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僕たちが出来ること  作者: 環流 虹向
華宮屋敷
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契約

僕が災獣園に戻るとせいさんと樂が屋敷の中に戻ってきていた。


世永「あれ?怪我したの?大丈夫?」


虎雅「はい。僕の不注意で噛まれました。」


世永「んー…そっか。今度から気をつけようね。誰かから他我の念は聞いた?」


虎雅「はい。教えてもらいました。」


世永「よかった…、とも言い難いか。噛まれた場所が多くなるほど強く自我穿通しなくちゃいけないから、怪我はしても噛まれないように気をつけようね。」


虎雅「はい…。」


樂「ところで虎雅は何が出来るんだ?頭って俺知らないんだけど。」


世永「凶妖の思ってることがわかるんだよ。虎雅は聞こえた?」


虎雅「はい。さっきせいさんからお願いされた子と会話ができました。」


世永「へえ!楽しそうだね。どんな会話出来た?」


虎雅「戻ってきた仲間にここの噂を聞きつけて、わざと捕まったらしいです。」


世永「えっ?そうなの?でもここの記憶なくすようにしてるんだけどな。不備があったのか…?」


せいさんが考え始める。


世永「その子は悪いことしようとしてる?」


虎雅「うーん…。」


悪いことっちゃ悪いことだよな。

でもせいさんが考えているものと違う気がするし…。


虎雅「えっと…」


せいさんに耳打ちで伝える。

ブハァっとせいさんが笑う。


世永「ここの女の子たち目当てで来るなんてやるなぁ。腹よじれる。」


せいさんは一人爆笑する。

樂はいつも通り無表情。


世永「え?その子紹介して?」


せいさんが腹を抱えながら話してくる。


虎雅「どこかな…。」


部屋を見渡すと杏さんの腕の中で寝ている。

寝姿はただの可愛い犬みたいな子なんだけどな。


虎雅「杏さんの腕の中で寝てる子です。」


世永「やってるなぁ。杏ちゃん!その子触らせて。」


杏「あ、はい。さっき名前を虎雅さんに教えてもらったんですけど、刹牙くんだそうです。」


世永「へぇ、刹牙くん。杏ちゃんの腕の中は気持ちいかい?」


せいさんが刹牙の腹を触ろうとする。


『不意ついてやる。』


虎雅「せいさん!スト…」


僕の反応が遅く、刹牙がせいさんの手を噛もうとする。

せいさんは刹牙の腹を触れようとしていた開いた手をグーにし刹牙の口に押し込む。


世永「今後一切、俺の大事な子を噛んではいけない。」


せいさんの聞いたことない声。

ドスが効きすぎて、その存在がせいさんなのか疑う。

刹牙の目をせいさんはずっと見る。


世永「わかった?」


声が戻る。


刹牙『わかった。』


虎雅「わかったと言ってます。」


せいさんは刹牙から目を離し、口に入れた手を抜く。


さっきまで好き勝手していた刹牙だったか今は萎縮してる。


虎雅「せいさん、大丈夫ですか!?」


世永「え?噛まれてないから大丈夫!これでみんなも噛まれないよー。」


頭にはてなが浮かぶ。

そんな口約束でなんとかなるもんなのか?


樂「今のは世永の言霊をあの凶妖に縛りつけたんだ。相手が一度でも了承したら、それは世永しか解けない契約になる。」


虎雅「今ので成立させたってこと?」


樂「そう。俺もああなる予定。」


世永「まあ、時間短縮にはなるけどね。樂の今のやり方が確実なんだからそこを極めればいいのに。」


樂「それはそれ。これはこれ。どっちも出来る世永が言うなよ。」


世永「樂に褒められてるよ!ああ、嬉しいなぁ!」


樂「きもいって。いちいち高揚するなよ。」


虎雅「へぇー。僕の出来るようになるんですか?」


世永「今の虎雅は無理。喉、噛まれてないでしょ。」


虎雅「喉を噛まれた人はそういうことが出来るんですか?」


世永「うん。ま、こうやって話せてるのは奇跡だから噛まれにいっちゃ嫌だよ。」


虎雅「手で懲りてるんで大丈夫です。」


世永「よかった。じゃあ次は武器の扱い方やってこー!」


せいさんは災獣園の人に手を振り、また違う場所へ向かう。

樂は一礼し、ついていく。


僕もお礼を言ってせいさんについていった。

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