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霊感微少女の夏  作者: 慶
13/25

13


 見せてもらったアルバムに、彼女はいた。

 あの交通事故で亡くなった一家の一人娘 松崎まつざき 穂花ほのか

 学校の集合写真に彼女は、ひっそりとたたずんていた。


「彼女の名前は、松崎 穂花さん…」


 集合写真の下に書かれた文字を指でなぞる。


 彼女が会いたいって言っていたのは、誰なのだろうか?

 写真に写っているのは男女共学ではあったようだけど、この中にいるのだろうか。

「……」

 私はわからないけど、坂本くんなら何か気づいたのかもしれない?

 そう思って、坂本くんの方を見ると、私の後ろ・・・穂花さんのことを視ているようだった。

「どう?」

「…いや、自分の名前が出た時は反応してたけど、今は…特に…」

 穂花さんから私の方へと目線を戻して、一息ついた。

「そっかぁ。この中にいないってこと…年齢が違うのか、それとも学校が違うのかな…」

 さすがに、この会話がご夫婦に聞かれてしまうと、不審に拍車がかかってしまいそうなので小声で話し合う。


 彼女の名前がわかったものの、どう探せばいいのだろうか?

 40年前というと、現在は50、60代の人になる。

 果たして覚えているのだろうか。

 いや、”覚えている”というか、”知っている”いなければならない。

 穂花さんの名前がわかったことは大きな収穫だけど、私たちの目的は、その穂花さんが”会いたい人”である。

 よくある理由としては、”好きな人”ということになるけれど、そうなると”ただ、覚えている”という関係よりも深い、”知っている”となるような、プライベートを話しているような、仲のよい人を探さなければならいあ。


 一歩進んで、また立ち止まる。

 一歩一歩確実に進んでいるけれど、もどかしい。


「あなたたち、御飯、食べていくでしょう?」

 おばあちゃんの声に、思考の海から現実に引き戻される。

「いや、それは、ちょっと申し訳ないっというか…」

 最初から快く受け入れてくれたおばあちゃんの言葉は嬉しいけれど、遠慮せずにはいられない。

「いーのよ!せっかくのご縁でしょう?

 私たち二人だと作りがいもなくてねぇ。ちょっと早い晩御飯だと思って、食べていかないかしら?」

 そう言われてしまうと、食べないわけにもいかないような・・・それに、台所からは美味しそうな香りもしてきている。

 チラリと坂本くんの様子を伺うと「付き合うしかない」というように頷いていたので

「では、お言葉に甘えていいですか?」

 と答えると、とても嬉しいそうに笑って「何合炊きましょうかねぇ」なんて言うもんだから、慌てた。

「いえいえ、いつもより1合追加するぐらいで大丈夫なんで!!!」

 若いからと言って、食べる訳ではないんです。

 なんせ私たち、文化系の人間なんで。おばちゃんは少し残念そうではあったけど「おかず沢山あるから、それもそうかもしれないわね」なんて言ってて、違った意味で納得していた。

 でも、久しぶりに帰省した時の、懐かしを感じる時間だった。


 おばあちゃんが料理に腕をふるっている間、アルバムを隅から隅まで見た。

 また、可能である限り、渡してももらった他のアルバムをも一緒に確認して、少しでも手掛かりになるものを吸収しようとした。


「はい。たくさん食べて頂戴ねぇ」

 そう言って出された手料理は、予定外に作ったとは思えない料理の種類と量であった。

 嬉しい反面、なんだか申し訳ないと思いつつも、美味しく頂いた。

「それにしても、この辺の地域のお祭りを調べてたの?

 あら? でも何で、松崎さん家のことなんて…」

 口に含んだ唐揚げが詰まりそうになる。

「……祭りを調べていたら…たまたま…こちらの事故のことを知りまして…もしかして…何か関係があるのかと思いまして…」

 その様子を察した坂本くんが代わりに口を開いてくれた。

「あぁ!?何だってぇ!?」

 何の言葉が引っかかったのか、突然、おじいちゃんが大きな声を出した

「あなた、大きな声を出すのやめて下さいな! お客様がビックリしてるじゃないのー」

 まぁまぁとなだめるおばあちゃんによって、落ち着きを取り戻すと

「事故と祭りが関係あるわけないだろうがっ」

「は、はい…」

 語気が強く、唸るように言い放つ迫力に押されて、聞き逃しそうになったけど、耳に届いた言葉が一瞬、理解できないほど、驚いてしまった。


「事故があった日もそうが、あの時はなんもよおしも無かったんだからなぁ」

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