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霊感微少女の夏  作者: 慶
6/25


「彼に会いたい…どうか…会わせて下さい…」



 最近の夢見は良いとは言えない。

 毎朝、毎朝、人様の泣き顔を見てスッキリする人がいるのだろうか? いないでしょうね。

 彼女の悲痛な想いだけは伝わってくるので、やっぱり”会わせてあげたい”と思うが、なかなかに映像が見えるだけでは、情報が少ない。

 見える映像から、彼女以外、登場人物以外の情報も探らねばいけない。


ーーーアルバムからは結局、誰であるかを特定することはできなかった。


「はぁ。刑事ドラマのように、そう簡単にいくわけないよねぇ」

「・・・」


 私たちは次に、市にある図書館に来ていた。

 あの地域であった事件や事故を新聞記事から調べることにした。


「神崎さ…他に、なんか情報ないか?」

 そろそろ坂本くんも見つからないことに焦りはじめたようで、自発的に質問することが多くなってきた。

「そう言われてもね…うーん」

「俺は…そこにいる彼女の姿が見えても、話すことはできない。だから、神崎が見ている映像が手掛かりになるんだ」

「…うん」


 夢。と言うか、映像というか、まるでドラマを見ているように、同じシーンを何度も繰り返す、彼女の視線になっていることが多いが、ごくまれに、映像が前後していたり、遠くから二人のやり取りを見ているパターンもある。


 頭でもやもやと考えてもらちがあかない。

 とりあえず、紙に書き出しをしてみる。


 ・彼女→黒髮、肩下まで伸びている

 ・彼 →顔見えない。

 ・場所→お祭りの最中?


 書き出すほどでもなかった。

 紙に書き出した情報と睨めっこをする。


「…神崎さ、その服装とか、季節とか、どんな音がするとか、なんでもいいから見えたり、聞こえた情報を書き出してみるんだ。何か情報きっかけに繋がるかもしれない」


 そううながされて、改めて思い浮かべてみる。音とか服装かぁ。


 ・音 → 鈴虫の音、太鼓みたいなドンドンと低い音。

 ・服装→ 彼は黒いシルエットとしての色味かも?

    → 彼女は白い?ワンピース?ふわふわ?


 追加で、夢で見た、思い出したことをメモに追加してみる。

 状況は幾分かマシにはなったかもしれないが、役に立つ情報とは思えないものだった。

 ため息をこぼすと、メモを見た坂本くんは携帯を操作しはじめた。


「どうしたの?」

 携帯を操作しはじめた理由が分からずに質問してみると

「…鈴虫が鳴くのは8月〜10月。鳴き声が聞こえる時間帯は、夕方以降夜」

 どうやら鈴虫に引っかかりを感じたらしいけど、それが何になるのだろうか。

「うん?」

 どういうことが理解できずに曖昧な返事をしてしまったが、坂本くんは気にすることなく、言葉を続ける。

「それに…低い音。まずは8月〜10月の周辺にあるイベント…なるべく夜までやっているようなものを探して…そこから事件か事故、名前を特定する…」

 そこまで言われて、やっと頭の中で、点と点が繋がった。

「なるほど!すごい!」

 図書館なのに思わず、大きな声が出てしまったことは許してほしい。

 慌てて口元を押さえても出した音は戻らない。

 チラチラと図書館にいる人たちの怪訝な視線に、苦笑いをしながらペコペコと頭を下げた。


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