総合評価10000超え記念:在りしの日の二人
総合評価が10000ポイントを超えたので、読者の皆様に感謝を込めて、甘々なやつ用意しました。作者的にはもう超甘々だと思います。異論は受け付けません。 ブラックコーヒを片手にどうぞ
「雨か………」
六月に入り、梅雨が本格的に牙を向いてきたとある日、俺は今中学の体育館で頑張っているであろう翔太の為に夜飯を準備しているのだが…………。
「……思ったよりも強くなってきたな……」
先程まで小ぶりだったのに、今ではすっかり大雨。しまいには雷さえ鳴り出している。
『………みーくん』
一瞬、幼い頃のいろはが雷に怯え、俺と翔太で精一杯励ましている光景が脳裏に蘇った。そういえば、もういろはは雷のことは大丈夫なのだろうか……。
とか思っていると、玄関のドアが空いた音がする。もう翔太が帰ってきたのか?と思って迎えに行こうとする前に、リビングに繋がるドアが開いた。
「………翔太、お前濡れている体で廊下はし――――」
「……みーくん!」
「おっ………とと」
出てきたのは、翔太ではなくいろはだった。半分泣きそうな顔で俺の胸にダイブしてきたいろはを何とか受け止めたが、勢いに耐えきれずに尻もちを着いてしまった。しかし、痛いとは口が裂けても絶対に言わない。
「ひぐっ……みーくん……」
どうやら、未だに治っていなかったいろはの雷嫌いを何とか緩和するために、頭や背中を撫でているのだが…………。
(濡れている……)
髪や服は雨でべっとりと湿っている。きっと雷がなって咄嗟に頼りになる俺の元に来たのだろうとは推測出来るが………。
とりあえず、机の上に翔太に渡すように置いていたタオルを何とか取ってから優しくいろはの髪を拭う。
ギュッと俺の胸に強く握りしめている手は恐怖でふるふると震えている。
ゴロゴロー!
「ひゃわ!」
またもや一際大きい音の雷が落ちた。きっと近くに落ちたなあれ。
いろはの腕は胸から俺の背中に回され、ガッチリとホールドされている。とりあえず落ち着くまで俺もいろはを落ち着かせるために背中を撫でる。
「大丈夫………大丈夫だぞ。俺がいる。だから大丈夫だ」
『いろはちゃん!大丈夫だよ!僕も翔太もいるから!』
「みーくん………みーくん………」
俺の腕の中で泣いている彼女は、とてもか弱く、昔のいろはと面影が重なる。
気づけば、俺も強くいろはの体を抱きしめていた。
「………………」
空を見上げる。高校生になってから初めての梅雨。いつものように部活動を頑張っているであろう翔太の為に夜飯の準備をしているのだが………。
今日の天気は、あの日の事を思い出させる。
俺の腕の中で泣きじゃくっている彼女はとてもとても弱くて…………。
―――――守りたい。
「緑ただいまー!!」
「みーくん!翔太くん連れてきたよ!」
リビングに入ってくる二人を見る。二年前の弱い彼女はもういない………。
「……おかえり二人とも。タオルできちんと吹いて、風邪ひかないようにしろよ」
「タオルありがとねみーく―――」
ゴロゴロー!
「ひう!」
「おっと………」
一際大きい雷が落ちて、いろはが抱きついてきた。どうやらまだ怖いらしかった。
「ハイハイ、大丈夫大丈夫――――」
「えぐっ………みーくん……」
「…………砂糖吐きそう」
いかがだっでしょうか。結局シリアスにすんのかギャグにすんのか曖昧だったのですが、甘々成分だけはもう出せたと思います。作者の恋愛経験無しのせいでなんかイマイチだと思うかもしれませんが………。
面白い!と思った方は、ブックマーク登録をよろしくお願いします。早くくっつけと思った方は、下にある評価ボタンをポチポチっと五つ星にしてくれると、作者のモチベが上がり、一日二本投稿とか頑張れます。
これからも、応援よろしくお願いします