序章：すべての始まり
現在世界で大ヒット中のVRMMORPG 「トゥジュール・オンライン」。このゲームには「魔王」と呼ばれる最強プレイヤーが存在している。それがこの男、鬼島 千歳、20歳の絶賛ニートだ。こんなニートが「魔王」と呼ばれいる所以はその装備にある。
まずはこのゲームの闘技場の初代優勝者に送られた「覇龍の角」、これを装備すると物理ダメージが20倍に膨れ上がる。
そして次にこのゲーム最強とまで言われた魔王：グランデウスを撃破したときにドロップする「魔王のリング」、これを装備するだけで自己治癒能力が＋９９９される。ちなみにこのゲームでの最高値が９９９なのだが・・・。もはや回復術師は必要ない。
そして次がこのゲームで最速でストーリーをクリアした者に送られる「混沌のマント」、これは装備すると防御力が＋９９９され、おまけ効果として物理、魔法ともに全て跳ね返すというおまけとは考えられない能力付きだ。これを装備すればダメージを喰らうことはほぼないといえる。
そして最後がこの世界の最果てに存在していたエンシェントドラゴンを撃破したときにドロップする「古龍の杖」だ。これは装備すると魔法ダメージが20倍となる。
こんな最強装備を身に着け、さらにキャラクターコントロールも超一流の千歳に勝てる者など存在せず、このゲームの世界では「魔王」などと呼ばれるようになった。
そんな千歳が約3か月ぶりに外出することになった。その理由は好きなアニメ映画の先行上映のためだ。千歳は3日ぶりに風呂へ入り、身支度を整え、ついに外へ出ることになった・・・・。
これが全ての始まりだということも知らずに・・・・
そんなこんなで先行上映が終わり、自宅に帰ろうと足早に歩く千歳。その足が横断歩道に差し掛かった時、千歳は異変に気付くことになる。
（あのトラック・・・おかしい。止まる気配がない・・・。）
だが、気づいた時には遅かった。次の瞬間、トラックの巨体が千歳に突っ込んだのだ。
「え・・・・・・」
あまりの衝撃に千歳は声も出せず、そのまま意識を失うことになる・・・・。
「う・・・・あ・・・・。ここ・・・は？」
千歳が目を覚ますとそこは真っ白い謎の空間だった。
「あ！目が覚めたんだね。よかったよかった。」
「お前は・・誰だ・・？」
千歳がそう問うと、和装の少女はこう言った。
「私は神の使い、テレーゼ。君が転生するのを助けてあげる存在だよ。」
「転生・・・？わけがわかんないな。」
「分からなくて当然。そう経験することでもないからね。それはそうと、君はゲームが好きみたいだね。」
「トゥジュール・オンラインの事か？好きだけど・・・。」
「じゃ決めた！君をそのままそのゲームの世界に送ってあげる！うれしいでしょ？」
テレーゼは満面の笑みで顔を近づけてそう言った。
「はぁ！？ゲームの世界に転生！？やれるもんならやってほしいぜ・・。」
「じゃあ決まりね！そういうことで・・・・【転生】！！」
「？？？うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！」
何かに吸い込まれる感覚、そしてぐにゃりと回る世界。未知の体験に再び意識を失う。
そして目が覚めるとそこは・・・・・・・・・
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