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チートなし ~ウサギの詩~  作者: デイジーケミカル
6/19

価値観

日が暮れる前に食堂に案内された。


馬鹿みたいに長いテーブルの一番奥の偉そうな場所に俺がすわる。ローズマリーちゃんが給仕してくれる。


そうだろうなとは思っていたが皆が一緒に食べる様子はない。一緒でいいのにな。

夕食は硬いライ麦パン、それに卵と野菜の入ったスープだった。・・・あれ、卵か。養鶏してんのか?


「これは鳥の卵?どこかで育ててるの?」


「いえ、これはヘビ鳥の卵です。よく石垣の上にとまってるのですが。これぐらいの茶色の・・・」


「ああ、朝にへんな声で鳴くあの茶色い鳥か」


「そう、それです。あの鳥はヘビを見ると卵を産む習性があります。なのでヘビに見立てた縄を置いて魔法で動かしてやると必ずではありませんが大抵は卵を産んでくれます。」


「変な習性だな・・・卵はヘビに食べられないのかな」


「ヘビ鳥の卵はやたら殻が分厚く、このままでは雛が孵りません。ヘビに丸のみで食わせて殻を溶かして割れやすくして、生まれたらヘビの腹を破いて出てきます」


「な、なるほど・・・結構怖い鳥なんだな。まあとにかく美味しい。バークの城で食べたスープよりずっといいよ」


「ありがとうございます」


「えっと、メイドの皆さんはここでは食べないの?」


「そんな。ここは貴族様のお食事されるお部屋ですので。私たちはウサギですのでキッチンで適当に」


「一緒に食べてもいいんだけどなあ」


「はい、ありがとうございます。例え嘘でも光栄です」


「え 別に嘘じゃなくて」


なんか話がかみ合わないな。

ていうかさっきからずっとローズマリーちゃんが横についてくれてるのですごくいい匂いが漂ってくる・・・ 香水なんだろうか。でも『いい匂いするな』なんて言ったら嫌がられそう。


「そういえばさ、塩ってここじゃ高価なの?城のスープはやたら薄味だったんだけど」


「そうですねえ、岩塩の採れるブランチの国は山の向こう側で、運ぶとなかなか高価になります。海に行くにはリーフを通り抜けないといけません。半年前まで戦争していましたので商人の行き来はありません。お城では備蓄が心配なんでしょう」


「この館には塩があったんだ」


「いえ、ありません。今日はカモミールが持っていた塩を使ってます。近い内に城下町で買ってまいります」


「そうか。ありがとう。カモミールちゃんにもありがとうって言っといて」


「はい、ご主人様からのお褒めの言葉、さぞ喜ぶでしょう」





「ふう ごちそうさま。君たちもちゃんと食べてね」


「お気遣いありがとうございます」


「今日はもう休んでいいよ」


「はい、ご主人様 失礼いたします」



暗くなった寝室に戻る。しまった。ランプに火をつけないと・・・ ダメだ。基本この国では全員魔法が使えるので火を点ける道具がない。まいったな。まあいいか。どうせする事は何もない。


手探りでベッドという名の木の台に乗る。


今は夏だからいいけど冬は寒いだろうなあ。いや、まて。冬って来るのかな?うん、たぶん来るな。だってベッドの木にも年輪がある。季節が廻らないと年輪ってつかないんじゃなかったっけ?


それより、俺はどうなるんだろうか。

騎士団長は上が考えてると言ってた。もし消したほうがいいという結論になったら俺はすぐに殺される。どうやったら殺されないだろうか。生きてた方がいいと思わせるには。わからない。カエルがうるさい。フクロウの鳴き声が聞こえる。

 




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裏庭 使用人小屋


「 『天使のように美しい皆さんと出会えてうれしいでえす』 ぎゃはははは」


「やめなよ、ミント。くくくっ」


「オレガノだって笑ってるじゃないか。まったく何言ってんだこいつと思ったよ。」


「皮肉もあそこまでいくとね。ちょっと辛いわ。私たちって胸も尻もムダにでかくて腰だけ細くておまけに腹だってロクに出てない。色も白いしね、到底美しいなんて言える女じゃない。顔だってしもぶくれじゃないし。ましてやウサギだぜ?からかってんじゃねーっての。自分がかっこいいからってあんまりだよ」


「いいじゃないの。嫌味は言うけど酷い事はしなさそうな感じじゃない。ひとまずは牢から出られたし死刑も回避できたわ。みんな頑張って、殺されないようにふるまうのよ。そうだ、カモミール、あなたの料理を褒めてたわ」


「えへへ、とっておきの岩塩使ってよかった」


「初めて見た時、びっくりした・・・こんなかっこいい人、いるんだって。でも貴族にしては・・・物を知らないのね。よくわからない人だわ。名前もバーク生まれじゃない感じ。バジル、あなたの目にはどう見えた?」






「あれは、嘘を言っていません」


「ん?バジルそれどういう事?」


「そのままの意味。嘘ではない、という事です。あの男はあたしたちを本当に美しいと思っています。隊長を初めて見た時の驚き。興奮。汗の匂い。脈拍の上昇。あれは男が女に魅力を感じた時の態度です。」


「そんな馬鹿な・・・こんな大きな館に住むような貴族がウサギ女を見て好意をいだいたって?ないない。ありえないよ」


「あの人、貴族じゃないかも」


「チャービル、何か気付いた?」


「あの人、魔力、無かった・・・」


 



 





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