DOKI☆WAKU☆話し合い 〜ヴォルフ〜
「ねえ、さま…」
ふらりと弟が近寄ってきました。手にはキラリと光るものが。
あ、ダメだ。闇堕ちの目ですわ。えーい!
「てい!」
わたくしは弟が握っていたナイフを手刀で払い落としました。
そのまま手首を掴み、背中側に捻り上げます。足払いで床にうつ伏せに押し倒し、馬乗りになれば制圧完了ですのよ!
以上!かよわい女子でもカンタン、暴漢の制圧方法、ですの。
「どこが かよわい、だあああああああ!!きさまはどこの手練れの傭兵だ!?」
「おうふ!わたくしの心を読まないでくださいませ王子!エッチ!」
「いだだだだだだd!いだい!いだいでず ねえざま!!!」
弟は正気に戻った気がしますが、ここは教育的指導でもう少し床に押し付けときましょう。
でも本当に痛そうだから少しだけ緩めてあげましょうねー。
「嫌だ!姉さまは僕のものなんだ!!どうして!?どうしてわかってくださらないんですか!ダメだダメだダメだダメだ!このまま姉さまを野放しにしてたらどんどん色んな人間をタラし込んで来て大変なことになる!僕の…!僕だけの姉さまなのにぼくのぼくのぼくのぼくの!!!」
…まだか。えーい、正気になーれ♡
「あだだだだだだだだ!うひい!折れる折れる折れる!!姉さまあああああ!!」
「ちょ…!ちょ!待って、ディアナたん やめたげて!」
お父様が止めに入ります。
居たんですね お父様。見事な空気っぷりでございます。
「教育的指導ですわ、お父様」
「泣いてる!泣いてるから!!あ、でもちょっと羨ましいかな…」
は!
お父様の遺伝子を色濃く受け継いだ弟には ご褒美でございますね…。
わたくしは弟を開放いたしました。その顔は涙で濡れておりましたが、何故か頬が上気してヨダレが……いえ、気のせいでしょう。
「姉さまが悪いんだ!姉さまが…!」
ま だ 言 う か ?
わたくしは指をぼきりと鳴らしました。エルフのおじちゃんから習った、うるさいワンちゃんが静かになる おまじないでございます。
弟はヒッ!と小さく悲鳴をあげました。
周囲の皆さまもドン引いてる気がしますが、気にしたら負けでございます。
「…姉さま…うぅ……グスッ…………ヒック、うう…」
「泣いていてはわかりませんよ?どうしてこんなことに?」
「だって姉さま!姉さまは最近お忙しそうにしてるのに……なんだか楽しそうで…!」
ぎくり。
「あっちこっちに顔を出しては色んな人たちを誑かして!!」
おいいいいい!?
「挙句に!そこの女が!!聖女だかなんだか知らないけど!姉さまのこと…!お、お、お……おおおおおおおお…お姉ちゃん…とか!呼んでるし!!」
「なによ!お姉ちゃんをお姉ちゃんって呼んで何が悪いのよ!?」
「悪いに決まってるだろ!姉さまを姉って呼んで良いのは僕だけなんだよ!このっ!無表情顔面硬直女!!」
「何言ってんのよこの顔だけ残念シスコン男!あんたなんか!あんたなんか…!!」
「はい、ストーーーーーップ」
おお!わたくしが止める前にレジーナ様が止めてくださいました。
この手にした花瓶の水の やり場に困りますね。
冒険者と犬猫のケンカは水をぶっかけろとギルド窓口友達から習ったので、実践してみようと思ったのに…。
わたくしの手からサスケがそっと花瓶を奪いました。うぬう。
「ヴォルフ、あなたのディアナへの愛は痛いほどわかりますわ」
「レジーナ様…?」
「でも!それではいけないのです!!」
あ…なんか始まった……
「今のあなたなどチワワ同然!チワワが紀州犬に挑んでも無駄!無駄無駄無駄無駄無駄無駄!無駄ですわ!!」
うん、マイナーな犬種ですね。でも確か紀州犬って、東方の島国の、中々に獰猛な猟犬だった気が…?え?もしかして紀州犬ってわたくしのことですか?!
「……くっ…!で、でも………」
「……わたくしと共においでなさい」
「………………!」
「わたくしがあなたを鍛えてあげますわ!わたくしに仕えなさい!共にゆきましょう!」
「レジーナ様…っ!」
「共に、この国を手に入れるのです!!」
ウワア……国王陛下の御前で王位略奪宣言キタアアアアアアア( ^q^ )
「そしてここに!この地にッ!ディアナを愛し、ディアナを愛で、ディアナを祀る国を作るのですッ」
やーめーてーええええええええええええええ!
「付いていきます!レジーナ様!!必ずや あなた様に玉座を!!」
いいんかい!?いいんかい これ!?
そう思って国王 王妃両陛下を振り返る。
おふた方は「若いって良いわね」「私たちの若い頃を思い出すな…」などとイチャイチャしておられました。
……ちくせう、ばくはつしろりあじゅう。