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霊感微少女の夏  作者: 慶
12/25

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 私たちは再び、図書館に足を運んだ。40年前にあったであろう事件を調べるために。


 でも、私は「桜川祭り」のことが頭から離れることがなかった。


 前回は”祭り”と”事故”や”事件”を中心に見ていたので、もしかしたら、見逃しをしていたのかもしれない。

 そのため、今回は、”年数”を絞り、内容に関わらず”一家”と言うワードで改めて見ることにした。

 調べはじめてから、1時間経った頃

「…神崎…これ…」

 そう言われて、坂本くんが指した資料には、町内で起きた交通事故であった。


ーーー旅行帰り、自宅に帰る途中の事故であった。運転操作の誤りが原因とされており、そのまま林に突っ込んだ。帰宅が夕方、夜になっていたこともあり、朝方になるまで気づかれることがなく、そのまま一家全員が死亡した。


 田舎の夜道は、人通りなんてほとんどない。

 林だなんて場所は、利用する人がもっと減るし、街灯も少なかった事だろう。

 すぐに発見できれば、助かったかもしれない命。


 変えることのできない過去を悲しみを感じてはいけない。


 彼女はこの家族の一人の可能性が高い。


「…誰か知っている人かもしれない…行ってみるか」


 不確かでない情報が欲しい。彼女の家へ向かうことにした。


  * * *

 

「えぇ!? わしは耳が悪くてなぁ〜」


 ご近所にいて、40年以上前を知っていそうな人に声をかけることに。

 と言っても、田舎なので、そう簡単にゴロゴロいるわけもなく。

 セミの鳴く声が大合唱をし、日差しの強い中、彼女の家のあった周辺を歩き回って見つけたとても貴重な人である。


 が、かなりのご高齢おじいちゃんであった。


「あのですね!昔!あそこの家に住んでいた方のことが!知りたいんですけど!」


 かなり声を張って、話しかけると、やっと通じたようで

「ありゃー。悲しい事故だっだ…」

 さっきまで、賑やかな空気をまとっていたおじいちゃんは、遠くにある林を眺めながら、静かに語りはじめた。


 この地域ではお金持ちの部類で、なかなか農機具などではない自家用車を持つことが少なかった時から保有するほどだったそう。そのことを鼻にかけることなく、ご近所付き合いは良かった。

 その家には一人娘がいて、体が弱く学校を休むことが多かった。

「ーーとても、気の優しい娘さんだった。

 あの頃は夜になると出かけることも少なくて…事故をした箇所も悪かった。

 一段と人通りの少ない道であった。夜は音が響く、そのことを気にしたのかもしれん。

 遠回りしたんだろうなぁ…その結果、朝…人がその場所を通るまで気付かれることなく…」


 とても哀しそうに、まるで事故現場を見たかのように、その視線はいつの間にか地面へと落ちていた。


「…お詳しいんですね」

 坂本くんの声は

「あぁ!?聞こえんかった!」

 小さい。

 声を張って!頑張れ!!

 と心の声でエールを送るけど、人には得意不得意があるし…となると、結局は

「すごく!お詳しいんですね!お知り合いなんですかっ!」

 私が声を張って、聞く。

「あぁ、娘が同級生だったんだ」

「すみません!そのアルバムとか!顔がわかるモノは!お持ちですかっ!」

 突然、事故のことを聞いてきたと思った若者が、次にアルバムが見たいとか、不審者きわまりないにも関わらず、おじいちゃんは、少し不思議な顔をしつつも、顎に手を当てると

「あーアルバムならあるかもしれんなぁ…家内に聞けば分かるかもしれない」

 そう呟いた。

「ぜひっお願いします!」

 ワラにもすがる思い出ある。

 すぐに、その情報に飛びついた。


 こんな変な願いではあるかもしれないけれど、おじいちゃんは、快く了承してくれた。

 あまりにも突然すぎるから、きっと、翌日になるかもしれないと思い、日を改めようとしたら、

「なに言ってるだ。今からウチに来い」

 と誘われてしまい、断ることもできず、お邪魔することに。


 当たり前だけど「そう言えば何をやっているんだ」と言うことから、今日の農作業についてのあれこれを大きな身振り手振りをもって話すおじいちゃん。

 そうこうしているうちに、おじいちゃん宅に到着。


「あらあら、まぁまぁ。こんな若い子たちがいらっしゃるなんてねぇ」


 玄関近くにいたと思われるおばあちゃんが玄関に顔だした時の第一声である。

 そして賑やかなおじいちゃんとは反対に、のんびりと落ち着いたおばあちゃんは、そのまま玄関まで出てきて楽しそうに笑った。

「なんでも昔の記録を探しているそうだ」

 おじいちゃんが私たちの説明した内容をおばあちゃんに説明してくれた。

 こんなにも突然すぎる訪問、それで家に上がるとか失礼すぎるし、と、玄関のところで立ったままでいる私たちを見て

「まぁ、歴史を学ぶことは大事なことよー素敵ねぇ。あ、御飯食べていくかしら?」

 不審な表情一つもせず、とても大歓迎された。

 案内された部屋は、広間であった。隣には茶の間が見えて、普段はそこでご飯を食べていることが想像できた。

 部屋を見回すと、おじいちゃんやおばあちゃんだけではない、世代の違うような可愛いらしい小物が置いてある。

 見た感じ、娘さんは家を出たって感じだろうなぁ。

 玄関に泥にまみれた長靴や草履などが置いてあったものの、この小物に合う靴が置いてはなかった。

 きっと夫婦二人で住んでいて、人が訪ねることが少ないのだろう。


「ご飯の準備しなきゃ」

 そう慌てるおばあちゃんに、おじいちゃんは

「あぁ、その前に、サキエのアルバムはあるかい?あの松崎さんところの娘さんと撮った写真はなかったかねぇ」

 耳は少し遠いが、目的のことはちゃんと覚えていてくれていた。

「あぁ、ありますよ! そうですね、まずはお勉強ですよね」

 その声に、おばあちゃんは「はしゃいで恥ずかしいわ」なんて笑って、その表情がともても可愛くて、おじいちゃんもそれを見て、笑ってて・・・素敵な夫婦だなぁと思った。

「ちょっと待ってて持ってくるわ」

 そう言うおばあちゃんに、坂本くんは「お手伝いさせてください」と申し出て、ついていった。


 アルバムを持ってきてもらうまで、おじいちゃんと雑談をしていた。

 おばあちゃんのアレコレ…きっと、これはノロケと言われる内容であることはすぐに気づいて、頬がますます緩んだ。


 でも、私の心の片隅には引っかかりがあり、なんだか落ち着かなかった。

 確実に彼女に近づいているはずなのに。

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