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大人気ない

目を瞑っていると、ふわっと風が顔に当たる。


世永「あれ、目瞑ってたの?」


虎雅「あ、はい。樂がこれやる時目瞑ってと言ってたので。」


世永「あー!なるほどね。樂のは精度低いからゲロっちゃうけど、俺の時は大丈夫だよ。」


笑いながら歩き出すせいさん。

なんか気恥ずかしくなる。


今日はいろんな人に会いに行くな。

空を見上げるともう日が暮れ始めている。


昔話に出てきそうな日本家屋に向かうせいさん。

その家の戸を、バンっと勢いよく開ける。


世永「まるちゃん、仕事の依頼しに来たよ!」


大声で家主を呼ぶせいさん。


[ガシャン!]


何か割れる音が聞こえる。

ドンドンドンと足音を大きく鳴らしてこっちに向かってくる。

雰囲気でわかる、絶対怒ってる。


[バァンッ!]


襖が勢いよく開け放たれて出てきたのは、

いかつくて背がとても高い、ガタイのいいお団子ヘアの男性。


「テメェ、ちゃん付けするなっつてんだろ。先輩敬えや。」


ばきばきに目が血走っている。

すごい形相だ。しかも酒臭い。


世永「はいはい。まるちゃんさん、仕事持ってきましたよー。お邪魔します。」


そのまませいさんは笑顔で家に入っていく。


「おい、上がっていいって言ってないだろうが。」


せいさんを追いかけていく、いかつい男性。

僕もそのあと後を縮こまりながら追いかける。


女性のびっくりした悲鳴の後に、

遠い部屋からせいさんの声がする。


世永「あ、ごめんね。お楽しみのとこ。仕事だから出てってくれる?」


ばたばたと慌てる音がして前を歩いていたいかつい男性が向こうの角で、


「ごめん、あいつ…」


[パチン!]


何かを叩いた音。


「あんたなんか無理!」


と言って、角からこちらに向かって女性がはだけた着物を手で押さえながら走り去っていった。


なんか…、すみません。

いかつい男性に心の中で謝る。

そりゃ怒ってもしょうがないか。


せいさん達が入った部屋に入ると、

いかつい男性はふて寝しようとしていた。


世永「ごめんって。こんな早い時間からおっ始めてるとは思わないじゃん。」


「やっと仲直りできたのに…」


メソメソした声で、顔を枕に埋めるいかつい男。


世永「失恋したときこそ、他に夢中になるものを見つけるんだよ!」


笑顔で気持ちよくせいさんは語る。

誰のせいだと思っているのだろうか。


「今は無理、男として…」


ごにょごにょと枕に言葉を埋もれさせる男。

ごめんなさい、あの女性とこの人が仲直りできますようにと拝む。


世永「虎雅、拝んでないでこっちきて。」


と言ってらせいさんが隣に座るように促す。

言われた通りせいさんの隣に座る。


世永「このふて寝してる人が虎雅の武器を作ってくれる、磨馬とのま 数珠丸じゅずまるさん。今はこんなんだけど、武器を作ってくれる人の中でも凄腕だよ。」


虎雅「佐伽羅虎雅です。よろしくお願いします。」


ぺこっとお辞儀する。

しかし数珠丸さんは無言。


世永「まるちゃん大人気ないよ。久しぶりの仕事なんだからちゃんとやる気出して。」


虎雅「?…凄腕なのに、お仕事久しぶり何ですか?」


世永「ああ…ま、見てわかる通り、癖が強めな人だから頼む人が限られてるだけだよ。」


普段もこういう感じなのかな。

というか、作ってくれるのだろうか。


数珠丸「…手。」


数珠丸さんが自分の手を出してきた。

どいうことだろう。


世永「まるちゃんに手見せてあげて。それでその人に合った刀を作ってくれるから。」


言われた通り、数珠丸さんに手を預けると同時に凄い勢いで引っ張られる。

バランスを崩して畳に顔から落ちる。


数珠丸「おいおい、この軟弱な手は何なんだ。最近お前が連れてくるやつは弱々しいやつばかりだな。」


世永「まあまあ、みんなこれからだから。初めからみんな強かったら、まるちゃんの仕事は成り立たないでしょ。」


チッと舌打ちをして起き上がり、僕の手から腕を触る。

数珠丸さんの目は赤く腫れていた。


数珠丸「こいつのだと10日くらいかな。刀しか使えないのか?」


世永「ううん、銃も使える。」


数珠丸「じゃあ少し時間かかっても大丈夫だな。」


世永「まあね、でも早めにお願いしたいかな。」


世永「はいはい。ま、出来たら連絡するわ。」


世永「OK、よろしくー。じゃあまたね。虎雅、帰るよ。」


せいさんは立ち上がり、玄関に向かった。


虎雅「お邪魔しました。では…」


と、立ち上がり玄関に向かおうとすると、数珠丸さんに手を掴まれる。


数珠丸「次は先に連絡いれろって、世永に言っておけ。」


またあの目の血走りよう。


虎雅「わかりました。伝えておきます。」


そそくさと部屋を出て玄関に向かう。

せいさんは玄関で待っていた。


世永「じゃあ、帰ろっか。」


虎雅「あ、せいさん。今度来るとき連絡入れて欲しいって言ってました。」


数珠丸「あー…。でもあの人、この時代なのに通信機器持ってなくて、手紙でやり取りしないといけないんだよ。時間かかるから効率悪いんだよね。」


口を尖らせながら話すせいさん。


世永「うん。ま、考えとく!」


爽やかな笑顔で意見を保留される。

僕は伝えましたよ、数珠丸さん。


世永「じゃあ、家の前まで送るね。」


手を繋ぎ、せいさんが唱える。

瞬きした瞬間、いつもの優善一宅の出入り口にいた。


虎雅「ありがとうございます。」


世永「じゃあまた明日。樂と一緒に訓練しにおいでね。」


と言って、ふわっと風が吹いたかと思うとせいさんは居なくなっていた。


何だか夢見たいな出来事だったなと思いつつ、自分の家に帰った。

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