳が戦場を見据える。涼波は暗焔団に姉を奪われ、姉が遺した赤い石の指輪を胸に戦う。姉の「仲間を信じなさい」が彼女の支えだ。「焰斗、月凪と息合ってるね」とニヤリ。焰斗が「え、そんな…」と慌てると、涼波は「ふっ、焦るな」と笑う。水鞭が蛇のように敵の足を絡め、動きを封じる。


最後に、14歳の風芽がふわっと舞い降りる。栗色の髪が揺れ、怯えた目が焰斗を見つめる。「怖い…でも、焰斗君がいるなら!」風の刃が敵を切り裂く。風芽は暗焔団の襲撃で家を失い、村の子供を庇って逃がした。その時拾った赤い石の髪飾りが、彼女の勇気の証だ。「焰斗君、月凪さん…私、みんなのために強くなりたい!」焰斗は「風芽、絶対強くなる!もう強いよ!」と笑い、風芽の頬が赤らむ。


5人が揃い、戦場を駆ける。焰斗は炎剣を振り、「この世界、わけ分かんねえ…でも、みんなを守って戦いを終わらせる!」と叫ぶ。月凪が剣を構え、「焰斗、その信念が星炎の力。私もお前を信じる。」陽華が「一緒に突っ込むよ、焰斗君!」と槍を掲げ、涼波が「連携を乱すなよ」と鞭を操る。風芽が「私も戦う!月凪さんのために!」と風刃を放つ。焰斗の炎剣が敵の盾を溶かし、月凪の氷剣が槍を凍結。陽華の光槍が弧を描き、涼波の水鞭が敵を薙ぎ払う。風芽の風刃が敵の陣を乱し、5人の動きが息を合わせる。だが、空が暗転し、黒い炎が渦を巻いた。


暗焔団の隊長、黒焔が現れる。漆黒の鎧に黒い炎が揺らめき、赤い石の首飾りが不気味に光る。巨躯は戦場を圧し、黒い炎が地面を焦がす。「星炎の剣士か…俺の浄化の炎で、この腐った世界を焼き尽くす!」黒焔はかつて星炎の剣士のリーダーだった。親友を戦で失い、絆の裏切りを味わった。世界の争いを終わらせるため、赤い石の力を暴走させ、暗焔団を率いる。「絆は偽りだ!争いを生む全てを灰に変え、新たな秩序を築く!」その声は戦場を震わせ、黒い炎が焰斗たちを包む。焰斗は月凪を庇い、「お前の秩序なんか、俺たちの絆でぶち壊す!」と炎剣で火球を切り裂く。炎が爆ぜ、熱風が頬を焼く。月凪が「焰斗、奴の炎は強い…だが、私たちは負けない!」と氷剣で突き、黒焔の鎧に亀裂を走らせる。氷の刃が火花を散らし、「焰斗、私の剣はお前を信じてる」と彼女が言う。焰斗の心が燃え上がり、月凪への想いが溢れる。


黒焔が哄笑し、「絆だと?その脆い幻想で俺に勝てるか!」と黒い炎を剣に纏わせ、焰斗に斬りかかる。焰斗は炎剣で受け止め、剣が軋む。熱が腕を焼き、汗が滴る。「月凪、みんな…俺、絶対負けねえ!」月凪が横から氷剣を振り、黒焔の側面を凍らせる。「焰斗、一人じゃない!共に戦う!」陽華が「親友の笑顔、絶対取り戻す!」と光の槍を投げる。光が黒焔の肩を砕き、鎧が軋む。「この光で希望を繋ぐ!」涼波が「姉さんの言葉、裏切らない!」と水鞭で黒焔の足を縛る。水が炎を弾き、「連携で終わらせるよ!」風芽が「子供たちのため、月凪さんのため、私も戦う!」と風刃で黒焔の炎を切り裂く。風が唸り、「もう怖くない!」と叫ぶ。黒焔が「虫けらどもが!」と咆哮し、巨大な火柱が戦場を覆う。「この炎で絆ごと焼き尽くす!」火柱が空を焼き、地面が溶け、焰斗たちの足元が揺れる。


焰斗は仲間を見渡す。月凪の強い瞳、陽華の明るい笑顔、涼波の冷静な眼差し、風芽の勇気ある一歩。「俺、一人じゃ何もできなかった…でも、月凪、陽華、涼波、風芽と一緒に未来を掴む!この戦いを終わらせる!」炎剣が熱を帯び、掌の赤い石が共鳴する。月凪が剣を握り、「焰斗私もだ。この絆で未来を切り開く!お前と…共に」と囁く。氷剣が輝き、彼女の石が光る。陽華が「焰斗君、最高!一緒に勝つよ!」と笑い、涼波が「なら、勝つしかない」と頷き、風芽が「私、怖くない!焰斗君、月凪さんと一緒なら!」と目を輝かせる。それぞれの赤い石が共鳴し、5人の心が一つになる。


5人が武器を掲げる。焰斗の炎が轟き、月凪の氷が煌めき、陽華の光が迸り、涼波の水が奔流となり、風芽の風が唸る。赤い石の力が重なり、光が渦を巻く。「星炎・絶光斬!」光の柱が火柱を貫き、戦場を白く染める。黒焔が「この俺が…絆に敗れるだと!」と叫び、鎧が砕ける。黒い炎が散り、赤い石の首飾りが地面に落ちる。「俺の秩序…まだ終わらん…」と呻き、黒焔は灰となって消える。爆風が戦場を包み、赤い空が晴れ、星が輝き始める。


戦場が静まる。焰斗は息を整え、汗と土にまみれた顔を上げる。月凪の銀髪が風に揺れ、氷剣を収める。「月凪、俺…お前のことが」と言いかけるが、月凪が指を唇に当て、微笑む。「私も、焰斗と戦えて心が燃えた。お前の信念、私を動かしたよ。この絆、忘れない。また会おう、約束だ。」彼女の瞳に、初めて見る柔らかな光。焰斗の胸が締め付けられ、月凪への想いが溢れる。陽華が「焰斗君、月凪ちゃん大好きじゃん!私も負けないよ!」とからかい、槍をくるっと回す。涼波が「悪くない選択だ。焰斗、月凪を支えろよ」と笑い、水鞭を巻き戻す。風芽が「焰斗君、月凪さん、素敵!私も強くなるよ!」と手を振る、目は少し潤んでいる。


焰斗は掌の赤い石を握る。石はまだ温かく、仲間との絆を刻んでいる。「月凪、陽華、涼波、風芽…この絆、俺の宝物だ。絶対また会う!この戦いを終わらせるために!」石が眩く光り、焰斗の体が浮かぶ。月凪が小さく手を振る。「焰斗、未来で待ってる。赤い石が導くよ。」陽華が「またね、焰斗君!絶対だよ!」と叫び、涼波が「忘れるなよ、焰斗」と微笑む。風芽が「焰斗君、月凪さん、強かったよ!」と涙目で笑う。光が焰斗を包み、戦場が遠ざかる。


ベッドで目覚める。朝日がカーテンを透かし、静かな部屋。焰斗は「夢…だったのか?」と呟くが、掌には炎の紋章が薄く刻まれ、赤い石が握られている。「月凪、陽華、涼波、風芽…あれは本物だ。」拳を握り、窓の外を見上げる。「待っててくれ、絶対また会う!俺たちの戦いは終わらない!」夜空に月と星が輝き、赤い石が微かに脈打つ。焰斗と仲間たちの約束が、未来へ響いた。END

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