共存と滅亡
刹雅が凶妖の事について詳しく話してくれることになった。
虎雅・刹牙「今凶妖と人間以外の動物たちでどうやって生きていくか、大きく二つに別れてる。
まずは、今まで通り人間と共存していくこと。
そうすれば飼われている時、食べ物や寝床の心配はないからな。
でも自然を走り回るような自由はない。
飼われている奴は外に出かけたい時も人間が連れ出してくれない限り、外には出れない不自由さがある。
中には肥えさせるだけ肥えさせて食べられる奴もいる。
それは生きてるんじゃなくて、飼われてると言って反対派がいる。
反対派は人間の数を減らして…というより滅亡させ、自然を取り戻して元々の動物の社会を取り戻そうとしている。
それが今、人間に悪さをして襲ってるんだ。
多分ヤジを飛ばしていたあいつらの大切な人もそれに巻き込まれてしまったんだろう。
その悲しみの悪循環が今のこの世の中を作っている。
人が動物たちを管理仕切れないのに管理しようとするのがまずいけないんだ。
もともと自然界のバランスは出来ていたのに
危ないとされる肉食動物を大半殺し、
食べられて数のバランスをとられていた草食動物が畑を荒らすようになったら、またそいつらを殺すだろう?
ただ生きようとして食べ物を食べようとしただけで殺される。
人間が住む場所の物を取ったら必ずな。
取ってしまったら殺されることを分かってるものも多いが、生きていく場所が人間の手で壊されていてこの一刻でも減り続けている。
それをどうやって生きていけばいいのか?
となったら、あなたたちのように共存を選ぶのか
目障りなものを殺すのかしかやり方はないんだ。
この間の大猫も、元は野良猫の魂が多数集まったものだ。
人間に捨てられたものもいた。
変な薬も飲まされるものもいた。
元々ほそぼそと暮らしていたのに人間から暴力を受けたものもいた。
命授かっても母親の母乳が出ずに死ぬものもいた。
あの大猫は人間の中でも邪気が少ない子供を狙って、魂を吸収し妖力の上げて何かしようとしていたんだろう。
動物たちは夜準備して朝に何かしでかそうとする奴が多い。
だからあの夜、あの子供たちを助けていなかったらこの地域で大きいことが起こっていたはずなんだ。
あの睡蓮の絵は俺たち共存派のみんな知っている。
あの睡蓮の絵を使っている凶妖は、みんな人類滅亡を願っているものばかりだ。
あの睡蓮の絵は災が起こる前の前兆を教えてくれる証になる。
あれは一種の願掛けみたいなものだ。
種を滅亡させるための願掛けって、言葉として合っているのか疑問なところだが
それだけあいつらは人間を憎んでる。
何百年と我慢してきたのが今になって爆発してるんだ。
今は昔よりも人間が動物の命を粗末にしている数が多すぎる。
それも睡蓮を使っているものたちには苛立ちを募らせているんだ。
それで、人間たちを殺そうというのもまた違うのだが…
目には目にを、命には命を…ということなんだろうな。
俺はそんなことしてもなにも解決はしないと思う。
だから今生きている者たちでなにを成さなければいけないのか考えなければいけない。
だから俺はここに来た。」
世永「刹牙、虎雅ありがとう。睡蓮はそういうことだったんだね。」
みんな無言の中、せいさんが話す。
世永「7、8割の人たちが脱退してしまったけどこれでよかったんだと思う。
この話を聞いたらまた殺しが増えていたかもしれないからね。
どんな生き物の命も魂も、尊く美しく平等であることに気づけている俺たちが今の現状を変えるんだ。
今分からないと思っている人も理解してくれる日が来るはずだ。同じ生き物であればね。」
虎雅「刹牙はなんで頭に早く話さなかったの?」
『いや、あいつ話さないで、腹撫でるだけでよ。それがまた気持ちいんだ。』
虎雅「そっか…。」
ちゃんと話せていなかっただけか。
樂「あの猫とネズミは話せないのか?」
世永「俺の血つけたままだと記憶なくなって、喋れないっぽいんだ。」
樂「使えねぇ…。」
虎雅「まあ、危険思考のものが少なくなることはいいことなんじゃない?」
世永「そうだね。」
「あの!」
と1人の女性がその場を立つ。
「発言失礼します!幸田 絢愛と言います!」
世永「はい!あやちゃんどうぞ。」
絢愛「ありがとうございます!あの、前から思っていたんですが、私たちは声の持ち主以外刀や拳銃などを使ってますよね?あれって凶妖たちは痛くないんでしょうか?」
『俺はただ拾われただけだから使われてないな。』
虎雅「刹牙は拾われたそうなんで分からないそうです。」
世永「確かになー…。なんか痛そうだけどな…。どうなんだろう?」
『試しに一匹やってみればいい。』
虎雅「ダメだよ、痛いかもしれないし。」
『あの猫は一旦罰を受けた方がいい。』
虎雅「それって私情じゃない?」
『当てる奴がいなかったらダメだろ。』
虎雅「うーん…。」
「「…。」」
みんなで頭を抱えていると、襖が開く音がする。
「頭だ!みんな頭下げろ!」
ざざっとみんなが頭を下げる。
愛芽李さんが頭の手を引いて部屋に入る。
頭「来るの遅くなっちゃってごめんね。今なに話してたの?」
世永「凶妖に刀や銃を使っているのってどうなんだろうって。」
頭「ふぅー…ん…。痛いことには間違えないじゃないかな。」
世永「そしたら…」
絢愛「この際やり方を変えませんか!?人間が嫌いな上に痛い思いが、最後の記憶なんて可哀想な気がします!」
頭「絢愛さんは、なにかいい案はあるのかな?」
絢愛「いえ!まだ思いついてないです!」
世永「元は戦闘不能になるまで戦ってたからね…。言霊の人員がもう少しいれば変わるんだけど、ちょっとね…。」
虎雅「凶妖が気絶するまで戦うんですか?」
世永「動けなくなって、直接凶妖の肌に封印箱をつけると入ってくよ。」
虎雅「じゃあ、傷つけずに封印箱を触れさせればいいんじゃないですか?」
世永「中々数が多かったり、動きが早かったりすると難しいんだよね。」
頭「凶妖より早く動けばいいじゃない。」
部屋の空気が固まる。
頭の言っていることは正しい…けど、それは可能なんだろうか。
世永「姉ち…頭は出来てたけど、俺たちそこまで早く動けないよー。」
頭「じゃあ、みんなで稽古しよう。」
この一言で地獄の頭稽古が始まった。




