大丈夫
「おい、このもんじゃの野菜、日切れ今日だぞ。」
樂が刹牙を連れてくるついでに冷蔵庫に入っていたお土産を持ってきてくれたみたい。
虎雅「じゃあ、先にもんじゃの人に届けに行こう。もんじゃの人はどこに住んでるんですか?」
絢愛「沖縄!」
樂「下道だと明日になるんじゃないか?」
虎雅「飛行機…?」
樂と目を合わせてゆっくり絢愛さんを見る。
絢愛さんは難しそうな表情をする。
絢愛「…うん。うん!飛行機で行こう!日切れの物は渡せないからね!」
虎雅「大丈夫なんですか?」
絢愛「虎雅と樂に挟まれてればなんとかなるはず!」
無理して笑っているが、相当嫌いなんだろう。
樂「1日ぐらい大丈夫じゃないか?」
虎雅「…大丈夫だと、思う!」
絢愛「…2人は本当優しいね。でもいいの!飛行機のチケット予約して行こう!」
絢愛さんは自分のスマホで飛行機を調べ始める。
手が少し震えている。
樂「いいって。嫌なことあったんだろ。」
絢愛「分かんない。けど飛行機は怖いってだけ。」
虎雅「…。」
その記憶も無くなってしまったってことだろうか…。
『俺もついてる。』
虎雅「刹牙も乗れるの?」
樂「ペットは別じゃないのか?」
『乗り込む時は実体を見えなくすりゃいい話だ。』
虎雅「乗り込む時は実体見えなくするんだって。なんか分かんないけどすごいね。」
樂「じゃあわざわざ別にならなくていいんだな。」
絢愛「刹牙もいるから安心だね!」
『ねーちゃん、俺がいるから怖がらなくていい。』
刹牙が絢愛の足元に座って絢愛を見上げる。
どうしようもない奴だと思ってたけど、たまに優しいんだよなぁ。
虎雅「じゃあ…飛行機で行きますか…?」
絢愛「うん!もう席とった!」
樂「何時?」
絢愛「あと45分!」
樂「はぁ!?それなら早く行かないと。」
絢愛「え?もう少しゆっくりして5分前くらいに着けばいいんじゃないの?」
樂「馬鹿言うな。あと45分で飛行機は空の上なんだよ。5分前にはもう乗れなくなってるし、空港の広さ舐めんな。」
樂は準備した荷物を乱暴に集め、持てる分背負う。
絢愛「えー!そうなの!ごめん!」
樂「絢愛は早く刹牙を抱け。虎雅もぼさっとするな。」
虎雅「あ、ごめん。」
あっという間に荷物をまとめて玄関に向かう。
向日「バタバタね。」
絢愛「向日さん!ありがとうございます!」
向日「見透極通は、毎日やって質を上げてね。」
虎雅「はい!」
絢愛「はい!」
向日「見透極通は、噛まれた傷が深い人やちょっと考え事が多い人には中々難しいから、世永と頭の未世麗さんのこと守ってあげてね。」
虎雅「はい!」
絢愛「わかりました!」
樂「…なるほど。わかった。」
向日「気をつけて行ってらっしゃい!」
「「「お世話になりましたー!」」」
向日さんが僕たちが見えなくなるまで手を振ってくれる。
そして 飛行機に急いで乗り込み、ギリギリセーフ。
絢愛「間に合ったね!よかったよかった!」
虎雅「ですね!」
樂「はぁ…。疲れた。」
樂は座るやいなや、シートベルトをつけて目を瞑る。
絢愛「えー!寝ちゃうの?映画見ない?」
樂は無視をする。
『本日は…』
機内のアナウンスが流れ始める。
そろそろ動き始める。
[パシ…]
僕の手を絢愛さんが掴む。
虎雅「絢愛さ…」
絢愛さんを見るとさっきまで笑顔だったのに
顔の表情がこわばっている。
なにかトラウマがあるのだろうか…?
僕は手を握り返す。
虎雅「大丈夫です。樂も僕も刹牙もいます。」
絢愛「ありがとう。」
飛行機が揺れる。
離陸するために飛行機が動く始めた。
絢愛「…うぅ…。」
絢愛さんが目をぎゅっとつぶる。
虎雅「樂も手繋いであげて!」
樂の手を取り絢愛さんと繋げさせる。
樂「こんなんで気が楽になるのか?」
虎雅「分かんないけど、1人じゃないって思えるじゃん。」
樂「…。」
樂は静かに絢愛さんの手を握り返す。
まさかの恋人繋ぎをし始めた。
絢愛「2人とも大好き。ありがとう。」
目をつぶりながら、僕たちにお礼を言う。
離陸してからもずっと絢愛は震えながら僕たちの手を力強く握る。
大丈夫です。少しの揺れだったら落ちたりしません。
僕は手を握りながら、絢愛さんの耳にイヤフォンをつけて映画の音を聴かせる。
樂はあのまま寝てしまったみたいだ。
僕は絢愛さんと外に景色をじっと見て、4〜5時間過ごした。
・
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絢愛「あー!生きてるー!」
樂「当たり前だろ。」
虎雅「無事について良かったですね。」
絢愛「うん!」
いつも通りの絢愛さんの戻る。
良かった。
樂「じゃあ行くぞ。」
3人で手を繋ぎ、大一さんの家に向かう。
元臓方らしいけど、どんな人なんだろう。
優しく暖かい風が顔を撫でる。
目を開けると、少し古い一軒屋に着く。
樂「ここか?普通の民家っぽいが…」
絢愛「うーん…あ、表札に嘉田苛って書いてあるからここっぽい!」
虎雅「インターホン…」
[ガラッ!]
勢いよく玄関が開く。
「ッチ。うるせぇ童供。ん…?絢愛か?」
絢愛「あ!大一さん!お久しぶりです!」
この人が大一さん。
身長何メートルあるんだろう。
今まで出会った人たちの中でダントツにでかくガタイがいい。
大きい福耳が特徴的だった。
数珠丸さんよりもデカイ!が印象に残った。
大一「入れ入れ。もんじゃ食わせろ。」
大一さんは家の中に入れてくれた。




