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僕たちが出来ること  作者: 環流 虹向
自身の正義
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無能

すれ違っていく凶妖から、また人数を伝えられて合計6人。元団員がいるらしい。


先に行った嘉蘭さんを、樂が匂いで見つける。


すると、嘉蘭さんが1人で6人を相手にしてる。

その中で1人特に濁った色をしている。


相手は容赦なく銃を何発も撃ったり、武器を嘉蘭さんに向ける。

嘉蘭さんはそれでもなんとか攻撃を避けていた。


樂がその人たちの動きを封じ込める言葉を、向日さんにもらったマスクをつけて唱え始める。

これは、この日のために作ったまじない。

人を止めるまじないと凶妖を止めるまじないをミックスしたもので、これで凶妖化する前の人間を動きを止められるらしい。


その間に、僕と琥崙さんと樂で凶妖化し始めている6人を嘉蘭さんから引き離す。


僕が引き離した女性は、この中で今にも凶妖化しそうなほど色の濁りがひどい。


僕はできる限りの力を出し、元団員を地面に押さえつける。


虎雅「あなたの名前は!?」


僕はまず、相手の意識を自分に集中してもらう事にした。


「ああ?…あだっ、ああだぢ…まえ…?」


だいぶ酷い…。

まともに言葉が喋れなくなっている。


琥崙「その人は、天音あまねだ!高治たかじ 天音あまね!」


同じように団員を押さえつけてる琥崙さんが、僕に名前を教えてくれる。


虎雅「高治天音!戻ってこい!心を奪われるな!」


「ンガアアア!…ああ!ぐあぁぁぁがああぁあ!」


今必死にこの人は心の中で戦ってる。


虎雅「高治天音!あなたを助けたい!あなたの心を手放すな!」


ダンダン!っと暴れまわる天音さん。

僕が力尽くで抑えているのに、さらに力を上げている。


「だ、だぁ…づげで…。」


天音さんの目から一筋の涙が零れ、一瞬濁っていた色が淡くなったが、すぐさま濁ってしまいまた叫び始める。


琥崙・嘉蘭「「天音さん!」」


僕の元に2人が来る。

3人が相手していた5人は落ち着いたのか、縛られて横たわっている。

琥崙さんと嘉蘭さんも天音さんを押さえつける。


樂「…効いてない。」


僕の背後から樂が話す。


虎雅「どういう事!?」


樂「あの5人は凶妖化の途中だったから、今動かず眠っている。けど天音さんはまだ体が動き意識がある。だ…」


虎雅「天音さん!琥崙さんと嘉蘭さん見てください!覚えてますか!?あなたの事を助けるためにここにいるんです!」


僕は樂の話を最後まで聞かず、天音さんに声をかける。

そんな事もうやっても無駄なのかもしれない。けど、かしらが使いたくなさそうにしていたから…、僕が天音さんに傷つけられようとまだ何か手があるかもしれない。


探せ…探せ探せ探せ。

どうしたら、戻ってくるんだ…。

焦りで頭が上手く働かない。


4人で力尽くで抑え必死で止めるが、天音さん1人の力に負けそうになる。


嘉蘭「天音さん!私たちの事、助けてくれたじゃないですか!」


琥崙「…なんで、なんであんなにも優しかった天音さんが慰撫団抜けて、今凶妖化してるんですか!おかしいです!元の天音さんに戻ってください!」


2人とも涙を流しながら、天音さんに訴えかける。


樂「天音さん。ちゃんとみんなの言葉、聞いてください。お願いします。」


樂が天音さんの頭を抑え、冷静な声で話す。


虎雅「…げ、限界かも。」


樂が僕の事を見て、ポケットからかしらに渡されたガラス細工に入った血を手に持つ。


虎雅「待って!」


「ガアァアアァァァァ!」


と、天音さんが叫び声を上げ今まで以上の力で押さえつけていた4人が跳ね返され、僕と隣にいた琥崙さんの腹を引っ掻く。


琥崙「…ぐっ。」

虎雅「いっ…!」


その様子を見た樂と嘉蘭さんが僕たちを抱えて、天音さんから引き離す。


血の涙を流し、天音さんはバキボキと骨を鳴らしながら、体の形態を四足歩行で走りやすいように形を変えようとしている。


虎雅「天音さん!」


樂「もうだめだ。俺が打ってくる。」


虎雅「だ…」


樂の腕を引き、僕が駄目だと樂に言いかけたその時、声が頭の中で見える。


『…誰も殺したくない。助けて。』


その言葉が見えた瞬間、僕は自分のポケットからガラス細工を取り出し、今までにない速さで骨を鳴らし形態を変えようとする天音さんに近づく。


本当に僕はだめだ。

自分の中で解決策を考えても、絞り出そうとしても、何も思いつかない。

どれだけ鍛錬しても、今より強くなろうと天音さんの心を動かす事が出来なかった。


…キキさん、僕は才能の持ち主ではなかったようです。


しかもその間違った判断で、琥崙さんを傷つけてしまった。

仲間に怪我を負わせてしまった。

本当に僕は僕に腹が立つ。

これは僕が起こしてしまった事の責任だ。


天音さんに腹を削られようと、天音さんの凶妖化を促してしまったのは僕なのだから痛がる価値の人間じゃない。


天音さんの背後に僕は立つ。


虎雅「天音さん。本当にごめんなさい。僕はあなたを助けに来たのに何も出来なかった。僕の身勝手な発言であなたの人生を狂わせた。本当に…」


『いいの。人に戻して。』


天音さんの優しい声が頭に響く。


僕は天音さんの腕にガラス細工を差し込む。

差し込んだ途端、天音さんが叫び喚く。


すぐさま琥崙さんと嘉蘭さんが、苦しがっている天音さんを抱きしめる。


虎雅「本当にごめ…」


樂「謝っても出来事は変わらない。」


虎雅「で…」


樂「謝りたいなら、人間なった天音さんに直接伝えろ。」


虎雅「…わかった。」


その後、捕まえた団員たちを樂が送り届け、嘉蘭さんと一緒にせいさんに頼まれた鮮纏結の結界を作りに行った。


僕は流す資格のない涙を拭き、琥崙さんと狼煙に向かい応急処置を受け、死んでしまった凶妖を埋葬してからかしらの屋敷に帰った。


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