4話・装備購入と付与
俺が今から言う内容。特に呪いスキル『レベル・ステータスオール1付与』を周りに知られたくない。
(知られていい事はないな)
俺は有権者達に利用されるが殺されるのが目に見える。そのため俺はエリンに対して命令を使い強く口止めをする。
「口止めはしたぞ」
「それはわかった! だからアタシが底辺から抜け出す手段を教えてくれ」
「もちろんだ」
俺の言葉がかなり気になっているみたいだ。俺は説明下手なりにエリンに呪いスキルの説明を開始する。
「俺には『レベル・ステータスオール1付与』の呪いスキルを持っているんだよ」
「!? 呪いスキルだと!」
「そうだ! で、その呪いスキルを他者に使うと青ではレベル・ステータスがオール1になるんだよ」
俺の秘密、呪いスキル『レベル・ステータスオール1付与』を話した。
(どうなるか?」
この呪いスキル『レベル・ステータスオール1付与』の事を聞いたエリンの表情は笑顔から驚愕に変わった。
「いやいや、そんなわけがないだろ」
「なら試してやるよ」
「え?」
俺は怪しむ彼女に向かって呪いスキルを発動。
(地面に沈んだか)
呪いスキルをエリン使うと彼女は地面に倒れて動けなくなった。俺はその光景を確認して口を開く。
「どうだ?」
「な、え、いきなり体が動かなくなった」
「だろうな」
グリーンゴブリンに使った時も奴らは動けなくなった。俺はその時と一緒だと思い自慢げに話す。
「まぁ、これでわかっただろ」
「呪いスキルの効果はわかった! だけどアタシのレベルを1にしてどうするんだよ!」
地面に倒れつつ抗議の声を上げるエリン。俺は彼女の言葉を聞き考えていた言葉を返す。
「この呪いスキルにはまだ力があるんだよ」
「な、そんな事より「いいから聞け!」は、はい!」
「……では改めて、この呪いスキルには相手から奪い取ったレベルやスキルを好きな相手に付与できるんだよ」
「え、そ、それって!」
俺の言っている事に気づいたのかエリンの面持ちが目に見えて明るくなった。
(やっぱりな)
エリンの表情がプラスに変わった事を見た俺は声を明るくして語る。
「要するにレベルや使えるスキルをお前に付与するんだよ」
「……いいのかアタシに?」
「? 当たり前だろ」
今のエリンはレベル1のスキルなし。俺はそれを確認して今まで奪い取ったレベル26と使えるスキルをエリンに付与。
「お、おお! アタシの体がいきなり軽くなったぜ」
「それはお前のレベルが上がったからな」
俺がエリンに付与したのはレベル26分の経験値。スキルが〈剣術レベル3〉〈盾術レベル3〉〈隠蔽レベル3〉〈気配察知レベル3〉〈体術レベル2〉でレアスキルはコイツ自身が持っていた〈耐久力・精神力アップ〉だ。
(コレだけあればなんとなるだろ)
俺がエリンに能力を付与。彼女は裏路地の中で自身の体を動かし今の能力を確認していた。
「アタシがここまで動ける事になるとは思わなかったぜ!」
「喜んでいるところ悪いがそろそろ行くぞ」
俺はポケットに入れた財布の開く。中には3万5800Eが残っておりコレを元手に動く事を決める。
「うん? どこにいくつもりだ」
「そんなのお前の武器と服を買い行くに決まってるだろ」
「あ、うん」
俺は頭に疑問符を浮かべているエリン。彼女に対して呆れながら声をかける。
(強くなって動きたくなる気持ちはわかるが……)
タイミングを考えて欲しい。俺はそう思ってエリンと共に裏路地を抜けて共に商業区画に向かう。
「好きに買っていのか?」
「いや……残金が少ないから安いやつで頼む」
「あぁ、わかった」
エリンは苦笑いを浮かべていたので俺は微妙な気持ちになる。
(お金が有ればもっといい装備が買えるのに)
そう思いながら武器屋で安いショートソードと短剣。服屋でエリンの服と靴をそれぞれ購入。
(残りは1万Eだけか)
俺は財布の中を見てため息を吐く。
「サンキューなガスト!」
「……あ、あぁ」
武器屋で樽の中に入っていた見切り品のショートソードと短剣。服屋で買った動きやすい服装を着て歩いている笑顔のエリン。
(コレでいいのか?)
俺は彼女の嬉しそうな姿を見てなんとも言えない雰囲気になる。俺はその事を気にして違う事を口にする。
「装備を見るのはいいが宿屋に向かうぞ」
「り、了解」
俺とエリンは街中を歩き目的地の宿屋に到着。
「見つけた」
「ここが、ガストが言っていた宿か」
「そうだ」
無駄なお金は使いたくない。だがエリンを連れて学生寮に戻ったらやばい事になるのは俺にもわかる。
(出費は痛いが仕方ないか)
学生寮に戻るよりはいいと思いエリンを見る。彼女は宿屋を見て目を輝かせていた。
(まぁ、この宿屋は壁が厚いし盗聴はされにくいだろ)
ここは俺が学園に入学する前に宿泊した宿屋だ。
(確かこの宿屋は)
俺は泊まった時の記憶を思い出しながら建物の中に入る。
「いらっしゃいませ!」
「あ、はい。部屋は空いてますか?」
宿屋〈カクセル〉の受付にいた女性に声をかけられたので俺はなんとか返答する。
(前に来た時と変わらないな)
受付の女性は俺の返答に対して頷き、続きの言葉を話し始めた。
「ええ、1人部屋も2人部屋も空いてますよ」
「では1人「2人部屋を頼むぜ」おい!」
「わかりました!」
俺は1人部屋を2つを頼もうとしたが隣にいたエリンに2人部屋と言われた。
(ええ……マジかよ)
俺は一人部屋に変更しようとするが時すでに遅し。受付の女性がエリンの言葉通り2人部屋の鍵を差し出してきた。
「2人部屋なので6000Eをいただきますね」
「……はい」
修正出来なかった俺は渋々財布から1万E札を取り出し受付の女性に渡す。
(残りはコレだけか)
俺は受付の女性からお釣り4000Eと鍵を受け取る。
「朝食は係員に鍵を渡したらもらえるのでお忘れなく」
「はい、ありがとうございます」
鍵の番号は204号室。俺は鬱々とした気持ちを感じながらエリンと共に部屋に向かう。
(ダブルじゃなくてツインなのが救いか)
部屋の中に入るとツインバッドだったのでホッとする。理由はダブルベッドならエリンと一緒に寝ないといけないからだ。
(まぁいいか)
俺は落ち着こうとした時にエリンは勢いよく走り出した。
「ベッドだ!」
「おいまて!」
武器を床に投げ捨ててベッドにジャンピングしそうになっているエリン。俺は彼女の腕を掴む。
「おい、なんで止めるんだよ」
「今のお前の姿を見てみろ」
「うん? ドロドロだぞ」
(そのドロドロでベッドに突っ込む気だったのかよ)
俺はエリンの動きに頭を抱え。ユニットバスがある小部屋にエリンを放り込む。
「体を流してこい」
俺は部屋に置いてあったタオルをエリンに投げる。その時、彼女は何か思いついたのがニヤッと笑った。
「あ、そうか。ガストも男だよな」
「?」
「すぐに体を綺麗にするぜ」
なんか意味がわからない発言をしたエリン。
(一体なんだ?)
俺はよくわからないので考えるのやめる。
「武器の手入れでもするか」
俺は背負っている鞄を地面に置き。腰につけているショートソードと短剣をベルトから外し手入れを始める。
(アイツ……いきなり何かを悟った感じがしたけどなんでだ?)
俺は色々と考えるがわからないので武器の手入れを進める。
(後で聞くか)
ショートソードの手入れが終わったタイミング。ここでバスルームのドアが勢いよく開いた。
「あー、気持ちよかったぜ」
「あ、おわ……って、お前! なんで服を着てないんだよ!」
「そんなのお前が誘ってきたからに決まっているだろ!」
(え? 誘った?)
俺はバスタオル一枚のエリンの姿を見て目を逸らす。だがエリンはコチラにツカツカ歩いてきて俺の顔を掴んだ。
(え、何が?)
この状況でかなりバニっになっている俺は硬直。エリンは俺の顔を掴みながら喋る。
「アタシを助けてくれた恩は返さないとな」
「いやいや!?」
俺は抵抗するがエリンの方がステータスが上なので彼女の手を離す事ができない。
(マズイマズイ!?)
俺は頭の中がグルグル。エリンはそんな俺を見かねたのか不機嫌そうな顔になる。
「お前な」
俺がエリンに押し倒されて地面に体をつぶかる。
(うぐっ)
俺の体の上にはエリンがいる。彼女がのしかかっているのはマズイと思い俺はなんとか口を開く。
「待て待て、まだ俺の目的は話してないだろ」
「それはそうだがお前、今の顔を鏡で見てみろよ」
「鏡?」
エリンの言葉を聞いた俺は押し出されながら部屋に飾ってある鏡の方に向く。
(え?)
鏡に映った自分の面持ちを見ると俺は目から涙を流していた。
「な、なんで?」
「そんなのはアタシにはわからない。だがな、お前が辛い表情ばかり浮かべていたのがムカつくんだよ!」
よくわからない理由でエリンにムカつかれた。俺は鏡を見ながら彼女の方に向く。
(え、あ)
エリンの方に向いた時、彼女は泣きそうな表情を浮かべていた。俺は疑問に思っているとエリンが語る。
「今日会ったばかりアタシを信じらないのはわかるがお前の事を話してくれないか?」
「そ、それは」
「今でもお前が無理しているのはわかるぜ」
エリンは地面に倒れている俺に向かって抱きつく。俺は彼女の抱擁を受けて他にもいろんな感情が混じり涙を流す。
「う、ぐっ」
「アタシの胸で泣け」
何もないダサい俺をエリンは優しく抱擁してくれた。俺は彼女の方よを受けながらなんとか落ち着く。
「た、助かった」
「別にいいってことよ」
エリンが俺の元から離れて着替えを持ってバスルームに入った。
(少し待つか)
俺はなんとかベッドに座って待つ。少し時間が経ってからエリンは普通の服に着替えてきた。
「アタシの話はしたし次はお前の番だ」
「そうだな」
エリンの言葉に俺は頷き、自分の事を話す為に言葉を使い彼女に伝え始める。
「俺は……」
自分の事を第三者に話す。俺はこの事が不得意なのは自覚しているので戸惑いつつ話を進める。