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僕たちが出来ること  作者: 環流 虹向
自身の正義
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計画

[ジャリ…]


柔らかい冷たい風と石を踏む音で目を開ける。


真司「え?京都?」


虎雅「ううん、東京。」


絢愛「世永さーん!」


絢愛さんは石庭をなるべく荒らさないように大股で走っていく。


[パァン!]


縁側の向こうの障子が勢いよく開く。


世永「おい!今日は人生史上最高の傑作が出来たんだぞ!」


絢愛「ごめんなさい!」


虎雅「すみません!」


真司「…?」


僕は絢愛さんの足跡を辿りながらなるべく崩さないように歩いていく。

その後を真司は僕と同じように着いてくる。


樂と清くんは普通に歩いて世永さんの所に向かう。


縁側に着く頃、文句を垂れ流していたせいさんがうわぁぁんと泣き始めた。真司がそれを見て少し引いている顔している。


樂「泣くのはこいつの趣味だからほっとけ。」


真司「え…?うん?」


せいさんが縁側でジタバタ駄々っ子みたいに泣き崩れていると、真司と目が合ったらしくピタッと止まる。


世永「あれ?新人?」


樂「そう。清の友人らしい。」


真司「砂嘴甲さしづめ 真司しんじです。」


世永「真司ね、よろしく。私は臓方の華宮はなのみや 世永せいえい、えいちゃんて呼んでね。」


真司「目上の方にあだ名で呼べません。」


世永「俺は気にしないよー。」


清「えいちゃんでいいんだよ。」


真司「えー…と、考えときます。」


世永「わかった。決まったら教えてね。」


真司「はい。」


世永「で、みんなでどうしたの?何で凶妖の鷲も一緒なの?」


みんなで中に入って、さっき傀奡かいごうから聞いたことを伝える。


世永「そっ…かぁ…。…大地の神様はご乱心って訳ね…。」


世永さんは笑顔でそう言葉を放ったけど、

感情はまた別のところに行ってしまったような空っぽの笑顔だった。


樂「慰撫団は人も足りない。國琉(こくりゅう)は封印出来る類いじゃない。出て行った奴らは少数で複数の場所で凶妖狩りをやっている。この状況どう考えたって…」


絢愛「樂!大丈夫!どんな事にも解決策はあるの!神様は私たちを試してるんだよ!その國琉様の怒りをまず収めよう!」


世永「そうだね。あやちゃんは何かいい考えある?」


絢愛「いえ!今のところないです!」


世永「そうだと思った。うーん…。」


[スッ…]


僕の後ろの襖が開く音がした。


「どうしたの?」


後ろを振り返ると、(かしら)愛芽李(あめり)さんが立っていた。


世永「あ、姉ちゃん。ちょっと詰んでる話。」


頭「そう…。私にも聞かせてくれる?」


かしらの手を愛芽李さんが引き、僕の横に愛芽李さん、かしらの順で座る。

世永さんがさっき共有したことを簡潔に伝える。


その間に、なぜせいさんの屋敷にかしらがいるのか愛芽李さんに聞くと、せいさんの焼いた焼き芋を食べに来ていたらしく、待っていたら賑やかな声につられてここの部屋に来たと話してくれた。


頭「そう…なのね…。害のない凶妖を私たちの仲間が殺して、動物たち住処の秩序を乱してる。その範囲が全国的だからこそ大地の神の怒りに触れているのね。」


傀奡『この方は?』


虎雅「かしらだよ。かしらも僕のように傀奡の声が聞こえるよ。」


頭「そこの子が伝えに来てくれたの?」


虎雅「はい。」


頭「ありがとうね。私たちの仲間が山荒ししてしまって本当にごめんなさい。…謝っても貴方たちの仲間が戻ってはこないけれど、これ以上犠牲を出さないようにするね。」


傀奡『…ありがとうございます。』


傀奡が頭を下げる。


世永「姉ちゃんは何かいい提案あるの?」


頭「まずは、凶妖や自然に生きる動物たちの安全な住処を確保しないとね。」


刹牙『命ある限り、安全な場所なんかない。』


頭「…それもそうね。そう思わせる世界を作ってしまって本当に申し訳ないわ。でも、今いる場所よりは安全な場所があるの。」


刹牙『…?』


世永「え…、姉ちゃん本気?」


頭「うん。」


全く話が見えない。かしらとせいさんの頭の中ではどんなアイデアが出来たんだ?


樂「それは…、本当に出来るんですか?」


樂も分かっているらしい。


頭「いつも以上に私たちが頑張ればいいだけなの。私たちが伸び伸び自由に暮らしている傍らには、多くの肩身の狭い思いをしている者がいる。私はその子たちのためにしようと思うの。」


世永「…規模は?」


頭「そうね…。傀奡、どこの地域が一番被害が大きいのかな?」


傀奡『本州全域。他の地域は被害が少ない。北海道はゼロです。』


頭「そうなのね。じゃあ東北の子は北海道に、関東・中部は東京、関西は京都、中部を福岡と四国でお願いしようかな。」


何か区分を始め出したかしら


傀奡『?』


世永「いつも無理して…。」


頭「私と世永がいるから大丈夫。」


世永「…そうだけどさぁ。その後は?食料が少なくなるよ?」


頭「大丈夫。すぐにみんな元の住処に帰れるから。」


世永「…姉ちゃん、見かけによらずいつもパワープレイだから困るよ。」


せいさんが呆れている。


虎雅「…あの、話が見えないのですが…。」


頭「ごめんね。凶妖と自然界に住む動物たちを一旦慰撫団の臓方と私の敷地に移動してもらおうかって話。」


虎雅「そんなこと出来るんですか!?」


頭「生き残りたいと考えてくれるなら、動いてくれると思う。どうかな?」


傀奡『…伝達はしますが、動くかはあいつら自身です。』


頭「うん。なるべく多くの子が動いてくれると助かる。」


傀奡『なぜですか?』


頭「その動きを見て、私たちの仲間がこちらに来ると思うから。」


虎雅「!」


そういう事か。

かしらはそこまでを一気にやってしまおうと考えてるのか。


かしらは、凶妖を大移動させてその動きをわざと元団員さんに見せ、後を追わせて見つけようとしてる。


せいさんが言ったようにパワープレイだ。


傀奡『貴方は落ち着いてる雰囲気なのに、大胆な事をおっしゃるのですね。』


頭「大きい事柄を動かすには、多数の個が団結する事が重要なの。だから大胆にも聞こえるのかもね。」


刹牙『大胆な女は好きだ。』


頭「あら、ありがとう。嬉しい。」


かしらが笑いながら、刹牙を撫でる。


絢愛「ええっと…?大移動はいつするんですか?」


頭「伝達も必要だと思うから…、2週間後の明朝はどう?國琉様の計画までには間に合う?」


傀奡『それだけ時間があれば十分です。國琉様は半年間、計画を練るので。』


頭「ありがとう。2週間後の1月15日、日の出と共に凶妖たちの大移動を手伝い、元団員たちを私たちの元へ引き戻す。ある程度手荒な事になると思うけどよろしくね。」


「「「はい!」」」


頭「傀奡、伝達した子にはこれを一粒あげて。」


かしらは傀奡の口に一粒の木の実を入れる。


頭「この木の実は、華宮家に初代から育てられてきた挑志木とうしぼくの木の実。これを食べれば道に迷わない。後で袋いっぱいの木の実を渡すから移動してくれる仲間にあげていってね。」


傀奡『分かりました。』


頭「じゃあ私は臓方たちに電話してくるから、みんなは早く体を休めて、この事に備えてまた朝から鍛錬頑張ってね。」


「「「はい!」」」


かしらは立ち上がり、愛芽李さんと部屋を出ていった。


世永「伝えてくれてありがとう。虎雅は本当に優秀だね。いつもありがとう。」


虎雅「いえ!樂が僕の家に傀奡を連れて来なければ、今も分からなかった事なので。」


世永「そっか。樂もいい子だ!」


せいさんが樂の頭をわしゃわしゃ撫でる。

樂はピクリとも表情を変えない。


大事な話を終えたからか、どっと疲れが襲いみんなであくびをする。


世永「もう3時か!みんなもう寝なさい!」


樂「清の稽古が…」


世永「寝ないと育たないよ!脳も体も心も!」


樂「…清はどうしたい?」


清「僕は梵唄さんが言ったとことをやるだけなので。」


世永「え。俺は?」


清「梵唄さんが僕の師匠なので。」


世永「えぇ!俺、樂の師匠的な存在なんだけど!」


3人が揉めあう中、絢愛さんと真司と僕は帰ろうとしていた。


虎雅「樂も清くんも一緒に帰って寝よう?その後初詣、一緒に行こうよ。」


絢愛「そうだよ!樂も清くんも私より背が低いんだから寝て育たないと!」


樂「お前はいつもヒール履いてるから、俺を抜かすんだろうが。」


絢愛「ね!だから一緒に帰ろう!」


世永「ほらぁ、友達が一緒に帰ろうって言ってるんだから帰って初詣に行ってきな。」


樂が下を見て固まる。それを横にいる清くんがじっと首を傾げながら上目遣いで見る。


樂「…俺はソファで寝たくない。」


清「僕は床で大丈夫です。」


虎雅「大丈夫!僕たちの布団をリビングに広げればみんなで寝られるから!」


絢愛「枕投げしよ!」


真司「いや、寝るんだって。」


世永「じゃあ、みんなまた後でね。」


せいさんが僕たちに手を振って見送ってくれる。

樂が僕たちをベランダまで飛ばしてくれた。

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