御先祖様
せいさんが古い資料を広げて、指でさしながら説明してくれる。
世永「この本は鎌倉時代に作られたもので、妖退治した人が書いたんだ。
その時代は人の生死が多かった時代で人の魂、想いが残りやすくて、その魂が妖になることが多かったらしい。
この本を書いた人は未来を見据えて、人間が妖として人を襲うことがあるならば動物もそのようなことがあると考えた。
だからこのことを伝えるためにこの本を作り、持つべき人に渡るようにまじないをかけた。
時代は変わって現代、これは私たちの解釈ではあるんだけど今は様々な動物たちの犠牲にして俺たちは生きている。
家畜、ペット、娯楽とか色々。
動物たちの本望ではない生き方をさせてしまっているんだよね。
本望ではない上に人間の都合が悪くなるようなことをすれば殺してしまう。
それが動物たちの魂を妖に変えてしまうんだ。
妖力が強いものほど、魂の数が集まり長く妖として生きている。それが凶妖。
その妖を保護できればいいのだけれど、身を隠すのが上手くて見つけられない。
ご先祖様ならたぶん見つけられたんだろうけど俺の力も弱く、人手も少なく最近の災害を食い止められずにいる。」
虎雅「そう…なんですね。せいさんのご先祖はこの本を作った方なんですか?」
世永「うん、俺と頭はご先祖様と血の繋がりがあるよ。」
虎雅「…なんで、せいさんは頭にならなかったんですか?」
世永「今の頭は、ちょっと凶妖を封印するには少し不便な体なんだ。」
虎雅「そうなんですか…。そういえば、なんで噛まれた人にこの本が手元に出てくるのでしょうか?」
世永「凶妖が触れた場所は妖力を持つようになるんだ。その妖力を感知してこの本は出てくる。
人それぞれ噛まれた場所によってできることは違うんだけど虎雅はどこ?」
虎雅「頭です。」
世永「え!珍しい!頭と同じ箇所だね。あとで紹介しなくちゃ!」
虎雅「あ、臓方ってなんですか?」
世永「ああ、そうだったね。臓方は5つの区域に分けて、それぞれ1人代表がいるんだ。そこは医療を受けれたり、動物を保護したり、稽古を受けることができる家を管理して、全凶妖を封印することを日々考えてるかな、他のみんなはよくわからないけど。
あと臓方の次に力があるのが腹方。
腹方は各地飛んでいく動けるリーダーって感じかな。
臓方のサポート役で6人今はいるよ。樂も腹方だよ。」
虎雅「だから団地に帰ってこないんだ。」
樂「まあな、そっち帰ってもやることないからな。」
世永「虎雅、あとはなにか質問ある?」
虎雅「あー、封印する時って何か物使うんですか?」
世永「虎雅の場合、今は銃か刀かな?あとで試してみてセンスがある方使えばいいよ。」
虎雅「わかりました。後は今のところ質問はないです。」
世永「おし、じゃあ頭の所行くか。樂も行く?会ったことないでしょ。」
樂「ま、ついでだから行くか。」
よっこいしょっと立ち上がり、僕の手を掴む。
虎雅「え?なに?」
樂「え?飛ぶだろ?」
世永「いや、飛ばないよ。10分歩いた所にいるから。」
ばっと僕の手を払い、せいさんについていく樂。
僕も置いてかれないように2人についていった。