八話
日間ランキング1位…だと………?友達に自慢しまくりました。
昼休み終わりごろにとぼとぼと戻ってきたいろはの頭を撫で回して何とかご機嫌を取って仲直りする。先程まで不機嫌そうな顔が何とか元に戻ってよかった。
「しかし、なんでいろはは先程俺を罵倒した後逃げたんだ?」
「みーくんのそういう所だよ」
一応俺の事を非難しているみたいだが、頭を撫でられて顔が破顔しており、にへにへしてるのであまり恐怖心を感じない。むしろ可愛い。
「あーやだやだ。決めたの俺らだからなんとも言えないけど砂糖吐くわ。甘ったらしくて」
と、両手を広げ、やれやれとジェスチャーをする翔太。しかし、こいつも中々人の事は言えない。
「お前普段みさきちゃんといる時の行動振り返れ」
この二人、甘々過ぎて軽く俺といろはがひく。実はよく4人で遊びに行くのだが、大抵5割くらいの確率で何故か俺の家となる。そして、俺といろはの目を盗んでイチャイチャイチャイチャ……………。その日はやけにブラックコーヒーが甘く感じたわ。苦いの苦手ないろはでさえ「みーくん私にもブラック……」と言ってくるほどである。
なのでそう言われるのは至極納得いかない。
「あー………うん、いいや……」
(こいつ自分がどれだけいろはのこと特別視してることに気づいてないもんな……それはそれでこの先面白そうだけど)
「………ま、とりあえず頑張れよ」
(俺は傍観者に徹するぜ。大事な幼馴染の恋路を邪魔したくねぇし。後で美咲に連絡しとこ)
「……………?」
何故応援されたか分からなかった。
「翔太、明日いよいよ大会だけど……部活どうなってんの?」
この辺で毎年恒例の近隣高校の親善大会。毎年20校程の高校が参戦し、新しいチームの出来具合や、力試しを行う大会である。
「今日は一時間程度で終わるらしい。明日のためにあまり無理はさせない主義だからなうちの部活」
「待とうか?俺、ちょっと今日図書館寄りたいし」
「あ、私も図書館に用事があるよ」
「いろはもか?」
「うん」
翔太の疑問にいろはが肯定する。俺は毎月金曜に入ってくる料理本がお目当てなのだが。
「別に先に帰っててもいいぞ?」
翔太が俺達に向かって言うが、俺は首を横に振った。
「折角早く終わるなら俺の買い物手伝え」
いつも買い物手伝ってくれるいろはに荷物持たせるの嫌なんだよ。殆どがお前のためなんだから。
「………分かった。そういうことならな」
暫く考えた後に、何故か翔太は一瞬だけニヤッと笑ってから頷いた。何故か背中がむず痒い気持ちになった。なんだお前のその子供を応援するような生暖かい目は。
「………とりあえず頃合いみて体育館行くな」
背中のこそばゆい感覚に耐えながら言う。おう!と満面の笑みを浮かべてから翔太は部活へ走っていった。
「………行くか」
「うん」
鞄を持ってからいろはの横を歩き、図書館へ行ったのだった。図書館に行ったあとに珍しくお目当ての本が一緒だったので、隣同士で肩を合わせながら読んでいたのだが、終始いろはは時たま俺の顔をちらちら見ていた。なんか付いていたのかな……。
1時間後。たっぷりと栄養バランスを分析しまくった俺といろはは明日のことについて話していた。試合開始は何時からだから何時に会場入りするかーとか、みさきちゃんとはいつ合流するのかーとか。
五分くらい喋っていると、後ろのドアが勢いよく開き、そこからは翔太――――
「白石くん?それに槙野さんも……」
―――ではなく、飯塚くんがでてきた。
「進藤待ちか?」
「あぁ。今日あいつを買い物に連れて行ってこき使う予定だ」
「そうなのか?」
と目を少し見開いて驚いた。まぁ日本代表が買い物に付き合わされるとかびっくりだもんな。
「そう言えば白石くん。進藤から聞いたよ、白石くんが急に彼女欲しいとか言ってたから風邪かと思ったわーって」
それを聞いていろはの体がビクッ!跳ね、俺は額に手を置いてため息を吐いた。
「あいつ、いいふらしてんのか………?」
もしそうなら今日のあいつのおかずが一品減るぞ。
「いや、進藤は俺にしか言っていないよ。なぜ俺だけなのか意図は分からないけどね」
と、肩を竦めて謎に思っている顔をした。その後、何故か飯塚はじーーっと俺を見つめてきた。
「……な、なんだよ」
俺は男に見つめられても何も思わんぞ?むしろ翔太以外だったら嫌悪感を抱くんだが………。
「……なるほど、素材は悪くない」
「………は?」
素材?
「いや、何でもないよ。それじゃあね、二人とも」
と、飯塚はスマホを開いて何かをポチポチしながら帰っていった。
「よしよし………」
先程、バレー部随一のオシャレマンである飯塚からの連絡が入った。
『白石くんは素材は悪くない。槙野さんの好みに合わせて好きにコーディネートすれば1発だろう』
「よしよしよしよし………」
二人が……緑といろはがくっつく未来を思い浮かべて嬉しくなる。二人とも大切な幼馴染なのだ。付き合ったら―――まぁ緑が気持ちを自覚するのは時間の問題なのだが―――盛大に祝福してやろう。
「明日美咲にそれとなくいろはの好みを探ってもらって………なんか楽しくなってきたな」
昼休みは一歩後ろから見守ろうとか思ってたが、やっぱ辞めた。二人には幸せになって欲しいので裏から色々と手を回させてもらうことにした。
「まずは緑にどうやっていろはへの気持ちを自覚させるか……多分あれ気づいてないだけで絶対いろはのこと好きなのに………」
いろはといる時だけに浮かべる笑顔。それこそ昔からずっといる俺には分かる。あれは、完璧にほの字である。
「……まぁ、その辺はゆっくり美咲と作戦練るか…………よー!待たせたな!二人とも!」
「翔太」「翔太くん」
さて……明日から頑張りますかね。
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