十話
暇すぎて小説書くことしかやることがない………
「いくぞー!!鳴声ーーーふぁい!」
「「「「「おーーーす!!」」」」
鳴声高校のバレー部が円陣を組んで気合いを出している。音頭を取っているのは何故か翔太。そこは部長じゃないんかい。
「そういえばみーくん。なんで日凛高校が相手ってわかった時に上見上げてたの?」
試合が始まる直前にいろはが聞いてきた。席順は左から俺、いろは、みさきちゃんである。
俺はノートを開きながらポリポリと耳ら辺をかいた。
「いろはは毎回見に来てないから分かんないとは思うけどな、相手校に翔太の天敵がいるんだよ」
「「「「よろしくお願いします!!!」」」」
バレー部の挨拶と被ったため、一旦口を閉ざし、とある選手の特徴をいろはに言った。
「あの背番号7番。天野康太は正真正銘、翔太の天敵……というよりかは、まぁやりにくい相手だな」
「部長ないっさー!」
先は鳴声がサーバーらしい。ピー!のホイッスルの後にルーティンに入る様子が伺える。
「翔太の強みだが、パワーはもちろんのこと、一番の武器はどんな悪球でさえ、本来のポテンシャルで打ててしまうほどの強引さと正確性だ」
部長のサーブは綺麗にあげられ、しっかりと三回目でスパイクを決められるが、何とか鳴声のリベロが上げる。
「そのトリッキーさは全国でもトップで、敵からしたら何処でもエースの球がポンポン飛んでくるからやりにくいわけよ………まぁそしたら―――――」
「進藤!」
「任せろ!」
鳴声のセッターが翔太に綺麗なトスをあげる。充分な助走、まだまだ最高到達点ではないが、それでも高い打点。そして、そこから予想外な所に飛んでくるスパイク。
だが、小細工を入れれば入れるほど、翔太のスパイクは力が落ちる。だから、そこを狙うように―――
パァン!
轟音を鳴らし、ボールは落ちた。鳴声の方へと。
「え!?」
「………嘘……」
―――ゲスが生きてくる。
日本代表である翔太のスパイクをドシャットしたため、会場に歓声が沸き起こる。ブロックをした選手は日凛にめちゃくちゃにされている。
「―――相手さんだってやりにくいの送ってくるわけよ…………ゲスブロッカー。それが天野康太だ」
やりにくいやつにはやりにくいやつを当てる。そう考えるのは当然のことだろう。多分。
「………ま、俺は見慣れてるからいいけど、二人は衝撃だったよな………翔太はよく天野のゲスにやられるんだ」
「……ゲス?その天野くんという人はそんなにも酷い人なんですか?」
「ちがうちがう」
いろはの見当違いの解釈に少し笑った。
「天野のゲスは下衆野郎の方じゃなくて英語のguessだ。天野は殆ど第六感の直感のみで翔太のスパイクをブロックしている」
しかもそれが翔太の小細工スパイクの時だけきっちり止められるからどんだけだよ……と思う。
それを聞いて二人の顔が驚く。そこには若干の不安が浮かんでいた。
「……まぁそのための飯塚なんだがな」
二人が首を傾げて頭にはてなマークを浮かべたため、思わず苦笑してしまった。
俺はノートを開いて飯塚の項目を探した。一応鳴声の全選手のパラメータ(主観翔太)は頭の中に入っているが、念の為に飯塚の項目を見る。
「飯塚は、翔太曰くポテンシャルお化けだ。単純なパワーだったら翔太よりも強い。だから――正々堂々正面からぶち抜く」
バゴン!と日凛の三枚ブロックをものともせずにぶち抜く飯塚。これで一対一のイーブンだ。
「鳴声は、奇抜な翔太、誠実の飯塚のダブルエースで上手く歯車を回しながら相手を欺くバレーだ………考えるだけで恐ろしい……」
自分で言ってて鳥肌が立つ。去年は前衛と後衛でしか上手く切り替えを出来なかったが、今みる限り、自由自在に歯車を噛み合わせている。
その恐ろしさが分かる元バレー部マネージャーのみさきちゃんは額に少しを汗を浮かばせていた。
「………んん?」
しかし、いろははぴんと来なかったのか可愛らしく首を傾げていた。俺は何とかいろはにも分かるように説明する言葉を探したのだが………
「要するにいろはちゃん。敵を同時に二人相手にしているようなものなんですよ」
「………それは面倒くさそうだね……」
ほんと、よくこの作戦考えたよな。鳴声のブレーンは相当優秀だな。人が面倒くさがることよくを分かっている。
「だが、今回は相手に天野がいるから、その戦法は上手くいかない……………だが………」
翔太がセッターの所に行き何かコソコソと耳打ちした。
…………あれは何か仕掛けるな。
サーブ権は鳴声へと移り、先程前衛にいた飯塚がサーブをする。体育の時に受けたあのサーブを思い出してぶるりと背中が震えた。
凶悪なサーブが日凛に突き刺さる。何とか上げたはいいが、その球は大きく逸れ、3回は繋いだものの、鳴声にチャンスボールをあげることとなった。
「チャンスボール!」
飯塚が声を張り上げてゆったりと高いトスをセッターへあげる。そこで翔太が助走へ入るのだが………。
「………アレは、翔太十八番の超インナースパイクか?」
アタックラインよりも内側に落ちる超インナースパイク。レギュラーになりたくて必死だった翔太が中一の時に編み出した自分の体の柔らかさを最大限に生かした技だ。
しかし、翔太が踏切に入る時に違和感を感じた。だが、それも直ぐに解決した。
なんと下半身が横に向いていた。上半身はコートに真っ直ぐなのに、下半身は上半身と同じ向きを向いていない。
「……左打ち」
みさきちゃんがボソッと呟く。翔太は下半身を捻っていたため、あまり高さは出ていないが、既にそれはもはや関係ない。
「うらぁ!」
翔太の声が観客席まで届く。下半身の捻りを生かし、遠心力までも乗せた左打ちはありえないほどの角度でスパイクをたたき出した。
そのスパイクは三枚ブロックの端の人の腕に当たり、ネットに吸い込まれ、勢いのままネットに沿ってコートの外に出た。
シーンと一瞬だけ、静かになった会場が、直ぐに先程以上の歓声が上がり、観客のボルテージはMAXまで上がった。
フィクションとはいえ流石にあれですよね………ハイ○ューの影響がヤバすぎですね。
ちかみに、ここまで大仰に書いたのにバレーシーンはこの1話だけです。サクッと終わらせます。
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