いい夫婦
屋敷の中に入ると、せいさんたちの声がかすかに聞こえる。
「失礼します。」
と言って、襖を開ける。
マキ「あー!虎雅くんありがとね!」
虎雅「はい!」
世永「それにしても、あの時はごめんね。結婚おめでとう!」
せいさんが何かプレゼントを渡す。
マキ「え!いいのに!ありがとう!開けていい?」
世永「いいよ!」
マキさんがウキウキで開けると、
『Yes』と書いてある枕カバーが二つ。
マキ「英語分かんないー。けどなんかおしゃれだね!ありがとう!たくさん使うね!」
世永「うん!まるちゃんとお揃いだからたくさん使ってね。」
数珠丸「俺も英語分からないからな…。まあありがとう。」
世永「うん!たくさん使ってね!」
あの顔はいたずら成功した時にする顔。
いつもの笑顔より目尻が下がっている。
数珠丸「じゃあ帰るか。」
世永「あれ?何かケンカ以外にも話あるんじゃないんだっけ?」
数珠丸「ん?」
虎雅「話してないんですか?」
世永「うん?」
虎雅「え、だから数珠丸さんの家に団員を辞めた人たちが来てたんですよ。武器を作ってほしいって。」
世永「何それ?本当?」
数珠丸「おう。でも理由も言わず作らせろうとしてくるから追い払った。あいつらなんとかしてくれねぇか?話がロクに出来ない奴ばかりでイラつく。」
世永「なんでもっと早く言ってくれないの!?」
数珠丸「?武器は全部取り上げてるから大丈夫だろ。」
世永「そういう事じゃなくて、武器を作ろうとしてることに意味があるでしょ!」
マキ「ごめんなさい。私もまるちゃんが伝えたもんだとばかり思ってたから。」
数珠丸「謝ることあるのか?」
マキ「大有りだよ!だって何かやろうとしてるから武器作ろうとしてるんじゃないの?」
数珠丸「なるほどなぁ…。」
世永「まるちゃんが鈍感なのは再確認出来たけど、その人たちはまるちゃんにまた武器を作って欲しくて家に来てたんだね?」
数珠丸「おう。でもみんな武器を理由を言わない。出ていった奴らが使う必要がないのになぁ。」
虎雅「なんで数珠丸さんの家に武器を持って来てたんですか?」
数珠丸「直してほしいんだと。理由を聞いたら俺の作った武器で俺を殺そうとしてきたから家を追い出した。それまでだ。」
武器に…素手…?
世永「なにか動いてるね…。よし、姉ちゃんに伝えてくるよ。」
せいさんが立ち上がる。
世永「あ、そうだ。虎雅ってもうすぐで冬休みだよね?」
虎雅「はい。」
世永「じゃあ、樂とあやちゃんと年末の道府県参りしてきて欲しいんだ。あやちゃんは何度か行った事があるから色々教わっといて。」
虎雅「どうふけん参りってなんですか?」
世永「あ、道府県参りはその地域の臓方にお礼と一年の報告みたいなものかなー。
臓方は俺含めて5人いるって前話したよね。」
虎雅「はい。」
世永「臓方はみんな華宮家の分家なんだ。北海道、京都、高知、福岡にいるから手土産持っていってきてね。」
虎雅「わかりました!」
世永「多分、樂とあやちゃんだと手土産ぐっちゃぐちゃになるから近くまで電車とか使っていいからね。」
虎雅「伝えておきます。」
世永「じゃあ、よろしくー。」
と言って、部屋を出ていった。
虎雅「すみません!無理やり連れてきちゃって。」
数珠丸「別に気にするな。俺はマキが笑顔ならそれでいい。」
マキさんはさっきもらった枕カバーを笑顔で、ずっと見つめている。
そうとうデザインが気に入ったんだろうな。
数珠丸「そういえば、お前の道具の整備しないとな。」
と僕の前に手を出す。
虎雅「?」
数珠丸「道具は?」
……!
虎雅「すみません!数珠丸さんの家に置いてきました!」
マキ「じゃあ、戻っておかき食べよっか!」
虎雅「はい!」
数珠丸「ちょっと待て。心の準備させてくれ。」
マキさんはそのまま僕と数珠丸さんの手を取り、家に戻った。
案の定また数珠丸さんは戻してしまった。
後片付けをして数珠丸さんとマキさんが道具の整備をしてくれる。
2人が整備してくれた後はとても使いやすい。
僕なりに2人の様子を見てやってみたりするが、なにかコツ的なものがあるのかその様に上手くいかない。
この2人だからこそ出来ること。
僕には出来ないのでとてもありがたい。
しばらく数珠丸さんの家でお茶とおかきを頂いた。
屋敷に戻るためにはここから1時間かかる。
僕は試しに唱えてみるがやはり難しい。
発音、音階、音量全てが合わないとこれは成功しない。
移動出来ないか試しながら屋敷に戻った。




