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僕たちが出来ること  作者: 環流 虹向
自身の正義
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不審者

ベランダに立ってから気づく。


虎雅「あれ。ベランダって、窓閉めてるよね?」


清「絢愛さんが閉めてなければ。」


絢愛「あれ?清が閉めてなかったっけ?」


樂が窓を掴み、横に開けると普通に開いた。


虎雅「物騒だなぁ…。」


僕は中に入り、リビングの電気をつけようとすると、


「虎雅にぃちゃん…!付けないで!」


と、彩晴が翔馬と優太と震えながら縮こまって小声で叫ぶ。

僕はびっくりして3人の元に駆け寄る。


虎雅「どうした?」


彩晴「少し前から、ずっと玄関の外から物音がするんだ。」


虎雅「え?」


絢愛「…本当だ。3人くらいいる。」


絢愛さんは玄関の方を見て、目を離さない。


虎雅「おばさん呼んだ?」


彩晴「携帯、自分の部屋に置いてあるから取りに行けてない。」


彩晴たちの部屋は玄関に一番近い部屋で、玄関に耳をつけていたら物音がするくらい距離が近い。


[ガチャガチャガチャガチャ!]


急に無理くりドアノブを回す音が聞こえる。


3人の震えが一層強くなる。


虎雅「ごめんな。もう大丈夫。」


僕は立ち上がり、真司と清くんに3人のそばにいてもらう。

僕、樂、絢愛さんで玄関に繋がる廊下に行く。


虎雅「樂。外から回り込んで見てきてくれる?」


樂「わかった。」


と言って、樂に外の玄関が見えるとこに飛んでもらい誰がいるのか様子を見てもらう。

少しして、樂が戻ってくる。


樂「元団員だ。絢愛の言う通り、3人がここの玄関の前にいる。」


虎雅「なんで来たんだろう?」


樂「…真司があの本に載ったからかもしれない。」


絢愛「え!真司連れてかれるの?」


虎雅「そんな事させない。」


樂「俺、数珠丸呼んでくる。」


虎雅「わかった。」


樂はそのまま数珠丸さんを呼びに飛んで行った。


僕は小さくなった銃を取り出し、元の大きさに戻すために弾く。


絢愛「当てちゃダメだよ?」


虎雅「分かってます。」


僕と絢愛さんは、静かに玄関に向かう。


玄関にはみんなの靴が転がっていて、足の踏み場があまりない。

チェーンロック…は、ついてない!


多分、彩晴が僕たちの帰りを待ってのことなんだろう。


虎雅「僕、あれをつけるので絢愛さんはそのままで。」


絢愛「分かった!」


コソコソ話で要件を伝える。


僕はなるべく音がでないように、忍び足で扉に向かう。

息を薄くしてどんなに些細な音も出さないよう慎重に動いていると、ドアノブから出てくる音が変わる。


[カチャカチャ…]


…え?まさか鍵を開けようとしてる?


[カチャン…]


そう思った時、内鍵の出っ張っているつまみ鍵がくるんと回る。


僕は音を抑える事も忘れ、勢いよくチェーンロックをかけた。


「おい!いるぞ!」


外から声が聴こえる。


僕は銃をドア越しに構え、開いた瞬間を狙う。


[ガチャ!]


ドアが開く。

僕は引き金を引き、打つ。


幸い誰にも当たらなかったが、向こうの1人が腕を入れ、僕に銃を突きつけてこようとした。


僕はその腕を払いのけようとしたその時、

その人の腕が通常の方向に向かない方に曲がり、腕の持ち主が叫ぶ。


「人に銃口突きつけるな。今のお前らに武器を持つ資格はない。」


数珠丸さんの声だ!


僕はチェーンロックを外し、扉を開ける。


見ると数珠丸さんともう1人の団員さんが2人を拘束し、1人が逃げようとしている。


虎雅「待て!」


そいつがアパートの縁に乗り飛び降りて逃げようとした時、上から降りてきた樂がそいつを蹴り倒し拘束する。


樂「真司は?」


虎雅「中に…」


絢愛「真司!」


絢愛さんの声が僕たちの部屋の中から聞こた。

僕は走って中に入る。


リビングに急いで行くと、震えている3人と顔に殴られた痕がある清くんが3人に覆いかぶさるように倒れている。


絢愛「真司を離して!貴方たちがしてることは何も生まない!もうやめて!」


絢愛さんがベランダの方で誰かに大声で訴えかけている。


僕は心が痛みながらもベランダに行くと、顔を複数殴られ気を失ってしまった真司をベランダの縁に乗って引っ張る元団員と、真司が連れ去られないよう必死にリビングの方へ引っ張る絢愛さん。

どちらも力いっぱい離さない。


腹から煮えたぎるような怒りが僕の中で起こる。


虎雅「…おい。何してんだよ。」


「てめぇはあの綺麗事言ってたガキじゃねぇか。」


元団員は顔を歪ませる。

僕はベランダに出て真司を掴んでるそいつの腕を力任せに掴む。


虎雅「離せよ。謝れよ。お前らは何をしたいんだ。こんな酷いことをしてまで仲間集めをするのか。」


「お前こそ離せ。俺らは仲良しごっこじゃなくて、人を救うために動く。その時に自我を習ってない新人は扱いやすい。」


この一言で僕の何かが切れてしまった。


仲良しごっこで命を張る馬鹿はどこにいるんだ?

みんな、必死に共存出来る未来を望んでいるんだ。

大して話を聞いてない奴に言われたくない。

人を救うためなら他の人間や動物を傷つけていいのか?

お前の大切な人がそう言われた時、お前ならどう思う?まずそこに頭を使え。

真司は物じゃない、扱いやすいなんて言うな。


グラグラとした怒りが腹の中で収まらない。


心臓が動悸を始めて痛くなる。

体がとても暑くなる。

目の前がだんだんと赤色に染まっていく。


虎雅「これ以上、僕の大事な人たちを傷つけるな。」


そいつの腕をさらに力強く握る。


「はぁっ?」


[パキ…パキパキバキ!]


何かが折れる音と共にそいつが叫ぶ。


絢愛「虎雅!」


絢愛さんの声で我に帰る。

心臓の動機が治り、一気に体が冷気で冷えていく。


僕はその人の腕を離す。

離した腕を見ると変な方向に曲がってる。


すると僕の肩を樂が引き、ベランダから落ちそうになる元団員を引き上げる。


樂「…今のはもう止めろ。絶対するな。」


虎雅「え…う、うん。」


樂が元団員を拘束し、数珠丸さんがいる玄関に連れて行く。


絢愛「…虎雅、今のはもうしないで。虎雅じゃなくなっちゃうから。」


虎雅「僕…、何がなんだか…」


絢愛さんが涙目で持っていたハンカチで僕の顔を拭く。

僕はその薄いピンク色のハンカチがどんどんと赤色に染まっていくのが見える。


僕…、今どうなったんだ。


…みんなは優しいから、しっかりとは言わなかったが僕は今きっと…、凶妖になりかけていた。

それは僕の目から出た涙から血が出ていた事、

凶妖独特の心音となる動悸、心臓に流れ込むドロドロとした感情を経験した記憶が物語っていた。


僕は僕に怒りを覚える。

あれほど、気をつけろと言われてきたのに自分を抑えられなかった。

元団員だとはいえ、人に怪我させてしまった。

僕が身代わりになって守ると言ったのに2人を守れなかった。


自分の弱さが辛い。


僕は力なくベランダでしゃがみこんだ。

絢愛さんがなにか言葉をかけてくれているが、今は何も入ってこなかった。

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