十七話
ひゃ……100万PV突破………とてもとてもありがたいです!
「なるほどなぁ………」
最初の真面目な雰囲気はどこへ行ったのか。最初は正座だった翔太の足は既にあぐらへと変わっていた。
翔太には俺の心の内を全て話した。いろはを考えるだけで会いたくなる。いろはの顔を見ると胸がドキドキして思考が上手く働かなくなる。
そして、どうしようもなくいろはが愛しい。
何故かは分からないが、いろはに告白された時から押さえ込んでいたものが溢れ出ているように俺の気持ちが止まらない………止められない。
「色々と我慢を………てかそう意識しないように無意識的に回避してたのか、はたまた気づいた瞬間に洪水のように溢れ出したか……まぁとりあえず1発殴っていい?」
「なんでだよ!?」
先程までとても真面目な話をしてたのになんなんだいきなり!?
はぁーーと長い溜息をついて俺を指さす翔太。
「人に指をさしたらダメってお母さんに教わらなかった?」
「今は必要だからいいんだよ」
そういう問題じゃないだろ。
ジト目で睨む俺を無視して翔太ははなしをつづける。
「お前、もしいろはが誰か知らん男と仲良く楽しそうに喋ってたらどう思う?」
「んなもん相手しばき回した上に社会的にも男としても終わらせてやんよ」
「物騒だわ」
と俺の頭をどつく。なんだよ、お前だってみさきちゃんが同じ状況だと俺以上に酷いことするじゃん。
「そこまで言えんなら答え…………出てんじゃねぇの?」
「………………………」
翔太の言葉に何も返せない。
「………ま、俺の出番はここまでだな」
といって立ち上がり部屋を出るためにドアの取っ手に手をかける。
「そうだ緑」
声をかけられ翔太の方に目を向ける。
「―――逃げんなよ」
「……………っ!?」
翔太から感じた初めての威圧。思わず背中から冷や汗が垂れてしまった。
バタン!とドアが閉まり階段を降りる音が聞こえる。
『―――逃げんなよ』
あの言葉の裏には、どれだけの想いが詰め込まれているのだろうか。
ベッドに背を預け、特に変わり映えしない天井を見つめる。
いろは大切な幼馴染だ。それは変わりはしない。なのに、身体が、脳が、本能が、「本当にそれだけなのか?」と問いかけてくるように、俺がいろはのことが大切だと思う度に思考の邪魔をしてくる。
目を閉じる。
いろはのことは、とても大切で――――
『みーくん』
脳裏に浮かぶ、幼き日のいろは。小学生のときはいつも俺と翔太の後ろを歩いてくる子だった。
いろはとは、ずっと幼馴染だ―――
『みーくん』
次の光景へと切り替わる、中学生のいろは。中学生からのいろははやけに化粧品やオシャレなどに興味を持ち始め、声も変わって、どんどん魅力的になっていった。
いろはは…………ずっと親友で――――
『………みーくん』
音が消える。視界からも色が消えその中で今自分の目に映っている幻のいろはだけが色を持っている。
いろはの目の前には、昨日の俺。色のない俺。しかし、その顔だけは、あの時の自分でさえ分かるほど真っ赤になっていた。
顔を真っ赤させたいろはは駆け出して俺の横を通り過ぎていく。
「………いろはっ」
直ぐに振り向いていろはの名前を呼ぶも、そこにいろははいない。しかし、そこに映っていたのは今までの………いろはとの思い出。
それを見て懐かしい気持ちになると同時に、浮かび上がってくるこのいろはを思うだけでドキドキとする感覚。
―――まさか、これが恋か?
―――とくん。
周りに色が戻り、気づけば、景色は俺の部屋へと戻っていた。
心臓に手を当てる。それは早鐘を打ち、自分の気持ちを代弁しているように急かしていた。
自覚をすれば早かった。いろはに会いたい。顔を見たい。抱きしめたい。たくさんのいろはに向ける感情が胸の内から溢れ出てくる。
―――――伝えなきゃ。
さぁて……どうしてこうなった。しかし、気づいたならあとは猪突猛進!やってやれ!緑くん!
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@YuzukiAoba
いよいよ次回で最終回……!ここまで応援してくださった読者の皆様!ありがとうございます!次いでに、やっと頭の中で設定を作ってた異世界ものをやっと世に出せたので、そちらの方も応援してくださると嬉しいです。
『不幸体質な魔術師~遂に異世界にまで飛ばされました~』
緑くんと、いろはちゃんの恋物語、いよいよ終結!?(後日談あるヨ!)。皆様、後方腕組み父親面してお待ちください。




