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幼馴染とのやりとり


「あんた大学どこ行くのか教えてくれなかったけどどういうつもり。」


どいつもこいつも大学大学とうるさいやつだなと眉間に皺をよせるレナード。

それを察してかペイジが何よとさらに聞いてくるのことで自分の神経を瞬間湯沸かし器のように逆撫でさせているのが自分でもよく分かった。


一体全体僕の周りには大学のこと以外を聞いてくるような人間は一人もいないのだろうか。

それとも一周回って僕自身が大学になってしまったのだろうか———————



「お前には関係ないし第一、僕が合格するような大学に脳筋のお前も合格できるとは思えないから伝えるだけ無駄。」



そう言ってレナードはペイジを突き放す。



「脳筋脳筋うるさいのよ失礼な。あんたが今にも自殺しそうな表情してるからくそみたいな世間話振ってやってんのよ。それぐらい察しなさいよバカ。」



「まさにその死にそうな表情をしている根本原因が隣にいる件は完全に無視ですかそうですか。」



「あんたってホント分からず屋ね。」



ペイジはその鋭い目つきでレナードをにらみつけると手癖なのか長いパーマの髪の毛をくるくると器用に触りだした。

そしてレナードの持ち物をちらっと見るとこう言った。



「今日これから大雨なのに傘持ってきてないの。天気予報を見ずに外出るとかまるで子供ね。」



しまった、雨が降るのをすっかり忘れていたとレナードは思った。

またバカにされる理由をつくってしまったのは癪だったがとりあえず黙ってるとペイジにつけあがられ永遠のループが始まるために言い返す。



「雨に打たれたい気分なんだよ。」



「そのとってつけたしょうもない理由が多少お勉強ができても子供だってバカにされる所以ね。」



こいつは何故こんなにも僕にかまってくるのだろうか、とレナードは頭の片隅で疑問に思ってしまった。

昔からこうだといえばこうだったかもしれないが、それにしても人が嫌がっているのに図々しくも隣に陣取って不幸をまき散らすような人間ではなかった記憶がある。



「私もう帰るけど、あんたまだここにいるなら雨降るまで時間ありそうだから傘貸してあげようか。勿論今度ご飯行ったときあんたのおごりで。」



「普通に傘買ったほうが安上がりじゃんかそれ、傘は借りないでおくよ。」



レナードはそれとなく提案を断り再び芝生に背中を預けた。


確かに遠くのほうで積乱雲のような分厚い雲が夕暮れの空を覆い隠そうとしているのが見て取れたし、そちらのほうからそれとなく風が吹いているようにも感じれたから多分ペイジのいっている大雨っていうのは本当の事なんだろうとレナードは思った。


人通りも少なくなってきたのは多分この雨の予報のせいもあるんだろう、


そうレナードは考えたが、雨が降ると分かっていてもなおまだ家に帰る気にはなれなかったし、まだちゃんと芝生に腰を下ろしてからそんなに時間もたっていなかった。



「とりあえずもう少しだけここにいるよ。そしたら帰る。」



「わかった。じゃあ風邪ひかない程度に濡れてから帰りなよ。」



ペイジは嫌味なのか嫌味ではないのかわからない台詞をはき舌をべーっと出した後、軽やかに立ち上がって足早と去っていった。


嵐よりも嵐のような時間が過ぎ去りやっと自分の時間に集中できるとレナードは思った。



風が思ったよりも湿気を帯びてきて妙に居心地が悪くなってきたのを感じる。

さらに強く巻き込むような風にあたりも段々と暗さを増していった。


それでもまぁいいかとレナードは割り切り、それこそ散歩と何も変わらないような本当に短期的な家出に結果としてはなってしまうが少し雨が降ってきたらさっさとバスで帰ろうと決めた。



そうして再び目を瞑り、湿気漂う秋の夕暮れ時にゆっくりと眠りの世界へと落ちていった。



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