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始まり【担任said】

先日、僕達のクラスは異世界に転移というやつをしたらしい。

魔王を倒せと言われ、授かった能力を確認したところ、教師である僕は【魔装】という能力を貰っていた。

しかし生徒の一人が【覇道】と呼ばれるスキルを発動したらしく・・・生徒の一人が亡きものとされた・・・

王様もショックを受けたらしく、僕達には休息を与えられた。


「いつまでも・・・これじゃダメだよな・・・」


生徒が殺され他の生徒は希望から絶望に叩き落とされたような顔をしていた。

今の状況は最悪だ。

しかし、教師である僕がこのままで良い筈がない。

僕は教師になった理由は?

教員免許があったからか?

違うだろ!

子供が好きだったからだ。

その好きな存在が目の前で殺されたのに、俺は何をしていた?

ゲロを吐いている場合じゃない・・・


「よし!」


僕はこの数日、部屋に引きこもっていた。

ニートはもう辞めだ!


ガチャ


部屋を出ると門番だろうか?兵士が立っていた。


「どうなされましたか?」

「王様に会わせてください、どうすれば魔王が倒せるのか聞きたいので」


◆◇◆王の部屋◆◇◆


「勇者殿、魔王討伐の仕方を聞きたいと言われましたが、どうなさったのですか?」

「僕は・・・大切な生徒のために戦いたいんです」

「・・・それはあの覇道のスキルを出した男も含まれているのか?」

「彼は確かに大切な生徒を殺しました。それは許されない事です。けれどその分の罪を償う権利を与えたいんです」

「それを拒んだ場合は?」

「そんなことはさせません」


王との間に沈黙が続く。

何故だろう、こんなに空気が重いのは・・・

まるでどうしようもなく強い化物を目の前にしているようだ。

それこそゲームのラスボスほどの威圧だ。

そして王は口を開いた。


「よかろう、ではレベルについて説明しよう」

「レベル?」

「そちらの世界ではレベルが無いのだろ?全員レベル1だからの」

「えぇ、そんなのは架空の世界の話ですね」

「この世界ではレベルがあっての、レベルが高いだけそれだけの身体能力が出せるんじゃ」

「レベルを見る方法は?」

「感覚的のわかるらしいので他者からは分からぬ」

「え,でも今レベル1って・・・」

「それはそういうスキルを持ってるからなんじゃ」

「・・・なるほど」


話を聞くとゲームにそっくりだった。

レベル、ステータス、スキル。

この世界は本当にゲームなのでは無いだろうかと思うほどだ。

そしてさっきの威圧は王様のレベルが高いかららしい。

レベル1から上げなければ魔王なんて夢のまた夢らしい。

レベル1でも倒せるモンスターのいる草原を教えてもらい、僕は行く事にした。


◆◇◆チキン草原◆◇◆


兵士さん連れて来てもらう道中で兵士さんのレベルを聞くと、やはりレベル一は低いのだろう。

新人さんでもレベル十五らしい。


「勇者様、こちらがチキン草原です」

「チキン草原?」

「はい、どんなチキン野郎でも倒せるような魔物しかいないのでチキン草原です」


なんだろう・・・馬鹿にされたと感じてしまう・・・


「勇者様!!あの角が生えたうさぎがホーンラビットです!!力が扱えるまではこちらの剣をお使い下さい!!」


兵士さんに鉄の剣を貸してもらい、ホーンラビットに向かって走る。

力が扱えない・・・というのは僕が魔装を押しても発動しないからだ。

王様に聞くと、条件を満たしていないのかもしれないと言われた。


「・・・」


僕はある事に気付いてしまった。


ホーンラビットは・・・まだ僕が後ろにいる事に気付いていない?

だったら・・・


僕は少しずつ音を立てずにホーンラビットに近づく。

そして剣が届くところに着いたところで・・・


「とぉ!!」


刺す!!


ホーンラビットは体を貫かれ死んだ。

やはり生き物を殺すのは気が引ける・・・


「ごめんな・・・僕の為に死なせちゃって・・・」


ホーンラビットの死骸を見て生き物を殺すという事を改めて認識した。

とても・・・酷いことをした。

けれどこうしないと魔王は倒せないのか・・・


ピコンッ


スマホに通知が突然来る。


「ん?なんだろう」


【魔装を解放しました】


「魔装?」


アプリで確かめようとしたその時、後ろで「ぎゃああああ!!」と兵士さんの声が聞こえた。


「兵士さん!?」


後ろを向くと、兵士さんの胸に穴が空いていた。

よく見ると他の兵士さんも胸のところに穴が空いている。

そして一斉に兵士さん達は倒れた。


「・・・え?」


兵士さん達が倒れてそこに一人立っていたのは・・・


「君が・・・勇者だねぇ?」


兵士さんのだと思われる心臓をペロリと食べている黒いマントを羽織った長髪の男がいた。

その男は赤い髪をしており細身で口紅を塗っている・・・いや、もしかしたらその赤は・・・

確か、兵士さんの中には力自慢の大柄の人もいた。

その人を簡単に殺し、心臓も食べておる。

明らかに・・・異常だ。


「うふっ、優男は嫌いじゃないわぁ」

「お前・・・だ、だれだ!!」

「これは失礼、あたしは魔王様の二十いる眷属の一人・・・人間は魔族と呼ぶらしいわねぇ」

「魔族・・・だと!?そ、そうだ!!【魔装】」


さっき覚えた魔装を使う。

すると目の前に黒い剣が現れた。

柄から剣先まで真っ黒で何の装飾もされていない剣だ。


「これが・・・魔装・・・」

「はっ、そんな剣がなんだって言うのよ!!」


と、とりあえずこの剣を信じるしかない!!


剣を掴むとその瞬間何かが変わったことに気付いた。

身体能力が極限まで上がっている気がした。

そして・・・


「その剣で何をしてくれるのかしらぁ・・・っ!!」

「もう・・・ここは戦場だぞ」


気が付いたら敵を攻撃していた。

魔族の認識できる速度を越え、後ろに回り込み剣で頭を切り裂こうとする。

しかし攻撃は紙一重でかわされる。


「くっ、レベル一が舐めるんじゃないわよ!!」

「はっ、魔族って言っても弱いな」

「なんですってぇ!!」


自分の性格が変わっている事に気付いてはいないかった。

ただ目の前の獲物を殺す事だけを考えて剣を奮った。

この剣でなんでも出来ると思っていた。

あの王さえも殺せるのでは?

と考えられる程だ。


「もっと本気を出せよ魔族!!」


◆◇◆一時間後◆◇◆


もうどれだけ剣を奮っただろうか、分からない。

それは分からないけれど一つわかることがある。


「ハァ、ハァ、どうしたのかしら?動きが鈍ってるわよ!!」

「くっ!!」


身体能力が・・・明らかに下がっている・・・

魔装を使う前の状態の十倍までに下がっている・・・

なぜだ?魔装の制限か何かか?

くっ!!敵は満身創痍、あと少しで倒せるのに・・・

スピードが圧倒的に負けて来ている・・・


「う、うおおおおおおおおおお!!」


剣を縦に振り下げようとする・・・しかし・・・

黒い剣は光になって消えた。

そして体の力が抜けその場で膝蹴りされ、数メートル飛ばされた。


「フゥ、レベル一なのにここまで強いなんて・・・城にいる勇者もレベル一の間に殺そうかしら?」

「くっ、あの子達は・・・殺させない・・・」

「あら、まだ生きてたの・・・じゃあ止めを・・・」


もうダメだ・・・僕は死ぬのか・・・

一名生徒が行方不明なのに・・・その子も見付けられず・・・


そこへ森から青年が銀髪の幼女を肩車しながら出てきた。

誰だ、あの二人は・・・逃がさないと・・・

そう思いながらも、激しい痛みに耐えきれず意識を手放した・・・


「ぱぱー、あのひとおとこのひとなのにおんなのひとみたいなしゃべりかたしてるよ」

「シッ、ミーシャ、あの人は危ない人だから見ちゃダメよ!!」

「わー、ぱぱもへんになったー」

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