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僕たちが出来ること  作者: 環流 虹向
華宮屋敷
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ひとりぼっち

世永「樂は、俺の幼馴染の子どもっていう話はしたよね?」


虎雅「はい。この間、聞きました。」


世永「樂は知っているかわからないけど、養子で幼馴染に引き取られたんだ。」


虎雅「そうだったんですか!」


世永「うん、幼馴染から聞いた話なんだけどね。樂のお母さんは樂を産む時、体が耐えられなくて死んでしまった。

そして、樂のお父さんは樂を病院から自宅へ車に乗せて帰っている時、涙で運転を誤って事故ってしまった。」


僕はまさかのことに驚き、何も言えなかった。


世永「このことは誰も悪くないんだけどさ。その事故で樂は1人生き延びて、孤児院で預けられて幼馴染に引き取られたんだ。引き取る時、ママさんが優しい方で教えてくれたらしい。」


樂は生まれてすぐに1人になってしまったのか…。


世永「幼馴染が樂を引き取ってしばらくして会いに行ったんだよ。

それが大体…2、3歳くらいのときかな?その時はいつもニコニコしてたんだよ。可愛かったよ。」


携帯をいじり、写真を見せてくれる。


虎雅「え!同一人物ですか!?」


世永「うん、いつも愛嬌振りまいて、みんなを笑顔にさせてくれる子だったんだ。でも、だんだんと笑顔が減っていったんだ。」


どうしてなんだろう。

あんなに可愛らしい笑顔で笑っていた子があんなになるのは。


世永「この十数年で一段と災害が多くなっただろ?今になって凶妖がやっていることがわかったんだけど、当時はまだここの存在すら知らない樂少年はさ。

自分が好意を向けた人が、どんどんいなくなっていったんだ。

学校の友達、近所の人、その人たちがどう生きてどう死ぬかはその時ならないと分からないし、その人の選択で変わっていくんだけど、樂少年はそれを自分のせいって思い込むようになった。

その時、幼馴染に相談されていたんだ。

最近、樂の笑顔が見れていないって。

だから樂の好きなこと思う存分やらせてあげて、辛くてもなにかに夢中になれば、少しは笑顔が増えると思ったんだ。」


…そっか。だから、友達作らないんだ。

ごめん、無神経だった。


世永「それで出会ったのが歌。

歌っている時の樂は笑顔が多かった。

近所に聖歌隊があったし、高音がとても綺麗だったから幼馴染たちが良かれと思って入れたんだ。」


虎雅「そしたら…、この間話したことに?」


世永「うん。樂は産んでくれた親も育ててくれた親も

大好きだった友人も全部失った。

また1人になっちゃったんだ。

でも俺が引き取りたくても、この家が家だから入れてあげられなくて、どうすることもできなかった。

でも噛み跡があったから、今ここで一緒に過ごせている。

ひどいことした凶妖にもいいとこあるよね。」


あはは、と苦しく笑うせいさん。


世永「樂は凶妖のことを知っても、自分のせいって思い込んでる。

やっぱり思ってしまったことを取り消すって、難しいよね。」


虎雅「…樂の自我穿通のやり方はなんなんですか?」


世永「嫌悪。だから俺たちに一定の距離を置いてる。

ずっとやり続けるのが本来の力を発揮できるんだけどさ。

このままずっと死ぬまで1人なんて、樂も望んでいないと思うんだよね。」


ああ、そうだったのか。

だから…、『知り合い』なんだ。


虎雅「せいさん!僕、ちょっとやる事出来ました!」


世永「うん。よろしく。」


虎雅「終わったら戻ってきます!」


世永「うん。いってらっしゃい。」


せいさんは優しい笑顔で僕を見送る。


僕は樂を探しに行った。

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