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寝巻きから着替えたのもの、寝起きの状態のまま、広間に来てしまったので、お行儀が悪いけど、食パンをかじりながら話を聞く。
「桜川祭りが中止になった話だけど。中止後、開催されてないみたいだったでしょ?」
「うん」
胸の引っかかりの一つでもあった。
いつのまにか消えたお祭り…穂花さんの事故は関係なかった。なら、なぜ…
「でさ、おじいちゃんに聞いたのよ。
もしかしたら知ってるかなぁ? なんて思ったら、当たり!」
パチンと指を鳴らす一美。
「えっ!なんだったの!?」
驚いていると、その反応に満足したのか一美はフフンと自慢気に鼻を鳴らし
「それが、なんと」
「なんと」
なかなか見ることのない真面目な顔をした一美の口から出た言葉は
「資金不足だったんだって」
予想外の理由だった。
「はぁ!?」
「確かに中止になった年に事故があったけど、祭りとはあんまり関係なかったみたい。元々、そんなに余裕があるところじゃなかったし、安全強化とかそういう面で追加でお金を使うより、無しにして、他の地域事業に貢献した方がイイんじゃないって」
そう言い切ったあと、テーブルにバンと上半身を倒すと「思ったより現実的な理由でつまんないー」と拗ねている一美は、一旦、放置。頭の中でくるくると色んな情報が整理されていく。
「なるほどね」
町内の地域イベントは季節毎に開催している。それは営利目的ではなく地域活性化のはずだから、地域の人が出し合った予算は微々たるもので、運営資金の多くは町のお金だろう。
「……堀江、あまり関係なかった。 ということは、どこかしらに関係があるってことか?」
坂本くんは坂本くんで、一美の言葉に引っかかりを感じたようであった。
「あぁ。まぁ、こじつけみたいな理由っぽいし、なんぜおじいちゃんの記憶だから、かなり曖昧だけどね」
「こじつけ?」
こじつけるほど開催したくなかったのだろうか。
「祭りを設置業者が事故を起こしたんだってさ、誰か引いたワケじゃなくて、単純なスリップ事故ってヤツ?
なのに、中止にしたんだって」
単純なスリップ事故、しかも人身事故でもなんでもない。
「お祭りを中止にする理由にならなそう…確かに…こじつけっぽい」
「でしょー!」
今も昔も、地方の財政、資金不足はあるのだろうな。時たま、両親たちが「財政赤字らしい」なんて話しているぐらいだし。
一美と話を続けていたが、こじつけの理由を聞いてから、全く会話に参加しない坂本くんをみると、何か考え込んでいるようであった
「……」
「坂本くん、どうかした?」
「いや…なんでもない…とりあえず、今、自分たちが集めた情報を書き出してみよう…」
「うん」
「了解!あ、私の情報書いておく?」
「…そうだな…地域のそういった理由で祭りがなくなるって言うのも時代背景に通ずるものがありそうだし…」
「そうね! 書いとくねー」
二人の姿を見ながら私の頭の中で情報がグルグル。
再び、口にしたトーストは冷めきっていた。




