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霊感微少女の夏  作者: 慶
2/25


 肝試し当日。


 市内ということもあり、自転車だったり、バイクであったりと、皆それぞれに集合した。

 集まったメンバーは、言い出しっぺの鈴木くん含め、一美と、そして、あの時、教室にいた数人のメンバー。予想通りの集まり具合である。

 ただ、予想外のメンバーが1人いた。坂本 まことである。

 彼は、教室の中でも頭ひとつ飛び出る背が高い人物で、寡黙というか、結構、ぼーっとしてるイメージでおとなしい人。あまりこういう馬鹿騒ぎーーー肝試しに参加するような人に見えなかったが、私と同じく巻き込まれたのかもしれない。


「じゃあ、みんなで周回な!男女の方がいいけど、いち、にぃ・・・人数少ないし、まぁ回ろうぜ」

 鈴木くんの声かけで肝試しはスタートした。


 肝試しをしている町内にあるこの空き家は、な夜な女性の泣き声が聞こえるとか、誰も住んでいるはずもないのに、人が歩いている姿を見た、などと、ありがちな噂話がある。

 周回といっても、空き家の周りを歩くのではない、空いている扉から、中に入って歩く。


 空き家と言っても、意外と綺麗なものだ。

 多少、壊れていたりしているが、そこまで荒らされていることもなく、掃除をすれば住めるのではないか?と思うよう小綺麗さがあった。

 皆さまざまに懐中電灯を上下左右に振りながら、談笑している。

 冒険に近いのかもしれない。さすがに森の中を歩く、なんてことはしたくはないけど、家という慣れ親しんだものの方が非日常感が楽しめるのかもしれない。

 ーーーー私にとっては、この上もないイヤな条件ではあるが。NOノーと言える日本人になりたい。


「これ、なんだ」

 誰かの声が聞こえて振り返ると、扉のついた鏡。三面鏡である。

「うわっスゲー。鏡の奥がずっと続いてて面白ぇ!」

 私はすぐに目を外した。


 あぁ。これだからイヤなのよ。鏡なんて霊的なものにはつきものなんだから、絶対、見たくない。


 この事については、一般人には理解してもらえない部分であると思う。夜に鏡を見るのが怖いって、これは心霊に興味があるか、心霊的の知識があるか、ぐらいだから。

 私は、嬉しくはないが、長期休みなど年に数回、お寺のお参りをしたり、遊びに行っていたから、幼い頃から”怪談”を聞かされ、嘘か本当か分からない霊の話をされてきたので、知らずに霊という存在について心に刻まれていた。

 だから、霊を信じていないわけじゃないでも、皆が想像するような力も知識もない、口述によって得た知識だけの一般人なことは変わりないのだ。


 みんな情報だけで過大評価し過ぎ。


 耳にしたことがあるかもしれないが、意外と会談には幽霊と鏡は関係があるようで、詳しいことはわからないけど、とりあえず、見てはいけないものがえる率がグンと高くなるのだから、知ってて見るバカはいないだろう。

 鏡を背中に、他のメンバーと共に別の部屋に移動する。

 ここは誰かの部屋だったのだろうか、机と椅子がある。本棚のようなものもあるが、空っぽ、でもなんとなく、女の子の部屋のように感じた。

「特に何にもなかったー」

「意外と綺麗だったな」

 なんて雑談しながら、入ってきたところと同じドアから出る。

 そこから、家の周りも半周して、玄関付近まで来て外観を見ると、長い間、誰も住んでいないであろうことが、伸びた蔦の絡まりや落ち葉から感じ取ることはできた。


 視界の端に白い影が見えた。


「あぁードキドキした!何もなくて良かったね、トミー!」

 一美は肝試しというイベントに満足したようであった。

「あぁ、うん」

 確かに、噂で聞くほどではなかった。でも心霊スポットなんて、そもそも全部が全部そんなことはない。人の恐怖心から生み出した勘違いだってあるから、噂は鵜呑みにできない。

 カチャと鍵が開く、ドアノブが動くような音が聞こえた「もうそろそろ解散だって言うのに、まだ遊び足りないのか」なんて思いつつ、音がした玄関の方を見る。


 だれもいない。


ざわっと全身の毛が逆立つような悪寒が一気に走った。

「どうしたんー?」

 一美は不思議そうに、私と、私の目線の先を交互に見ていた。

「…なんでもない」


 それから無事に解散となったが、全身を覆った悪寒が消えることはなかった。


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