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霊感微少女の夏  作者: 慶
7/25


「えっと…8月から10月の夜に開催するベントって、それなりにあるのね」


 ひとまず、図書館などを利用する前に、各々(おのおの)で情報を絞るようにした。

 現代っ子としての、能力が最大限で発揮させるところではあるけども、記録をさかのぼれば遡るほど、情報は薄く。最近であればあるほど、情報が大量である。

 簡単に検索したヒット数に、視界がかすむ。


 昨年のイベントだけで、言えば8月〜10月のイベントは20件ほどある。20件と言っても、花火大会などの大きな催しだけでなく、町内のイベントなどの地域性の高いイベントも含める。

 そして、地域性が高いものは、子供向けが多いので、夕方以降はない。と判断したいところだけど、そうとは限らない。屋台が出るような、盆踊りのようなものもあるから、簡単に調査候補から削除はできない。かと言って、地域性、町内限定になると、開催時間がネットで公開されることもなく、町内の掲示板や回覧板などになるし、あとはSNSなどの個人のつぶやきが重要だったりする。

 しかし、SNSになると検索ワードは細かくしなければいけないし、開催時でのリアルタイムの検索であれば、状況がわかりやすいけれど、そうではない過去を遡るには、正直、あまり良い方法とは思えない。

 そもそも田舎にはホームページを作る、と言う概念がないように思う。観光名所があるような地域であれば違うのかもしれないけれど、観光名所でなければ農産物で生活している人たちが大多数だから、必要性はない。

 そののどかさは嫌いじゃないけど、今、私がやりたいことには裏目です!

 おかげで、そこまで成績が良い訳でもなんでもない私が、こんなに、宿題以上に机に向かうことになろうとは、思いもしなかった。


「うーん」


 私には霊感はない。いや、チョットだけある。

 帰省というか里帰りする親に連れられて、おじいちゃんの家ーーつまり、お寺に行くのだが、何かある訳じゃない。不思議なことがあったりはするけども、それだけだ。何より、幼い私の心に霊という存在を刻み込んだのは、おじいちゃんから聞かされる怪談話である。実体験であるという、不思議な話から、おどろおどろしい話に夢で何度、うなされたことか。

 そう言ったこともあり、霊を否定する訳ではないが、恐ろしい存在であるということだけは、胸に深く刻まれていて、心霊スポットなどの怪談話には極力近づかないようにしている。

 そんなこんなで一種の恐怖心を持つ私だけと、なんとなく彼女は怖く感じないし、むしろ、助けてあげたいな。と思う。

 こういう直感を私は大事にしている。

 自衛本能が高いと自負している私だからこそ、とも言えるのだけれども。


「なんで、喋ってくれないのー」


 夢の中で彼女と喋る方法を模索した方がいいのでは?なんて考えになるのも仕方がないし、言葉だって出てしまう。


「え、誰が喋ってくれないの?」

 聞こえるはずのない返事。だけど、それは希望している彼女の声ではない。

 親しき声、それは一美の声であって、錆びれた鉄扉のようなぎこちない動きで振り返るとドアの近くに立っていた。

「うわぁ!え、なんでいんの!?」

 想像してもいなかった存在に驚いていると

「いやいや、うわ!なんでいんの!?じゃないよ。

 今日、遊ぶ約束してたじゃん」


 そう言って目の前に出された携帯の画面には、私への着歴が表示されていた。

 その瞬間、私の血の気は引き波のように勢いよく引いていた。


「ご、ごめん!!!」


 調べることばかり夢中に考えていたので、すっかり記憶から消えていた。

 それに加えて作業に集中したくて、携帯をマナーモードのままにしていたことが原因だと思われる。

 親しき仲にも礼儀あり。なんて文字が頭を重くのしかかるし、自分が逆の立場だったら…なんて考えると、あまりにもひどすぎて、消え入るような声で

「いや…流石にないわ私…まじ…ほんと…ごめん…なんか…いや…ほんとうに…」

 謝罪と後悔の言葉を繰り返すことしかできなくなっていた。

 そんな私は顔面蒼白だったに違いない。

 正直、血の気が引きすぎてフラフラと目眩がしてきたところだった。

「はぁ…別にいいよ」

 呆れながらも、笑って許してくれる一美。

「…かずみっ」

 さすが幼馴染。

「あれでしょ?恋の悩みって奴でしょ?」

 ついでにとんでもない爆弾を落とした。


「えぇぇぇ!?」


 一気に血が上った、いや血圧が上がって、私の顔色は元に戻ったに違いない。

 そう自分でも確信がもてるぐらい、大変、元気な声が出ました。

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