お清め
霧を辿っていくと、一つの古い空き家のような家に吸い込まれていく。
世永「この中にいると思う。」
樂「他に女児も誘拐されているらしい。」
世永「複数人いるかも知れないってことね。」
虎雅「あのー…」
世永「どうしたの?」
虎雅「この赤い霧ってどうやって?」
世永「ああ、これ俺の血。」
虎雅「えっ!?」
世永「俺のご先祖様の血が稀血で、色々便利に使えるの。」
虎雅「へぇー…すごい。」
樂「そんなことより、優太だろ。」
虎雅「あ、ごめん。そのまま入りますか?」
世永「うん。マタタビ手土産に持ってくれば良かったかなー。」
[ガラガラガラ…]
と、せいさんは容赦なく立て付けの悪そうな玄関の扉を開く。
みんな土足で家に上がる。
キシキシと歪む家の床。
人が住んでいないことを確信する。
世永「ゆーたくーん。」
と、呼びながらどんどん家の奥へ進んでいく。
外見より奥行きがあるのは気のせいなのだろうか。
虎雅「優太ー。聞こえたら返事しろー。」
『おい。』
虎雅「何?」
『あそこの部屋から焦げ臭い匂いがする。』
虎雅「あそこの花が描かれてる襖のとこか?」
世永「ん?」
『あれは…まあ後で話そう。とりあえずそこから匂う。』
虎雅「あそこの花が描かれている襖から、焦げ臭い匂いがするそうです。」
世永「あの睡蓮の襖か。」
せいさんがパッとその襖を開けると、
とても広い部屋にずらっと50人近くの子供が等間隔で寝かされている。
子供たちのおでこの上に白い三角形のお灸みたいなものが乗せられている。
それが焦げ臭い原因だった。
世永「ぅわ!なんだ?」
樂「…あそこに優太いるぞ。」
虎雅「優太!起きろ!」
と、僕は部屋の隅で寝ている優太の肩を叩くが全く起きない。
『この頭に乗っているの消さないと起きないぞ。』
虎雅「水とか?」
『んー…、普通の水では消えないと思う。』
虎雅「じゃあどうすればいんだ?」
世永「なになに?」
虎雅「このお灸見たいの消さないと起きないらしいんですけど、普通の水じゃ消えないそうで…」
世永「お清め水みたいな効果があればなんでもいいのかな?」
『まあ、妖力を止められる要素があればいいと思う。』
虎雅「妖力を止められる効果があればいいらしいです!」
世永「わかった。」
せいさんはごそごそと脇の袖に右腕を入れて何か漁り、左の親指を噛み血を流す。
虎雅「え!」
何してんだ?
世永「まぁ、ちょふぉまっへへ。(まぁ、ちょっと待ってて。)」
『あれが完全に終わるまでに間に合うか?』
虎雅「なんで?」
『あれが焼き終わったら魂取られるぞ。』
虎雅「せいさん!急ぎで!あれが焼き切る前に消さないと魂取られるらしいです!」
世永「それは急がないとな…。」
虎雅「すいません!僕協力したいけど…、何も出来てない。」
世永「ううん、そんなことないよ。はい。」
と、せいさんに血が入ったあのガラス細工の尖った瓶を渡される。
世永「しょうゆみたいにここの穴を離せば、こうやって血が出てくるからみんなの消してって。」
虎雅「はい!」
世永「はい、樂も。」
樂「優太より先に燃え尽きそうなやつからやってけ。」
虎雅「わかった!」
手分けしてせいさんの血でお灸の火を消していく。
急げ…。
急がないと、沢山の子供が死んでしまう。




