条件
樂が本が現れる条件を話し始めた。
樂「まずこの本が現れるものは体のどこかに災害時に歯型のような傷がついた人。俺は喉にあるがお前は?」
虎雅「頭をどっかで打ったのかわからないけど数針縫ったよ。そういえば先生が歯型みたいって言ってた。」
樂「そうか、だからハゲてんのな。」
虎雅「え!初めて言われた…。」
見えてなかったけど僕、ハゲてたのか…。
樂「その歯型は凶妖の歯型で、噛まれると繋がりが出来てそいつらが見えるようになる。」
虎雅「そいつらって複数いるのか?」
樂「まあ今の時代の大体の災害は凶妖のせいだからその分いると思ってもらっていい。」
虎雅「なるほど、凶妖が悪さしていているけど元々は見えないものってことか。」
樂「そう、んで噛まれたけど奇跡的に食べられなかったから今ここで生きてる、だから選ばれたものと呼ばれる。」
僕、食われる寸前だったのか。
樂「生き残ってある程度、体力がある人間になったらこの本が出てくる。俺は病院にいたときにこの本が出てきた。」
虎雅「僕はこの間バイト先で見つけた。場所は人それぞれなの?」
樂「そうっぽい、本に触れる機会さえあれば出てくるらしい。
条件はこんなもん、お前は全部当てはまってるから選ばれたものというわけだ。それでこれからやることについて話す。」
虎雅「うん、仲間に入れるためって言っていたよね?」
樂「ああ、ここに名前が載ったものは選ばれたものとして凶妖を封印することが出来る力を持っている。噛まれた場所で封印の仕方は様々だが、その力を最大限に引き出すために仲間を集めている。だからお前にも凶妖狩りに協力してほしい。」
虎雅「僕はどんなやり方で封印できるかわかる?」
樂「頭を噛まれた奴は見たことないからわからない。けど"先輩"に聞けばわかるかもな。」
虎雅「凶妖狩りの拠点はどこにあるの?」
樂「言えない。仲間になるなら連れてってやる。」
虎雅「でも…学校の単位とかは?樂はだいぶ危ないでしょ?」
樂「はぁ?単位なんか2ヶ月で全部とったわ。今日学校にいるのは出席日数のためだ。」
虎雅「え?そんなことできるの?」
樂「将来の金のために働きたいって言えば単位速攻でとって、後は出席日数だけクリアすればいいって言ってたぞ。そんなのも知らないのか?」
高校って三年かけてのプログラムじゃなかったっけ?
虎雅「そんなことできるのか…。」
樂「お前、仲間になる気あんのか、ないのかどっちだ?
なんないにしても噛まれた奴は凶妖にマーキングされてるからまた災害にあった時1番に食われるぞ。」
虎雅「それってやる選択肢しかなくない?」
樂「まあそうだけど、気持ちの問題もあるよな。任務中に死ねる覚悟があって、家族を殺した凶妖をぶっ飛ばしたいって考えてるなら入るべきだよな。」
どっちにしろ死ぬ覚悟がないといけないってことだよね。
虎雅「わかった、やるよ。」
樂「覚悟はいいのか?」
虎雅「決めきれないけど、どっちにしろ死ぬなら抗いたいよね。」
樂「そういう考えもあるんだな。じゃあ学校に単位の手続きして拠点行くぞ。」
虎雅「あ、ごめんそれ明日でもいい?」
樂「はぁ?」
虎雅「今日、晩御飯担当なんだよ。」
樂「なんだそれ、誰でもいいだろそんなもん。」
虎雅「ダメだって当番だから。」
樂「じゃあ、明日の昼ここに集合。」
そう言って、樂は行ってしまった。
なんか忙しくなりそうだな。
僕は家に帰りながらバイト先に熱でしばらく休むと伝え、家に帰ってからは夜ご飯の作り置きを用意した。
覚悟までとはいかないが僕の家族全員を奪った災害を引き起こした凶妖。
悲しむ人がこれ以上に増えないため、僕が動けるのならできることをやるしかない。
でもここに一緒に住んでいるみんなの負担も心配も増やしたくない。
どんなに忙しくてもここにはちゃんと帰ってこよう。
家の掃除や買い物をし終え、
みんなの帰りを待ちながらあの本を読んでみた。