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15日目:ゴブリン+女=繁栄


「au?menbenhu?」


馬車を走らせていた女商人は道の先にあるオズの村を見つめて首を傾げた。


もう真夏だというのに村の周囲を覆う麦畑には、麦を刈り取る農民がだれも居なかったからだ。


それに村の門番もいない。彼女の記憶が正しければ一週間前より布告された徴兵令によって村の男は兵士として徴収されたはずであった。


それより前から来訪者への検問のために門番は村の男で交代制を敷いていたものの、オズの森で銀級冒険者クランが一匹のオーガとゴブリンに壊滅されてからは10人以上が交代で門や詰所に居たはずである。


「keutaipu?」


だがよく考えてみると今はもう昼過ぎだ。畑にに人がいないのも休憩か朝食を食べるために中に戻ったのだろう。


それに門番が居ないならいないで門前で止まって、人を呼べばいいだけである。


流石に伯爵からの遣いを任せられているとはいえ、彼女も勝手に村の中に入る事はしない。基本的に地方の農村部は閉鎖的で外部の者に対する警戒心は高い。特にオズの大森林の最前線にあるこの村は、豊富な山や川の幸を求めて怪しい商人や旅人なんかも多く来る。


そんな中で、これまで誠実に通ってやっとこの村でまともな商いをすることが出来るようになったのだ。特に戦乱の波が届かない王国東部の田舎はまだまだ男社会であるから、最初の頃は余計に苦労したものだ。


そんな彼女にしてみれば、不法侵入なんかで積み上げて来た信用を崩すわけにはいかなかった。そうでなくとも、この戦乱の世では信用こそが世を生き残る術だと商人の彼女は信じていた。


まして彼女は二児の母なのだ。今年で8歳になった双子の姉妹。夫婦そろって溺愛する可愛い子供達だ。しかし近隣の男共が根こそぎ駆り出されるほどに熾烈を極める戦乱の世において、女が代わりに外に出て子供の飯を確保しなくてはならい。だからこそやっと軌道に乗ったこの商売を潰すわけにはいかなかった。


だから彼女は村の西門の十数メートル先で馬車を止まらせた。外敵の侵入を防ぐための堀と、大人の背丈ほどある盛り土でちょうど村の中が見えないぐらいの位置で。


「sumyasan!huanoanomone!!derekuora!!」



そして彼女は村の中の住民に聞こえるよう大きな声で呼びかけた――それは道の両脇に生茂る麦畑より近づく足音に気付かぬほどに。


「daruka!imuseuka!!yugoukapune――tt⁉hya⁉」


それは唐突に起きた。実際は彼女がこの村に辿りく十分前には始まっていた事だが――少なくとも彼女はそう思っただろう。


昼食時なのにもかかわらず一切の人声や雑音が聞こえない事に若干の気味悪さを覚えながらも、彼女は元気いっぱいに叫びながら自分の存在を周りに知らせる。


そして息継ぎの為に少しの間が空いた時、自分が座る前板を誰かが掴む音がした。それまで彼女は愚かにも気づかなかったのだ。自分の髪を今まさに掴もうとするゴブリンが近づいてきている事に。


「yamupe!!yapa⁉anate!!anate⁉」


自分の髪を鷲づかみ、地面をへと引きずるゴブリンの腕を掴み彼女は必死に抵抗する。しかし反対の右から来たゴブリンにその腕を放され、彼女はなすすべなく組み倒された。


「apu……a…」


「飛んで火にいる夏の虫とはこのことか…よくやったぞボル!!コイツの初めてはお前にくれてやる!!」


「やったあああぁぁぁああ!!ボル最強!!ボル最強!!」


「ははっ!まったく可愛い奴だなボルは…って、コイツやっぱり商人か!」


「父上!馬車の中に積み荷が!!食糧や物品が沢山入ってヤス!!」


「おお!誠か、これは良い広い物であったな純よ」


「ああ…道理で西から運送業の匂いがプンプンプンすると思ったんだ!!こいつを倉庫に連れていけ!!」


「了解!!」


頬を地面に打ちつけられ痛みにもがく中、聞いたことのない、耳障りな言葉が聞こえて来る。一つは自分の頭を押さえつけるゴブリンから、もう一つは少し遠くからの奇声。


そして気付けば彼女の周りを影がぞろぞろと覆っていく。頭を押さえつけられる中、なんとか目を見上げて見れば周りの子弟に対して偉そうにふんぞり返るゴブリンがいた。


奴が来た途端、自分の頭と手足を抑える者を除いて、三匹のゴブリンが平伏する。そしてその隣にはゴブリンが二人分あろうかという巨大なオーガが自分を見下しながら仁王立ちしていた。


「aa…aauauuu……musaka…kenna……」


それを見た時、彼女から覇気のない言葉が漏れた。良く見ればこの目の前にふんぞり返るゴブリンとオーガが手に持っているのは、村を守るために徴兵された兵士への支給品だった。


そしてこれまで自分が村に訪れる際に抱いていた疑問がこのような形で結びついたことに、そしてこれから自分に訪れる最悪の未来に絶望してしまったがために、それ以降彼女はなにも口に出すことはなかった。


抵抗したら死ぬ、その恐怖が体を硬直させる。ゴブリンに縄で縛られ、女奴隷が収容されている倉庫へと引きずられる中、彼女は自分が来た道を見つめた。


その目は諦めていなかった。


いつか助けが必ずやってくる。それまでどれだけ辱めを受けようとも生きる努力をする。そんな瞳であった。二人の子供と、愛すべき夫の存在が彼女を恐怖から守ったのだ。



だが…その決意は端か半日で決壊した。



多くの裸の女性たちが縄で腕を縛られ、うなだれていた倉庫に連れてこられたのち、直ぐさま彼女たちと同じように拘束された彼女は、謎の体液を飲まされる。


するといきなり体が熱くなった。


そしてそれは見る見るうちに下腹部に集まっていく。


気づけば瞳孔は開き、息は荒くなっていた。そんな彼女の制止の言葉も空しくゴブリンが下半身を近づけた時には――二次の出産で産後から緩んだ、夫のそれでは満足出来なかった自分のナカを、凶暴な鬼の棍棒は無造作に侵していく。


自分の意志を無視した快楽によって、精神と乖離していく己の身体に彼女は呆然としていた。


驚愕、恐れ、恥じ、自己嫌悪――いくつもの感情が湧き出て行っては圧倒的な快楽によってそれは打ち消されていく。幾十の〇頂の果てに視界がもうろうとするなか、彼女はある逸話を思い出した。


それはゴブリンに攫われた村娘の話しだ。別にそれ自体はよくある事であった。だから救出できたとしても既に子を孕んでいたり、心が欠損してしまったなどの不幸な話も、巷では良く聞いた。


それについては一女性として怒ったり悲しんだり、同情したりもした。しかしこの話には続きがある。ゴブリンに攫われた村娘は助かった後も、ある日を境に森へと入ってしまうらしい。


彼女にはそれがどうしても不思議でならなかった。ゴブリンに襲われた彼女らが、体力的にも精神的にも一人で行動できるのかと。自分が攫われた森の中であれば余計にだ。


その時は一族の恥として家を追い出されたのだろうと無理やり納得していた。しかし今であれば分かる気がする。彼女たちはきっと、今の自分のように壊されてしまったのだろう。


そう思わなければこの残酷な現実とどう向き合えば良いのか彼女には分からなかった。





どれだけ最愛の夫のが恐怖から身を守ってくれたとしても、妻を女に変える圧倒的な快楽からは守ってはくれない。



こうして日が沈む頃には、一匹の立派な雌豚が出来上がっていたそうな。




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