すき焼き
やっと走り終え、次は打ち込みの練習。
世永「いいね!やっぱり虎雅は優秀だね。じゃあ次は樂の動きを反転で真似して打ってこう。」
樂「俺はちょうどお前のせいでイラついてる。手加減なしだ。」
世永「自分勝手なことはやめようか。今は虎雅中心の訓練だから。樂は速さよりの質を極めて重いの入れていこう!」
虎雅「イラつかせてごめん!でも重いのは寸止めしてもらいたい。」
世永「うーん、ま、虎雅が当たらなければいい話だから頑張って避けて樂に一発入れてみよう!はい、スタート!」
スタート言われた瞬間、重い打撃が手に入る。
虎雅「いっ…」
樂「おい、俺イラついてるって言ったよな。次は足。」
ダンッ…と、目に見えない竹刀が当たる。
ふくらはぎに100キロの鉄球が当たったんじゃないかと思うくらい痛い。
全く動作が変わらないのは何でなんだ。
早すぎて見えないのか?
樂「俺に当てないと終わらないぞ。」
バシバシと体に当ててくる。
虎雅「全く見えないときは、どうすればいいですか?」
世永「一発当てて終わらせるしかないよ!頑張れ!」
動きが変わらないのに当てられるのか。
竹刀を振ってみる。
すると、ダンダンと当てられていた攻撃が一瞬だけ無くなり、樂は動いてまた攻撃してきた。
攻撃されないためには、攻撃しないとダメなのか。
樂がいる場所に竹刀を突くが全く当たらない。
走っても逃げても、僕は遅いから追いつかれる。
攻撃が見えない。
攻撃が当たらない。
どうする?
考えている間にも攻撃される。
内出血確定だ。
僕は思い切り後ろに下がり、攻撃が当たらないようにした。
すると樂はその動きを不思議がったが、また僕に近づき攻撃し始める。
また僕は届かない範囲に下がり逃げる。
それを何度か繰り返す。
樂は下がった瞬間、すぐ来るようになった。
樂「いつまで経ってもそんなんじゃ終わらねーだろ!」
また僕に近づく樂。
今だ。
僕は近づく樂に最大限速いスピードで近づく。
腰を狙い、竹刀を一振りする。
[パシッ…]
弱いが当たった。
世永「おー!やっぱり虎雅は優秀だね!考えて行動するところが。」
ぷぷぷと笑いながら樂をみるせいさん。
樂「こんなに攻撃されてるのが優秀なのかよ。」
世永「そこはこれからだからさ、樂に一度当てたことに意味がある。」
よかった、と座ろうと膝をつこうとすると
痛みが走る。
歩こうとしても痛みが走る。
虎雅「すみません…。歩けないです。」
自分が情けない。
世永「じゃあ休憩しよっか。みんなでレッツごはん!」
せいさんが僕をおぶって石庭の方へ向かう。
樂はその後ろをついてくる。
せいさんがコソコソと話し始める。
世永「ごめんね。今、湿布もらいに行くから。」
虎雅「いや、僕こそ弱くて…すみません。」
世永「みんな最初は弱いよ。だけど弱いから成長しようと思えるんだよ。自分のこと世界最強と思っている人が成長するって、なかなか無くない?」
虎雅「でもそんな人も成長します。」
世永「まあそうか。でも伸び幅は弱い人ほど大きいよ。始めたばっかなんだから弱くて当たり前だよ。でも、そのまま弱いままじゃ嫌だから謝ったんだよね。」
虎雅「はい。」
世永「うんうん。自分がダメなことを認めて、目標に向かってやっていく過程で挫折する人がほとんどなんだ。だから虎雅は過程でくじけないでほしい。弱い人間でも人に真似できないことを一人一人持ってる。
樂は身体能力が優れてるけど、精神面は…ね。
でも、虎雅は精神面がとても優れてると俺は思うんだよね。だから俺の無理難題もこなしてくれた。」
虎雅「無理難題だったんですか…。」
世永「あ…うん!でもできたじゃん!俺やれるって言う心意気が大事なんだよ。弱くてもその心があればなんとかなるし、なったでしょ?」
虎雅「まあ…、そうですね。」
世永「全力でやったらなんとかなるし、全力になれたらまたもっとすごい全力が出せて、強く見えるだけなんだよ、きっとね。俺もまだまだ弱いから虎雅を見習おうと思うよ。」
虎雅「弱くないですよ。」
世永「みんな弱いんだよ。ただ強く見せてるだけ。そうしないと事がうまく進まないから、みんな強がりなだけ。樂もそうでしょ?」
虎雅「そう…ですね。」
世永「弱さをバネにーとか言葉あるじゃん。そんな感じだよ。」
虎雅「はい。頑張ります。」
世永「頑張り所のとこだけ気を張ってればいいからね。今からご飯だから心も体もリラックスだよ!」
虎雅「はい。」
樂「…すき焼き、ちゃんと伝えた?」
樂が急に話しかけ始めた。
世永「え?」
樂「ネギ多め、うどんあり、白米に梅干し追加って…」
世永「うーん…?あ、まだ。」
樂「すき焼きじゃないと、一緒に食べないからな。」
世永「わかったって!もー頼んどくから虎雅おぶって。」
せいさんが僕を下ろして、樂にバトンタッチ。
樂「たくあん追加な。」
世永「多いー。覚えられないー。」
樂「メモれよ。」
世永「じゃあ頼んでくる。いつもの部屋で待っててー。」
せいさんは逃げるように行ってしまった。
樂は舌打ちしながら、僕をおぶって部屋に向かった。




