6話:魔王の魔族壊滅作戦 前編
魔族によりエミルが攫われる。こんなこと千歳は想像もつかなかった。原因は恐らくゲーマー時代に魔族を壊滅寸前まで追いやったことだろう。
千歳はそれに対抗し、助けに行くため準備をすることにした。
「魔族・・・厄介だが我に勝てる奴はおらん。死んでもらおう。1匹残らずだ!」
そのつぶやきは魔王の口調で明らかなる怒気がこもっていた。
そして千歳は思考を巡らせる。
(魔族の奴らは数が多い。一人で勝てるのか・・・?いや勝たなきゃいけないんだ。エミルのために・・!だけど攻め方は考えなきゃいけない。昔みたいに死んだら復活なんて・・・・いやできるぞ!?あの武器を使えば2度までできるはずだ!)
何かを思いついた千歳は武器庫を漁る。そしてその奥底からほこりをかぶった様子で取り出されたのは・・・・・神々しい何かを纏った青藍の刃を持ったの日本刀。
(完全に忘れてた。昔よく使ってたよな。確か効果は死亡したとき、その場から2度まで復活できる。しかも傷は全回復して復活だ。これで奴らに対抗できる。)
その日本刀の名は「神殺刀・青藍」。太古の昔神々との戦争の際最後の神にとどめを刺したと言われている刃だ。千歳はいつもの装備+神殺刀で戦うつもりだ。だが、それだけで勝てるとも思っていない。魔族にはもちろん長が存在している。その名はグリム。猛者ぞろいの魔族を束ねる超のつく猛者だ。
そして千歳は魔族の巣窟、魔族村へと向かう準備を整え始める。
まずは「神殺刀・青藍」を腰に巻く。そしていつもの装備を持ち、魔力を増大させる指輪「マジック・リング」をはめる。
「よし、行くか。」
ついに魔族村へ向かい始める。魔族村へはそう遠くないため歩いて向かうことにした。
その道中、魔族の襲撃を受けることになるとも知らずに。
同時刻、魔族村にて・・・・
そこでは魔族たちが戦闘の準備を始めていた。
「おい!そこに大砲を置け!魔王を吹っ飛ばしてやる。」
「はい!」
そんな会話がされつつも着々と準備が整えられていた。そんな中ひときわ目立つ場所にエミルが吊り下げられている。そのきれいな体には拷問をされたであろう痛々しい傷が見て取れる。
「お前らなんか魔王様にかかれば一瞬で倒される!今に見てろ!」
「ふん、貴様のために助けに来るか。あの魔王は。」
そう返すのは魔族の長グリムだ。グリムはさらに続ける。
「かつての魔王は血も涙もないような冷徹さの塊のような者であったが、あの魔王が変わったとでもいうのか。信じられんな。まあいい、来るならば返り討ちだ。」
グリムのその目には固い決意が宿っていた。
ところ変わって千歳はというと・・・
道中にある人食いの森に入ろうとしていた。その瞬間、炎玉が飛んでくる。だがそれをバックステップで躱し神殺刀を抜く。
「貴様らか。我に炎玉を放ったのは。」
「ああ、そうだ魔王、お前にはここで死んでもらう。」
「なるほど、その角にマント。魔族か。」
「俺は魔族の中でもトップクラスに強いジェノだ。」
「俺は闘技場無敗のハンザルだ。」
「「俺たちがお前を殺す。」」
「ふん、笑わせるな。貴様ら如き、我が魔法を使うまでもない。この神殺刀の錆にしてやる。」
「舐めやがって。ハンザル、手を出すな。俺が殺・・・・なに!?」
その刹那、既に千歳は間合いを詰めていた。
「喋っている暇などないぞ。」
次の瞬間、神殺刀による神速の袈裟切りが飛ぶ。それはジェノの胸を激しく切り裂く。そこからさらに逆袈裟をはね上げる、燕返しだ。それも見事に捉える。
「ごはぁ!なんという踏み込み。見事だ。だが・・・!」
ジェノは焦って拳を振り上げる。だが・・・・
「大振り、隙をさらしているも同然だな。今まで何と戦っていたのだ。」
「はや・・・!」
「これで終わりだ、逝け。」
そこから放たれたのはまさに命脈を絶たんとする一刀。それは千歳の怒りを乗せた一刀だった。それを避ける術はジェノにはなく、その場で絶命した。
そして瞬時に方向転換しハンザルの元へ踏み込む。
「ま、待ってくれ!やめ・・・!」
「貴様も冥土へ逝くがよい。はぁぁぁぁ!!」
そして放たれたのは凄まじい速度の刺突。それはハンザルの心臓を完全に貫いていた。
なんと千歳は無傷で魔族二人を倒して見せたのだ。
そして・・・人食いの森の中では特に何も起きず、人食いの森を抜け、ついに魔族村へと到着するのだった・・・
ここからさらに魔族との戦いは熾烈な戦いとなっていくのだった・・・
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