理由
虎雅「すいません、この歳でこんなにむせび泣いて。」
我に帰り、せいさんに謝る。
世永「いいのいいの、何歳になっても心の許容量が広がろうとするとき涙は出るから。俺もよく泣いてるでしょ。」
虎雅「確かに。石庭、蹴散らされて泣いてます。」
ズビズビと鼻をすすりながら話していると、せいさんがハンカチをくれた。
お礼を言い、鼻チンする。
世永「俺の自我穿通は悲しみなんだ。だから常に悲しいことを考えていないといけない。凶妖がいなくなって陸海空が神に返された時に、この呪縛から解かれて心のそこから笑えるんだ。」
そう話しながら笑顔を作るせいさん。
いつもおちゃらけているけど、心のどこでは楽しめていなかったんですね。
世永「虎雅は優秀だから…、夜の8時前に終わったんだけど、今日のところは帰ろうか。」
せいさんは僕のカバンから朝来ていた制服を出してくれる。
虎雅「せいさんはなんで、今笑顔何ですか?」
なぜか分からないが、この質問が出てきた。
世永「うーん…、俺が楽しめない分、周りの人は心の底から今の人生を楽しんで欲しいからかな。やっぱり生きてるなら楽しい思い出を作った方がいいでしょ。」
笑顔で答えるせいさん。
せいさんの笑顔を見るとホッとした気持ちになれる。
虎雅「確かにそうですね。僕もせいさんみたいにずっと笑っときます。」
世永「うん、まあ無理せずに虎雅が思うまま笑ときな。」
虎雅「はい。」
制服に着替えて、帰る準備をする。
そういえば、おにぎり食べてなかった。
虎雅「せいさん、梅好きですか?」
世永「ん?大好物。」
虎雅「よかったら、おにぎり食べますか?」
世永「え!いいの?虎雅の手作りおにぎり頂いちゃって。」
少しおばさん口調になるせいさん。
虎雅「はい!家に帰ったらごはんあるので。よかったら2つともどうぞ。」
せいさんの手を掴み、おにぎりを渡す。
世永「やったー!修行明けの5日ぶりのごはん!誰かの手作り食べたかったんだよね。」
虎雅「え!修行明けなのに、そんなおにぎりでいいんですか?」
世永「え?うん。実は朝から狙ってたんだよねー。」
嬉しそうにおにぎりを眺めるせいさん。
こんなに嬉しそうにおにぎり愛でる人いるんだ。
世永「ありがとね、姉ちゃんの味噌汁と一緒に食べるね。」
大事そうに着物の懐に入れる。
頭の味噌汁はわかるけど、僕のおにぎりに価値なんてあるのだろうか。
世永「忘れ物ない?」
虎雅「はい。大丈夫です。」
世永「OK、じゃあ家行くよ。」
せいさんが僕の手を握り、唱える。
そしてあのふわっとした風が顔を撫で瞬きをしてしまう。
どうなってるか見たいのに。
世永「ついたよ。明日は学校ないよね?また朝からやるからね。バイバイ。」
ふっと消えるせいさん。
そっか明日は学校休みか、今週はまともに学校にいなかったから曜日感覚が狂う。
家帰ったら勉強しよ。
僕は駆け足で自分の家に帰った。




