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19話・新しい装備

 エリンとガイゼの山脈のボスであるザ・レッドクローズの対決。初めはエリンの方が優勢だったが片腕になり斧を捨てたザ・レッドクローズに苦戦を強いられる。

 

「コイツ!」

『グオォ!』


 相手の攻撃密度にギリギリ対応しているエリンだが上手く反撃ができずに防戦一方。ただ守るだけではいつかは負けるので何か手を考えてそうだが余裕がないみたいた。そのため彼女は悔しそうな表情を浮かべていた。俺はその表情を見ながら物陰に隠れて観察する。


「一旦引くか?」


 このままだとエリンが負ける可能性がある。そう思った俺は退却するのもありだと思う。しかしエリンの目を見てその事は諦める。なぜなら彼女の目が燃えていたからだ。


「ここでお前を倒してアタシは進むんだ!」

『ガガァガァ!』


 相手が足技を使うタイミング。ここでエリンがある魔法を発動させた。


「アースチェイン!」


 アースチェインは地面から土の鎖を出現させて相手の動きを再現する魔法。だがそんな魔法を使っても時間稼ぎにしかならないはずだ。なので俺はこれからどうするのか、と見守っていると驚愕の光景を目にする。それはザ・レッドクローズの姿勢が大きく崩れたからだ。


「くたばれ!!」

『ガガガ!?」


 足に巻きついて動きが鈍って地面に倒れそうになっているザ・レッドクローズ。その瞬間にエリンが盾を捨ててロングソード両手持ちになって渾身の力でぶつけた。

 その時、ザ・レッドクローズの首にロングソードが直撃。相手は大きな悲鳴をあげるがそんな事は気にせずエリンは思いっきり振り抜いた。


「これで終わりだ!」

『!?!?』


 ボロボロになりながらもザ・レッドクローズの首を切断。その結果、ザ・レッドクローズは紫色の煙に変化。魔石と素材そして金色の宝箱が残った。


(マジかよ! 幻の金色の宝箱が出たぞ)


 俺は金色の宝箱が出た事で唖然としそうになるがボロボロで倒れそうなエリンの方にダッシュで近づく。


「おい、大丈夫か?」

「あ、ああ! なんとかな」

「とりあえず回復ポーションだ」


 俺は店で買った回復ポーションの中でレベルが高い物をエリンに渡す。彼女はそれを受け取った一気に飲み干した。


「ふう、少し時間が経ったらなんとか動けるぜ」

「了解だ! それならドロップアイテムを回収しておくよ」

「頼むぜ」


 俺はまだ動けそうにないエリンを見ながら魔石と素材を回収し金色の宝箱に手をかける。


(さて何が出てくるか)


 ガチャリと音がなり宝箱を開いてみる。その中には黄金に光ったロングソードが入っており隣には青色の鞘が置いてあった。俺は金色のロングソードと青色の鞘を手に持ちエリンの方に向かう。


「これが金色の宝箱に入っていた物か?」

「ああ、この金色のロングソードと黒色の鞘が入っていたぞ」

「なんだろうなこの金色のロングソード」


 正直よくわからないが本音。そう思い金色のロングソードをエリンに渡した瞬間。彼女を起点として光り輝いた。


「な、なんだこの光は!」


 俺は眩しさを感じ手を使い目を覆い収まるまで待つ。それから少しして光が収まると見た事のない金髪ロングで吊り目の美少女がいた。

 

「えっとどちら様ですか?」

「お前な、アタシがわからないのか」

「……その声はエリンか!?」

「当たり前だろ」

「いやいやいや!? それは自分の姿を見てから言ってくれ」

「そんなのソバカスで……ってええ!? なんだこの姿は?」


 俺は鞄から手鏡をエリンの方に向ける。するとエリンは自分の姿に驚き唖然としていた。正直、どうなっているんだと突っ込みたくなる。


「どう見ても凛々しい女騎士だよな」

「……モブ顔だったアタシがこんな美少女になるとは思わなかったぞ!」

「俺だって同じ事を思ったわ」


 中身がアレだが黙っていたら高レベルのイケメンが集まりそう。それだけレベルが高い見た目になったエリン。俺はその事で頭に大量の疑問符が浮かぶ。


「てかなんでエリンの姿が変わったんだ?」

「多分アタシが手にした宝零剣・アストレイの影響だと思うぜ」

「その宝零剣・アストレイ……って、なんで鑑定もしてないのに剣の名称がわかるんだよ」

「あーそれはこの剣を持った瞬間に能力や情報が頭に入ってきたからだ」

「なるほど」


 なんか釈然としないがそういう物だと感じて進め。ひとまずこれからどうするかを外見が変わったエリンに伝える。


「……嫌な予感しかしないが都市に戻るか」

「うん。あ、ガストはフードを被った方がいいぜ」

「そんなの見たらわかるよ」


 外見がその辺のモブ男子である俺の隣に絶世の美少女がいる。この時点で周りの奴らの嫉妬を買う事になる。そんな事になれば相当目立ち厄介な事になるのは目に見えている。

 なので対策として俺は今来ている服のフードを被り顔を隠す。他には今行っている宿屋から離れて安全性の高い所に移動する事を決める。


(こんな事になるとはな)


 エリンが美少女化する事を置いといても話が進みすぎている。特に呪いスキル『レベル・ステータスオール1付与』を手に入れた瞬間から上手く行き過ぎている。まるで誰かが操っているみたいだ。

 俺はよくわからない不安を抱えながら帰り道を歩き始める。


(最悪な事にならなければいいが)


 この運のいいご都合主義の流れを受けた結果は破滅する。そんな事はしたくないので丁寧に進みたい。

 だがそんな事ができるかが謎なので手探りで進めるしかないが上手く考えられないので無駄。ここまで考えて何も浮かばないので自分ばバカだと思っていると前を歩いているエリンが話し始めた。


「しかしまぁガスト、お前に出会ってアタシの運命は大きく変わったぜ」

「それは悪い方向にか?」

「からかうなよ、言い方に決まっているだろ」


 俺の復讐に無理矢理付き合わせたり危険な魔物と戦わせたりしている。なのにそんな楽しいそうな反応をするとは思わなかった。


(なんか嬉しいのか悲しいのかわからないな)


 個人的には嬉しいと思いたい。しかしフェイクかもしれないのでなんとも言えないのでもどかしさを覚える。そうやって色々と考えて進み。時間はかかったがガイゼの山脈から脱出した。


「ふう、これで帰れるぜ」

「だな」

「さっさと帰って風呂に入りたい」

「……まぁ、風呂に入る前に新しい宿屋を探さないとな」


 前に行っていた宿は今日までの分しかお金を払ってない。なので更新しなければ無駄なお金を払わなくていいので違う宿を取る事にする。

 

(ただなー間に合うかな?)


 大体の荷物は買取店の倉庫に預けている。なので取りに行けばいいのでそこは大丈夫。しかし問題の設備が揃っている宿屋が空いているか心配。

 なので俺とエリンは早足で都市に向かって歩く。その結果、火が落ちる前に都市の中に入れたのでまたあったと思いながら買取店の中に入る。


「買取店お願いします」

「はい、承りました。ですが今日は買取が多いので報酬をお渡しするのは明日になりますがよろしいですか?」

「ええ、大丈夫ですよ」


 俺達がいる買取店は大手なので周りがいいと思った。しかし今日は人が多いので時間がかかるみたい。そのため報酬は明日受け取りになった。俺は受付の人の言葉を聞いて離れた後、エリンと共に倉庫に預けていた荷物を受け取る。


「なあガスト。めっちゃこっちを見られてないか?」

「その見られているは合っているぞ」

「だよな」


 俺とエリンは互いにフードを被っているので顔を深くは見られない。しかしチラチラ見えるエリンの顔を見たほとんどの奴らは顔を赤くしていた。


「見かけが良くなったのは嬉しいが逆に周りがキモく感じるぜ」

「それを言ったらいろんな意味で終わるぞ」

「ならどうするはいいんだ?」

「スルー安定」

「……それしかないか」


 何かを諦めたのか大きなため息を吐くエリン。俺は彼女の気持ちに半ば同情しながら共に買取店から出て行く。

 その後、一泊3万Eもかかる高級宿屋の2人部屋を確保。この宿は設備が揃っているのと警備も相当厳重である。なので俺達は部屋に入った瞬間フードを脱ぎ椅子に座る。


「さてと今日はここまでだ」

「あー疲れたぜ。なぁガスト! レベリングは終わったから次は奴らのところに行くんだよな」

「当たり前だ」


 ここまで来て何もやりません。はやりたくないのでエリンの言葉に頷き。彼女の反応を見ながら会話を進めて行く。

 その結果、数日は休むつもりでゆっくりする事を決める。


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