プロローグ
さて、いきなりで悪いのだが、誰か助けてはくれないだろうか。
とても大変なことに巻き込まれてしまっているのだ。だが、自分で言っていても何が何だかよく解らない状況の中にいる。
とりあえず、こう叫んでみることにしよう。
「なんでこんなことになってんだー!」
今現在、何処とも知れない森の中を全力で疾走している。
何故そんな状況にいるのかを簡単に言ってしまうと、背後で弓矢を構えたオッサンが射殺そうと猛然と走ってきているからだ。
オッサンの方を振り返ってみると、遠くに先ほどいた中世を感じさせる城が米粒のように見える。俺はこのオッサンにその城からずっと追われているのだ。しかも、訳も解らずに、だ。
「俺が何をしたって言うんだよ。ただ城の近くを歩いていただけじゃないか!」
「うるさい! そんな怪しい格好をした奴の言うことなど、聞く耳持たんわ」
改めて自分の服装を見てみるがどこもおかしいところなど一カ所もない……と、思う。普通に制服を着ているだけだ。
こちらに言わせてみれば、追ってきているオッサンの姿の方が一番怪しいと思う。だって、御伽話に出てくるような赤い羽根を付けた緑の帽子をかぶり、同じく緑色の狩人のような服装を着込み、背中には弓を入れるかごを背負い、両手には弓と矢が握られているからだ。
仮装にしてはよく出来たほうだとは思うのだが、狩人そのままに見えるのは何故だろうか。
「はぁ、まさかこんなことになるなんてな。こんなことになるなら、あの部屋に入らなければよかったな」
幸いにして、まだオッサンは追いかけてくるだけで弓矢を使ってくることはなかった。なので、走りながらこんな状況に陥ってしまった原因を考えるだけの余裕を持つことが出来た。
しかし、実際に使う訳はないとは思っているのだが、オッサンからは、いつ撃ってくるか解らないような危うさが感じられてならない。
後ろを振り返ってもやはりオッサンは変わらずそこにいた。
息が上がり、そろそろ体力の限界が近づいてくるのが目に見えてきた。
なんとかしなければ捕まってしまう。捕まっても叱られて終わりならそれが楽だとは思う。だけど、このオッサンは間違いなく弓を使って射殺すだろうことは顔を見ていればなんとなくでも解るものだ。
「おいっ、いい加減城に帰らなくていいのか? 俺なんかを追い駆けてくる暇があったら仕事をしたらどうだ?」
「気にするな。儂の今の仕事はお前を捕まえることなのさ。だから、おとなしく捕まりな!」
なんでここまで俺を執拗に追って来るのか不思議でならない。
それとさっきから気になっていることが一つある。オッサンが俺のことを妃の手先だとかなんとか喚いているのだ。
息絶え絶えの中、どうしてこうなったのかを思い出してみることにした。
昔に書きあげた小説を少し書き加えていきます。
のんびりと更新していこうと思いますので、続きが読みたいと思ってくださった方は気長にお付き合いください。




