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僕たちが出来ること  作者: 環流 虹向
各々の思惑
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初戦

周りの木が揺れて擦れる音しかしないはずなのに、

すごい大人数の声が僕の頭の中に響く。


…頭痛がひどい。


世永「虎雅、大丈夫?」


虎雅「うっ…。」


樂「連れてきてよかったのか?」


世永「始めは誰でも平等に辛いから。そのまま虎雅おぶっといて。」


樂「わかった。」


これは凶妖たちの声なのか?

だとしたら相当な数がいるってことか?


なにをしようとしてる?


目をつぶると更に鮮明に聞こえるようになる。


『山…て、…が…電…』


声が多すぎてなにがなんだか分からない。

一人の声に集中しよう…。


『…から、山を降りて電気を止める。』


虎雅「山を降りて…、電気を止める、らしい…。」


世永「そうか…。もし関東一帯の電気を止められたらえらいことになるね。」


樂「そいつらはどこにいるんだ?」


虎雅「今は…山頂。」


3人で山の頂上に全速力で向かう。


頭の中の声がだいぶ強くなる。

頭痛がひどくて目を開けようにも開けられない。


樂「多すぎる。どうする?」


世永「樂はいつも通り唱えといて。俺が降らして足止めしとくから。」


樂「虎雅降りろ。そこの木に寄っかかって待ってろ。」


樂の背中から降りてその場に寝転がる。

せっかくここまで来たのに足を引っ張ってる。

僕にも何か出来ないだろうか?


樂とせいさんがその場を離れたことを気配で感じる。

僕は薄目でなんとか状況を見る。


二人は物音一つ立てずに周りに網のようなものを張って、凶妖の逃げ道を無くしている。


凶妖は…、ネズミか…?

すごい数が草木がない場所に密集している。

だから声がたくさん聞こえるのか。


『ボスはまだか?』


『そろそろ来る頃だ。』


『時間に忠実だからな。』


鬱陶しい会話の中でそんな話が聞こえる。


世永「上だ。」


と、周り一帯からせいさんの声が聞こえたと同時に

ネズミの群衆の真上にせいさんが飛び、

なにかの液体とキラキラしたものを降らし始める。


樂はそれと同時に唄い始める。


ネズミは逃げようとするがせいさんにかけられた赤い液体のせいか動きを封じ込まれる。


『なんだ、この人間は。』


この集団からの声からは聞いたことない声が聞こえる。

その瞬間、僕は腹に激痛が走る。


虎雅「いだぁっ!」


僕はその痛さで目を見開くと像のように大きいネズミが僕の腹を噛み体を持ち上げ、あの群衆の中に向かおうとしている。


僕は腹の痛みから必死に逃げようともがくが

全く離してくれない。


世永「虎雅!」


せいさんは樂と一緒に唱えていたが、僕の近くへ駆け寄ろうとする。


『また人間か。何故こんな所にいる。』


虎雅「お前らの…、悪さを止めるためだ。」


僕はせいさんから貰ったガラス細工の尖った瓶をポケットから出し、大ネズミの鼻に刺す。


刺した瞬間、大ネズミは断末魔を上げ僕を口から離した瞬間、せいさんが安全な場所へ引っ張ってくれた。


世永「ごめんね!まさか網の外側にまだ居たなんて…」


せいさんが布で僕の腹を止血しながら話す。


虎雅「…ネズミは?」


世永「樂があと3秒で封印するから!あんまり喋んないで!」


虎雅「…はい。」


樂が唄い終わると、ネズミたちはホワホワとした光で包まれて

樂の持っているキラキラした箱に吸い込まれていく。


一際大きい光も入っていった。

きっとあの大ネズミなんだろう。

もう声は聞こえなくなった。


よかった。少しでも役に立てたっぽい。


世永「樂。俺、先に帰るから片付けよろしく。」


樂「わかった。すぐに俺も行く。」


せいさんが僕の手を握り、フワッとした風が僕の体を包む。


世永「救護!急いで!虎雅が意識を失う前に!」


屋敷に着くと、せいさんがだいぶ慌てている。

そんなに慌てなくても大丈夫なのに。


ガシャガシャと石庭を踏みしめる何人もの音がする。


あー…、またせいさんご機嫌斜めになるな。


僕の意識がここで途切れてしまった。

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