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1話(後半)・ガゼルと取り巻き

〈次の日〉


 今日は学園が授業が休みなので俺は昨日討伐した魔物の素材を買取店に売りにいく。


(これだけあればいい金になるだろ)


 昨日は空が薄暗くなるまでホーンラビットをメインに討伐していた。結果、鞄は魔石と素材集まり膨れ上がった。


(コレくらいか)


 買取店で換金したら結構な額になった。俺はそのお金を手にして何か買い物をしようと都市を適当にぶらつく。


「さてと何を買いますか」


 財布の中身には魔石と素材を買取所で換金した分の3万Eエルンと元々手持ちにあった約4万Eの合計7万E。


(色々買える)


 マグノリア市ではパン1つが100Eで購入出来る。そのため俺が持っているお金を全額使えば700個ぐらい買える。


(まぁ、そんなにパンを買っても意味がないけどな)


 パンを700個も購入したところで到底食べきれない。俺は自分の考えに呆れている後ろから誰かに肩を掴まれた。


「少しいいかなーあ、ガストクーン」

「!?」


 ドスの聞いた気持ち悪い声。俺はツーリンド学園に入学してから何回も聞いた声の持ち主の方に振り向く。


(ヤッパリか)


 振り向くと昨日俺をボコボコにして虐げていたガゼル。彼が取り巻き達を連れて俺を囲んでいた。


(こんな時に!)


 最悪のタイミングで出会った事に自分の不運さを恨む。


「こんなところで会うなんて奇遇だや」


 ガゼルと取り巻きが薄気味悪い笑顔を浮かべていた。俺は何が起こるか大体察して覚悟を決める。


「さっきお前が買取店にいた事は知っているぜ」

「ちょっとこいよクズ野郎」


 俺はガゼルと取り巻きに捕まり裏路地に連れていかれる。


(グッ!)


 裏路地に着いた時、俺はガゼルにどつかれて壁に叩きつけられる。


「ガハッ」

「テメェ、買取店で何をしていた」


 俺の胸ぐらを掴み壁に押し込むガゼルは怒りの表情を浮かべていた。この時、取り巻き達はコチラを見てニタニタと笑っていた。


(コイツらに!)


 俺はガゼルや取り巻き達のに吐き気を覚えながら口を開く。


「こ、答えるつもりはない」

「そうか、ならくたばれ!」


 ガゼルは勢いよく俺の腹を蹴り付ける。


「ぐっ!」

「コレで終わりじゃねーよ!」


 腹を蹴りつけた後にガゼルは俺を勢いよく地面に叩きつけた。


『ジャリ』


 地面に叩きつけられた時に俺の胸元から金属がぶつかる音がした。


「ん? コイツ、金を持っているぞ」


 ガゼルの取り巻きの男子生徒。彼がニタニタしながらコチラに近づき無造作に俺の胸ポケットに手を突っ込む。


「コイツ、胸ポケットに財布を入れているぞ」


 取り巻きの男子生徒が取り出したのは俺の財布。


(!?)


 財布の中身を取られたくない。俺はそう思って立ち上がろうとするがガゼルに腹を踏まれて動けない。


「ガゼルさん! 中には7万ちょっと入っていますよれ

「おお、ならちょうどいい! この金はオレ達が使ってやるよ」

「貴方みたいな無能のお金を使ってあげるんだから感謝しなさいよ」


 ガゼルの取り巻きで目つきの悪い女子生徒からの言葉。俺は彼女の言葉に怖くて反撃できなくなった。


(なんで毎回毎回コイツらに虐げられないといけないんだよ!)


 いつもいつもコイツらに虐げられて潰される。そんな暮らしが続いていると俺は死にたくなる。


「ぐっ」


 だが今は辛抱するしかない。俺はそう考えているとある事を思い出す。


(コイツらに呪いスキルを使うか……)


 正直、呪いスキルを使ってコイツらをボコボコにしたい気持ちは大きい。


(だけど……)


 ここでやり返したとしても相手の方が数が多い。しかもガゼルは中級貴族の有権者なので厄介。


(結局は権力かよ)


 ガゼル達は俺の財布からお金を取り出す。残ったからになった財布はガゼルが地面に捨てた。


「ふん、この金に免じて今回は許してやるよ」

「感謝しろよクズ野郎」

「……」


 俺からお金を奪ったガゼル達は笑いながら裏路地から出て行った。俺はなんとか立ち上がり拳を握った。


(絶対に許さない)


 俺は裏路地から離れていったガゼルと取り巻き達。彼らの事を思い浮かべながら俺も裏路地から出ていく。


「これからどうするか」


 俺は色々考えながら歩き。いつも使う東側の門ではなく西側の区画の門に到着。俺は西門から外に出てある場所に向かう。


「確かコッチにはゴブリンが生息しているクラネの森林があったよな」


 ゴブリン……コイツらの事を思い出した俺は苦虫を噛み潰したような表情をしてしまう。


(緑色の化け物め)


 ゴブリンは緑色の肌に尖った鼻、大きさは1メートルくらいの人型の魔物。


「周りの奴らは簡単に倒していたよな」


 テンプレの魔物であるゴブリン。コイツらのレベルは大体10くらいなので学園の生徒なら余裕で倒せる。


(まぁ、俺には無理だったけど)


 レベル5固定のマイナススキル。俺はマイナススキルのせいでゴブリンにすら勝てずに生徒達から見下されていた。

 

「しかも教師も最悪だな」


 引率する教官は俺の事を蔑み助けてくれなかった。俺はクソ教官の事を思い出しため息を吐く。


「あの恨みは今でも忘れてないぞ」


 あのクソ共に嘲笑われる原因になったゴブリン。コイツらが存在しているクラネの森林。


(今こそやり返す時)


 ムカつく気持ちを抱えた俺はクラネの森林の中に入りゴブリンを探し始める。


「どこだあいつら」


 なかなかゴブリンが見つからないので俺はイラつきながら周りを警戒。どこかにいないかと探していると少し離れた場所に逸れのゴブリンを見つけた。


「いた!」


 クラネの森林に入って約10分。俺は内心で喜びながら目的の相手であるゴブリンを見つけた。


(能力確認が先だな)


 相手を見つけたので俺は『能力鑑定』を使いゴブリンの能力確認をする。


 グリーンゴブリン(レベル11)

〈ステータス〉

・筋力32、耐久力28、賢さ18、精神力25、素早さ23

〈スキル〉

・剣術レベル2、投擲レベル1、体術レベル1


 ステータス的には俺より上。だが相手はコチラに気づいてないので呪いスキルを発動。


(頼むぞ)


 呪いスキルが格下しか効かない場合は俺はグリーンゴブリンに殺される。


「マジで頼む」


 俺自身かなりの不安を抱えながら呪いスキル『レベル・ステータスオール1付与』を発動。


《グチャガ》


 呪いスキルをグリーンゴブリンに発動すると相手がいきなり倒れた。


(いけた!)


 俺は地面に倒れて動けなくなっているグリーンゴブリン。コイツに向かって手に持っているショートソードを使い首を切り落とす。


《クジャ》


 前はショートソードを使ってもかすり傷しかつけられなかった。たが今回は俺の攻撃でもグリーンゴブリンを真っ二つに切り裂けた。


「やったぞ!」


 嬉しさのあまり俺は拳を空に突き上げる。


(やった!)


 うまく倒せた事に俺は喜び。ふとグリーンゴブリンの方を見ると相手は紫色の煙になって魔石と素材に変化。


「ははっ!」


 グリーンゴブリンが倒せないせいで俺はクラスメイト達に散々馬鹿にされていた。


(俺でも倒せたぞ)


 今まで倒せない相手を倒せた。俺の中で大きな一歩だと思う。


「ははっ! ざまぁみろ!」


 無傷でゴブリンを討伐できた。俺はグリーンゴブリンの魔石と素材を拾う。


(コレで変われる)


 俺は嬉しさや気持ちのよさを感じる。


「いけるぞコレは」


 喜びの気持ちは大きいが俺がクラネの森にきた理由はゴブリンの討伐。


(他にもいるか)


 周りを確認すると少し離れた場所でくつろいでいるグリーンゴブリンを発見。


「見つけた」


 俺はクラネの森林にいるグリーンゴブリン。コイツらに対して呪いスキル『レベル・ステータスオール1付与』を使い討伐を続けた。


(高スペック共もこうやって地獄に叩き落としてやる)


 今まで虐げてきたガゼルとその取り巻き。クラスメイト達や教官に地獄を見せてやる。


「落ちこぼれの気持ちを思い知れ」


 ここで自分がどんどん狂っている事を感じる。


(だがそんな事は知るか)


 周りの事を気にせずに俺はグリーンゴブリン達をゴブリン達をドンドン討伐していく。


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― 新着の感想 ―
[良い点] リンチされてもうばわれても冷静に判断できるあたり静かな怒りの中に確実にたまってたものがあると分かる感じが良いですね! [気になる点] ときどき表記や表現の揺れというか気になるところがあるの…
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