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穂花さんの会いたい人は、平木さんの親族の可能性が高い。
40年以上の前の穂花さんの親しい人を見つけるより、平木さんから調べた方が早いだろう。
「…で、平木さんを探すのか?」
「うん。死んでしまった人より、生きている人を探す方が、今の時代は早いから」
いつものようにスピーカー通話で坂本くんと談義。
「でも、どうやって探すんだ?」
「すごく単純だけど…を利用する。
短文型SNSだと匿名だしっていうか、偽名だから検索できないでしょ?
その反面、実名型SNSは原則、実名であるのがルール…」
目の前にはパソコン。画面は検索結果を表していた。
「それで…見つかったのか?」
「うん…平木さん結婚してないのかな…意外と近くにいるみたい」
マウスで、アイコンをクリックする。
そこで表示されたのは、なにかイベントの時の集合写真を使っているのか、画質が粗く、あまり確信はもちにくいが、年齢や場所、内容からすると、限りなく本人と思われる。
基本的に記事を投稿せず、とりあえず登録だけしてある。
と、いう感じだろうか。平木さんと思われる彼の画像。
現在、登録されている情報だけ見ると、市外ではあるけど県内だ。
あまり馴染みのない地名であったので、すぐに新しインターネットのタブを開いて、検索してみる。
結果、なんとなくわかったが、駅が近い場所でもないし、自転車でも行けるような距離でもない。
「…どうした?」
そのことに頭を悩ましてしてしまい、いつのまにか無言になってしまってたようだ。
坂本くんの声で気付いて、状況を説明する。
「あぁ。ごめん。住んでる正確な場所はわかんないけど…少年野球のコーチでもしてるのか…そこの人と繋がりが多いみたいだから、そこに行けばいいと思うんだけど…
だけど…場所が自転車でも、駅でもアクセスしにくい場所で…田舎の高校生にはキツイ条件ばっか…」
どうしたらいいのか…頓挫してしまった。
バイトもまだ開始していない私にとってお金の捻出は頭が痛い問題である。
今からバイトとかって無理だし、親からお金借りる?確実に理由聞かれるって言うか問い詰められるちゃうし、ややこしくなるの間違いなし。
最悪なパターンまで思考が辿り着き、大きく重い溜息をついた。
「なんだ…そんなことか…」
そんな重い空気の私とは反対に、なんでもないような軽い言葉が返ってきた。
「えっ。そんなことって」
「…俺…バイク持ってる」
良い解決策があるのかと思いきや。バイクとは原付のことだろう。
高校生の私たちが乗れるのは原付いわゆる原動機付自転車と言われるバイクで、二人乗りは禁止だ。
ここまで二人で頑張ってきたのに…
「…一人で行くってこと?? そりゃ、私はすぐに移動できるような手段もお金もない。
でも、何より会いたいって言っているのは私に憑いている穂花さんよ? 私が行かなきゃ意味がないじゃない」
なんだか、頼りにならないって言われているような気持ちになって、悲しくなった。
「…?…一緒に行くんだ…運転は慣れている…」
そんな、いつも雰囲気の違う私を察したのか、一緒に行くと言いだしてきたけど
「原付に乗っていない私でも知っているわよ…二人乗りはできない、違法だよ。
犯罪犯してまで協力してほしくないし、まだ親からお小遣いの前借りするし」
なんか犯罪を犯すというか、そういうルールを守るであろうと思っていた坂本くんの発言に、半ば驚きながら、指摘する。
「……なにを言ってるんだ…俺が持っているのは原付二種で、二人乗りができるバイクだ」
一瞬、時が止まった。
「えっ。そんな免許あるの? てか、免許取れんの!?」
気を取り直して、再度、確認する。
「16歳で取れる資格だ…」
「いいなーそれ! 私も原付と一緒に、二種取ろうかな…」
田舎ではやはり交通手段が欲しくて、自転車から原付、原付から車と段階を踏むのがセオリーである。
二人乗りできるなんて、結構、お得だし、どうせ取るなら、一石二鳥!
「向いてないと思う…」
そんな色んなバイクライフ計画が聞き捨てならない言葉によってグラグラと崩れて行く。
「ちょ、どういう」
「とにかく明日…神崎家に行くから…寝坊すんなよ…じゃ」
私の返事を待たずして、プツリと切れた画面。
てか、坂本くん!どう言うこと!向いてないって!?!?
それに、私、からかわれているのかな…と言うか…早く忘れて欲しい…寝坊事件。
…はぁ、男子の気持ちってホントにわかんない。




