side いろは
「あ、男子の方試合始まったよ」
友達の声に後ろのコートを振り返ると確かにコートに入っている皆が準備をしていた。
「…………あ」
見つけた。翔太の後ろにいる大好きで大切な幼馴染の姿。普段はだるいだるい言ってるけど、もう1人の幼馴染である翔太とやる時だけに見せる、あの獰猛な目。そのギャップに今日もいつものようにやられてしまう自分がいる。
(………かっこいいなみーくん)
彼を見ているだけで胸が忙しなく鼓動する。心臓から送り出される血液が身体中を巡り、熱くなる。
「……ハァ。いろはちゃんはまた彼ですか」
「やっぱ分かんないね。地味めな白石くんをいろはがねー」
「じ、地味なんかじゃないもん、」
………は!またやってしまった。
私の反応を見て、ニヤニヤとしている友人。
「……っんもー!いろはちゃんは可愛いにゃー」
「ねー。大丈夫だっていろは。地味とか思ってないから」
「も、もー!二人とも!」
「「ごめんごめん」」
もー!とまた言って2人が笑う。ピー!というホイッスルの音が鳴り響き、2人の視線はサーバーに向かった。
「……あれってバレー部の飯塚くんじゃない?全国レベルの」
「ほんとだ………あれ、完璧に白石くん狙ってない?大丈夫?」
飯塚くんはポテンシャルお化けと翔太は言っていた。ユース候補にも選ばれたしっかりとした実力者。
でも―――
「大丈夫」
彼はよく、自分のことを『器用貧乏』と評している。翔太も彼のことは器用貧乏と言っていた。
だがそれは翔太から見てである。翔太も自身はスポーツ万能なので、彼よりも運動出来るからそう見えるだけで。
実際は―――
「うっそ!?ジャンプサーブ!」
「全国レベルの選手が素人にしてはいけないでしょ」
「大丈夫」
「大丈夫って……いろはどんだけ白石のこと――――」
「―――痛っって!」
不格好ながらとシッカリと上がるそのボール。それは、彼がボールを上げると信じていた幼馴染の元へ。
「ナイスだ!緑!」
そしてそのまま叩き込む。隣にいる友達は信じられない……と言った表情だ。
―――彼は珍しく、積み重ねた経験が必ずと言っていいほどに結果に繋がる人間だ。
だが、彼が器用貧乏と言っている理由は頑張らないだけ。普段から、日本代表と練習しているバレーでは、その実力は充分と言っていいほどに発揮する。
「頑張ってー!みーくん!」
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