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我が家での作業がひと段落すると、二人は帰宅。
私は再び、自室の机で自分が書き出したメモと向き合っていた。
桜川祭りについて
・開催時期は8月下旬
・20年前から中止。交通事故が原因。
穂花さんについて
・8月上旬に事故。
・40年前に発生。
・町内付近→桜川から離れている。
改めてみても、無関係のようにしか思えない。
だけど、なんだろう、この魚の小骨が引っかかっているような、スッキリしない感じ。
時計の表示が、23時を指す頃、電子音が響いた。
表示はーー坂本くんだった。急いで画面をタップする。
「もしもし」
「神崎…寝てたか?」
電話かけてきての第一声。思わず
「私はそんなに寝てばかりじゃないわよっ」
ツッコミを入れる。
「くくっ…そうだよな…」
私の中にある、寡黙である坂本くんのイメージを正さなければいけないようだ。
坂本くんは、意外と、意地悪な人である。
「で、どうしたの?」
「あぁ…昼間に堀江が話していた件だが、一番最初にあった”心霊”が原因で中止って情報だったよな」
確認するような口調。何か繋がる?
「うん…でも、誰も死んでるワケじゃないし、勝手に事故から噂から尾ひれがついただけなんじゃないかな?」
「…そうかもしれない。だけど…人が関わっていない事故なのに…そんな噂になる発展
するか?」
その問いかけを否定できる要素は少なく、むしろーーー確かに、人が死んでいたり、人を轢いてしまったりという被害者がいない事故で、心霊に繋がるには
「強引すぎる」
「そう…関係ないかもしれないが。堀江にも…改めて聞いてもらうように帰り道で話をした」
「ありがとう!」
一美には、穂花さんに関わる情報も聞いてもらうように、すでにお願いしているので、色々、怪しんではいた。
そろそろ、隠すのは厳しいような…でも、本人は話した様子がないし、その気がないみたい。
私、そんなに頭の回転が早い方じゃないんだけど…はぁ。
「ーーで、神崎の方は、なんか進展あったか?」
進展とまでの情報じゃないかもしれないけど、見た夢の話をした。
「最近、私たちの情報に影響されているのかもしれないけど、違う場面を見えるんだよね。彼女…その穂花さん、泣いて謝っているの…告白の断り方じゃないって言うか…それに…」
「それに?」
「彼女、どこか歩いているの。そこで声をかけてきたのが、告白してきている彼みたい」
思い出しても、彼の顔を伺うことができてない。
夢の中で、目の前に現れた彼は、誰なんだろうか。
「…なるほど…そうなると…やはり40年前に学生である可能性が高いな…」
何か思案するような坂本くんの声を聞いたら、伝えた方がいいのかもしれない。そう思って
「うん。でも…無関係かもしれないんだけど、桜川祭りのことが気になって…」
消えることがない心のわだかまりを吐露した。
「…俺も同じだ…何か関係があるのかもしれないな…」
その言葉になんだか、ホッと気持ちが軽くなった。




