表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/4

第1章 モブメカは異世界転移する

 ガントが気がつくと、そこは森の中だった。

 サポートAI『イオルン』の報告では現在地点不明とのこと。

 レーダーに反応があり、そちらに向かうとモンスターの群れがラトルナ村という集落を襲っていた。だが、そこで剣と弓を使って戦う二人の女性マーナとレンティアがいるのを見つける。


 彼女達は必死に戦っているが、そこに一つ目の巨人サイクロプスが出現し、マーナ達を蹴散らして村を蹂躙しようとする。それを見たガントは強烈な怒りに駆られてサイクロプスに攻撃を仕掛ける。


 ガントは二人に村人を避難させるよう伝えて、そのままサイクロプスとの戦闘に突入。

 フォルトBに匹敵する巨躯のサイクロプスだが、FSSA(浸透性超質反応合金)という特殊合金で作られたマグナクルスの装甲には通じず、フォルトBが圧勝する。


 機体を降りたガントをラトルナ村の村人達は喝采と共に出迎える。戸惑う彼の前にマーナがやってきて、村を救ったことにお礼を言う。だがそこで彼の腹が盛大に鳴る。

 カッコがつかないガントをクスクス笑うマーナ。それを遠巻きに眺めているレンティアをマーナが紹介しようとするが、レンティアは「この人、怖いわ」と言って逃げていく。

 この世界も含め、何が何やらなガント。

 イオルンに「何がどうなってるんだ」と尋ねるも『詳細不明』と返されてしまう。


 元冒険者の魔法剣士で村長でもあるマーナの話で、ガントはここが異世界だということを知る。

 マーナは村長ながら二十代半ばと若く、十代前半のレンティアは彼女の弟子だという。

 自分の世界に戻りたいかとマーナに問われるガントだが、囮として使われたことを思い出しつつも『白翼の騎士』のことも思い出し「決着をつけたいやつはいる」と返す。


 何故かそこでビクリと震えるレンティア。

 一向に自分に近づこうとしない彼女に、ガントは疑問を持つ。だが何か知っていそうなマーナは何も言わないまま、ガントは村に逗留することになる。

 ガントは村人達にすぐに受け入れられ、フォルトBで農作業を手伝うなどして一週間ほど穏やかな日々を過ごした。


 そんなある日、彼はレンティアがマーナから魔法を学んでいるところに遭遇する。

 ガントはマーナに魔法の教えを乞うが、魔法は危険な技術でもあるため教える人間は厳選しており、ガントに教えるのはまだ早いと言われてしまう。だが魔法を諦めきれないガントはレンティアに話を聞こうとするも、彼女は相変わらず素っ気ない。


 村外れの森の中、フォルトBのコックピットで愚痴るガントだがイオルンは事務的な返事しかしない。だが直後にレーダーに反応。レンティアがモンスターに追われていた。

 それを見たガントはフォルトBを操縦して追いかけ、モンスターを撃退する。

 走り疲れて転んでしまったレンティアに手を差し伸べるガント。レンティアはその手を取り、小声ながらも「ありがとう……」と彼に感謝を述べるのだった。


 それから、レンティアはガントに徐々に心を開き始めていく。だが同時にモンスターの襲撃も増えてきており、マーナは西にある森の向こうの古代遺跡の調査を決定する。

 本来、遺跡には初代村長と友好的な関係にあったドラゴンが住んでおり、そのドラゴンは遺跡に巣食うモンスターが外に出てこないよう睨みを利かせているはずだった。


 マーナはレンティアとガントに同行を願い、ドラゴンの現状を確かめるために森に向かう。途中、突然フォルトBが動かなくなるトラブルが発生。だがそれは燃料不足によるもので、ガントは森の中を流れる川から水と土を運んでくる。

 マグナクルスは資源の乏しい宇宙でも燃料を補給できるよう、鉱物と水分から燃料を還元できる動力源を備えていた。しかしフォルトBは旧型なため還元に一晩かかった。


 その日は森の中で野宿することになり、そこでガントはマーナから魔法武器の話を聞く。彼女が持つ剣はミスリルと呼ばれる異世界固有の金属でできた魔剣だった。それは魔剣の中でも特に優れた素材で、これ以上の素材は伝説の金属オリハルコンだけだという。

 そこでマーナは、人の手で作られる通常の魔剣とは違う、特殊条件下で魔法武器が自然発生する『神器化』と、そこで生まれる最強の魔法武器『神器』について語る。

 マーナは『神器化』の発生条件は『強い器・知性ある意思・深い絆』の三つの条件であると語った。そのうち、強い器とはオリハルコン製の武器であることだと教えたところで、いきなりレンティアが悲鳴じみた声をあげる。


 そして森の奥から現れたのはアンデッドモンスターの群れだった。ガントはフォルトBに乗り込もうとするが、まだ燃料還元中で無理に動かせば機体に負荷がかかりかねないため、出撃を逡巡する。

 だが、そこに守護者であるはずのドラゴンのアンデッドが出現したことでそんなことも言っていられなくなり、ガントはフォルトBで出撃。


 ドラゴンゾンビを前にガントは苦戦を強いられ、フォルトBは強烈なブレスを浴びせられる。

 ゾンビ化しているとはいえドラゴンのブレスは最上位の魔法に匹敵する威力を誇り、サイクロプスですら跡形もなく消滅させるほどだった。しかし、フォルトBは無傷。

 それを見たマーナが「まさか……」と呟く。


 一方で、ガントはフォルトBの出力不足により攻めあぐね、戦いを長引かせないためエネルギーを収束させた右手でドラゴンゾンビをブン殴り、その頭部を完全に破壊する。だがフォルトBの右腕は壊れかけてしまう。

 活動を停止したドラゴンゾンビを前にして、マーナは村に戻ることを選択する。

 アンデッドは強い『呪い』がなければ生まれない。遺跡にはモンスターをアンデッド化させる何かが存在していると推測し、彼女は村に戻って備えることを決める。


 そしてレンティアは、ガタガタと震え続けており、明らかに何かに怯えているようだった。彼女は遺跡に救う『何か』に強い恐怖を抱いているようだった。

 ガントは、アンデッドモンスターの襲撃を予知したレンティアにある疑いを持った。

 鋭すぎる勘は、西暦世界に存在した『新人種』の持つ特徴の一つだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ