十一話 boys&girls
視点移動があります、暗躍する翔太カップルです。
目の前ににこにこと嬉しそうに優勝トロフィーを持って笑っている翔太。
その後、ゲスブロックを見事に突破した翔太達鳴声高校は、並み居る強敵たちをバッタバッタ打ち倒して見事優勝トロフィーを取ってきた。
取ってきた………のだが……。
「なんでお前がそれ持ってんだよ」
普通は(多分)学校の方に飾られるトロフィー。何故か翔太はそれをにこにこと俺の方へ手渡そうとしている。
「一日だけ貸してもらった。レモンの蜂蜜漬け作った幼馴染の家に飾りたいから一日だけ貸してって」
「………それでOKがでたのか?」
「おう、満場一致だった。まぁ明日には学校へ持っていくけどな」
ほい、と言って無理矢理俺にトロフィーを渡す。渋々とそれを受け取り、落とさないようにしっかりと抱えた。
「さて、帰るか」
「あ、ちょっと待って」
俺が帰ろうと会場に背を向けようとすると、みさきちゃんから待ったがかかった。
「私たち、ちょっとこれから用事あるから、翔太達は二人で帰って」
と、みさきちゃんがいろはの肩に手を置く。いろははこくこくと首を上下に動かした。
「そうか、じゃあ俺達も付いてい―――――」
「分かったぜ!美咲!帰り道気をつけて帰れよ!」
付いて行く。そう言おうとする前に翔太に遮られ、背中を押される。両手にはトロフィーを持っているため、抵抗ができない。
「お、おい……押すな……こら!……あぁもう!みさきちゃん達!帰り道気をつけて帰れよ!」
side:boys(翔太視点)
ふぅ……危ねぇ。まさかついて行くなんて言い出すのはびっくりしたぜ……。せっかく美咲にいろはを連れ出すように事前に連絡していたのに、パァになるとこだった。
「……お前何そんな急いでんだよ」
少し緑が不満げに言った。俺は緑の頭を軽くポンっと叩いて。
「ばっかお前………アレだ。女子同士、たまに男子には聞かれたくないことだってあるだろ」
主にお前について。
「………まぁそういう事にしといてやる」
と、俺から視線をズラして目線を真っ直ぐに向け………、緑の足が止まった。目の前にはコンビニがある。
「………翔太、ちょっとコンビニ寄っていい?」
「ん?いいぞ」
と、コンビニへ入っていく緑。俺はその後を追って、コンビニへ入った。緑がコンビニへ入って向かったのは珍しく雑誌コーナーだった。
「なんか買いたいのでもあんのか?」
何かを探している緑の背中に言葉を投げる。
「………この前、彼女欲しいって言ったじゃん?」
「…………あぁ、言ったな」
あの時は割とガチで風邪か病気かを疑った、昼休み緑が彼女欲しいって呟いていろは逃げ出した事件。
「とりあえず………ファッションから変えてみたいと思ってな。ほら、イメチェンってやつだよ」
と、一冊のイケメンが表紙にでかでかと写っている雑誌を取り、パラパラとめくった。
sidechange:girls(美咲視点)
「さて……これから尋問を開始します」
「…………え?」
あの後、翔太達と別れ、近くのファミレスへと移動し、突如、私が言った言葉にいろはちゃんは目を丸くした。可愛い。
昨日、翔太から届いたメール、『美咲手伝え、緑といろはくっつける』の文が届いた時は、思わずようやく………と呟いてコンマ一秒でOKをだしてしまったほどだ。
緑くんといろはちゃんには、私が翔太に告白する時に色々と相談にのってもらっているので、今回は私達が背中を押す番と意気込んでいる。
「いろはちゃん………」
ごくりとドリンクバーでついできた飲み物を飲んでから背筋を正しくするいろはちゃん。私はとてつもなく真剣な顔で………。
「緑くんのどんな所が好きなの?」
「ブッ!」
にこりと微笑んで言うといろはちゃんが女の子にあるまじき怪音を響かせた。
「み、みみみみみ美咲ちゃん!な、ななななななんで………!」
「………貴方あれで隠し通せていると思っているの……?」
あんなにデレデレしているのに………?緑くんも緑くんよ。何であんなに分かりやすいのに気づかないのかしら、いろはちゃんの気持ちにも、自分の気持ちにも……。これが幼馴染の壁なのだろうか。いつも一緒にいるから気づかないのかしら?
顔が紅くなり、ものすごくテンパっているいろはちゃんは、一旦飲み物を飲んで気待ちを落ち着かせた。
だが、冷静になることは許しませんよ?
「……それで、緑くんのこと……好きなんでしょ?」
「…………………」
またすぐに顔を紅くさせて、たっぷりと五秒使ってからコクリと頷いた。
「翔太から聞いたよ。緑くん、彼女欲しいって呟いたようね」
「…………うん」
悲しそうに肯定するいろはちゃん。私は、そんないろはちゃんを挑発するように言った。
「緑くんが本気出したらその魅力に気付く女子は多くなるでしょうね」
ギュッとコップを持っているいろはちゃんの握る手が強くなるのが見て分かる。
「このままだと、誰かに取られちゃうかもよ?」
「だ、ダメだよ………みーくんのことは……みーくんの事はずっとすきだったんだから……誰かに取られるとか絶対にダメだよ………」
………この子、意外と独占欲が強いわ……将来ヤンデレとかになりそうでちょっと怖い。
「でしょ?だから……協力するわ」
「………え?」
驚いたように声を出すいろはちゃん。
「当たり前よ。私の事だって相談に乗って貰ったのだから、いろはちゃんと緑くんが恋人に成れるようにしっかりとサポートするわ」
「……それは嬉しいけど……みーくんの方は私の事どう思っているかなんて………」
それを聞いてまたため息を吐いてしまった。嘘でしょ………緑くんの自分の気持ちといろはの好意に気づかないくらいの鈍感さだけれど、いろはちゃんは自分の好意には気づいているのに、緑くんの無意識の好意に気づいていないわ………。
少し、頭痛が起きた頭を抑えて、いろはちゃんに言う。緑くんには悪いと思うけど、これからどんどん心臓に悪い(いい意味)ことをさせなきゃ。
「………あのねいろはちゃん―――――――――」
今回の話は、個人的にターニングポイントだと思っています。次回から甘々成分が出てくると思いますので、片手にブラックコーヒを持ちながらお楽しみください。
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