暁天
あの後、数珠丸さんがこの家に救護班の方を呼んでくれて、清くんと真司の手当てをしてくれた。
2人とも気を失ってしまっただけで、後遺症が残るものではないとのこと。
それで一安心したいところだったけれど、
あんなに怪我を追わせてしまったことに僕は僕を責めた。
僕が追い出した人たちが、向こうの都合がいい人間を集めて凶妖狩りをしている。
こんな事をほかの誰かもされているんだと思うと辛かった。
絢愛「…虎雅、中入ろう?」
僕はベランダとリビングの間の縁に座ったまま1人考えていた。
虎雅「…はい。」
僕は立ち上がり、中に入る。
絢愛さんが窓の鍵とカーテンを閉める。
真司と清くんは意識が戻ったようで、樂と一緒に話をしていた。
虎雅「…2人ともごめんね。僕2人を守るって約束したばっかりだったのに。」
真司「虎雅にぃは悪くないよ。殴ったり連れ去ろうとした奴が悪いんだ。」
清「そうだよ。虎雅は悪くない。」
2人ともガーゼや湿布まみれの顔で笑う。
虎雅「うん…ごめん。」
僕はまた泣きそうになった。
樂「おい、泣くな。2人とも生きてここにいる。それだけで十分だ。」
虎雅「…うん。」
僕は目を開けて瞬きをしないで、潤んだ目を乾かす。
「すみませーん。」
と、玄関から声が聞こえる。
絢愛「あれ?この声聞いたことある!」
絢愛さんが玄関に突っ走る。
絢愛「わぁ!なんでここにいるんですか!?」
と驚く声が聞こえ、みんなで玄関を見に行くと、災獣園を管理してる杏さんがいた。
虎雅「え!なんでここにいるんですか!?」
杏「世永に頼まれたんです。虎雅たちがいない間、しばらくはここの子のお守りをしてって。」
絢愛「ベビーシッターですか!?」
杏「そんなとこ。じゃあ挨拶がてら、おしるこ作るよー。」
杏さんがズンズンと家の中に入り、キッチンでおしるこを作り出す。
杏「みんな、昼まで寝てください。疲れたでしょう?」
虎雅「え!ま、まぁ…」
杏「私もある程度戦えるから。安心して寝てください。」
虎雅「…ありがとうございます。」
杏さんの言葉に甘えて、僕たちはリビングでマットレスを敷き、みんなで寝ることにした。
外はもう明けかけている。
絢愛「修学旅行みたいだね!」
樂「なんでお前が真ん中なんだよ。」
絢愛「みんなの温もり感じたいから!」
樂「…虎雅、交換しろ。」
虎雅「僕、端っこじゃないと落ち着かないんだよね。」
樂「清、交換。」
清「…。」
清くんはすでに寝ている様子。
他のみんなも疲れたからか、ぐっすり寝てる様子だった。
絢愛「ほら、みんな寝てるから静かに!」
樂「…。」
虎雅「おやすみ。」
絢愛「おやすみなさい!」
杏「…おやすみ。」
僕の慰撫団に入って初めの大晦日は、とても長い1日になった。
普段だったらあっという間に終わる一年の締めくくりの日なのにとても長く早く過ぎ去っていった。
僕は目を瞑り、おしるこの香りに包まれながら眠りについた。




