三話
「緑うぇーい!」
「はいはい。うぇーい」
ハイタッチをせがんでくる翔太と掌を打ち合わせる。パン!の音の後にヒリヒリと手が痛くなる。
「流石緑だなー!伊達に俺のサーブ何百本も拾ってねぇなー!」
「お前のは受けすぎて慣れただけだよ………」
てかマジで腕痛てぇ。まだジンジンするんだけど。
「す、すげーな!白石!」
「よく飯塚のサーブあげたな!」
と、インスタンスチームメイトが褒めてくれる。
「あ?……あぁ。翔太のサーブよりかは弱いからな。こちとら何年どんどん成長していく幼馴染のバレー相手務めてると思ってんだよ」
軽く4年ぞ?俺バレー部じゃないのに………。
「お、おう………」
「白石も苦労してんのな………」
何故か同情された。
「よし!次から緑がレシーブする時以外は全部2つ目は緑にあげてくれ!不格好でもいい!とりあえずあげてくれ!」
「おい待て」
それ、俺の負担やばない?何気に乱れたレシーブをフォローしろと?
「お前ならできる」
「なんだお前からのその無駄に厚い信頼」
「緑だからだ!」
…………もういいや。なんかまだ始まったばっかなのに疲れた。
そして、その後は一進一退の攻防が続いた。両チームの得点源は翔太と飯塚。君達、これ体育の授業だからもうちょい手を抜かない?
「白石!」
「へいへい」
ちなみに、俺の負担超パない。頭ひねらないといけないし、うちのチームメイト皆血気盛んだからトス欲しがるし……。
今の前衛は俺、剣崎、佐藤の三人。翔太のバックアタックは禁止されてるし………
「こいやーー!白石!」
「俺だー!白石!」
「…………」
ここはツーだな。
「「…………白石ー!」」
剣崎と佐藤が何か言ってるが無視だ無視。1点とったろ?これでマッチポイントなんだよ。
24対23。超接戦である。ここで一点取れば勝ちなのだが…………飯塚がまだ前衛にいるから。
ここで俺のサーブ。翔太の影響でサーブはフローターサーブなら打てる。これだけでも初心者にとっては脅威なのに……ウチのクラス運動部在籍だから力技で上げてくるんだよなぁ………。
そして敵のセッター。あいつが地味に嫌らしい。多分元々バレーやってた。
「橋口!」
飯塚が声を上げる。橋口とやらはライト方面を見て―――
「はぁ!?」
「………げ」
バックトスを上げた。完全に飯塚が打つと思っていた翔太が素っ頓狂な声を上げた。
「うらぁ!」
技術もなく、ただの見よう見まねの力技。それでも、アタックは脅威である。
「やべ………!」
なんとか受け止めれたチームメイトだが、腕の端っこにあたり、大きくボールが逸れ、ネット際まで飛んで行った。
それはコートを飛び出ていきもはや相手コートの近くまで飛んでいってしまった
これは無理だ。だれもがそう思う。しかし、あいつは………翔太だけは俺が上げると………ここに持ってくると信じて既に助走開始位置にいる。
それなら俺は………あいつのとこにボールをやるだけだ。
「……っ!とど……けぇ!」
走る。しかし、それでも間に合わないからジャンプ。それでようやくボールを操れる。
翔太は既にジャンプに入ろうとしている。ただのトスでは間に合わない。速度はやめ、弾道はライナー気味、後は………
あいつが全部合わしてくれる。
「………っ翔太!」
「なっ!」
「待ってたぜ!緑!」
何とか腕に力を集め、思っきりトスをする。速度よし、弾道よし。後は
「ふん!」
翔太得意の超インナースパイク。コートに跳ね、その音は試合終了を告げると同時に…………
「……がっ!?」
ジャンプ勢いそのままに流れていた俺の腹にジャストミートし、俺の死亡のお知らせも告げるのだった。
「………み……緑ーーー!?」
「みーくん!?」
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@YuzukiAoba
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