狩りの日
「・・・お?」
進化だと?
マジで?
しかもゴブちゃんも!?
【進化しました】
【パートナー・ボイスレコーダー付き浮ける石】
「うわあぁぁぁ」
なんだこれ、いきなり日本に戻ってきた感があるぞ・・・
こんなに悲しい進化があるだろうか?
っていうかこの能力使えるのかな?
【進化しました】
【ホブゴブリン・ホブちゃん】
「お、おぅ・・・」
ゴブちゃん改めホブちゃん、ゴブリンの時より頭一つ分ぐらい背が伸びた気がする(見た目は変わってないけど・・・)。
体もこの前は子供みたいな感じだったが今度は十五歳ぐらいの人族並の体型になっている。
「ゴブッ!!」
「なんか喋り方変わってるーーー!!」
オイオイ、この前までグギィとか下品すぎる声を発してたのがゴブに変わったよ!!
ちょっとしたゆるキャラとして成り立っちゃったよ!!
しかしこれでゴブリンの時より強くなったはず!!
「よし!!これで明日は色んな魔物を狩ることができるな!!うん、スマホに戻っていいぞ!!」
「ゴブ」
ふっふっふ、明日が楽しみだ!!
◆◇◆翌日◆◇◆
「よし!!今日は・・・」
「ゴブッ!!」
「狩りだーーーーーー!!」
「ゴブーーーーー!!」
「よし!!ホブ隊員!!ゆくぞ!!」
「ゴブッ!!」
ハイテンションで森に入っていく俺とホブちゃん。
森を進むとさっそくゴブリンが二匹出てきた。
「前方にゴブリンの集団!!まずは隊長である俺が先手を打とう!!」
俺は石を飛ばしてゴブリンの頭部に当てる。
ちなみに投げるより念で動かした方が速い事に気が付いてしまった・・・
軽く六十キロは出る。
なーのーで。
ボシュッ!!
「貫通を確認!!」
そう、この石ころはかなりの威力を発揮できるのだ。
ゴブリンなんかは貫通できるほどに・・・
俺はその調子で二体目も倒して戦闘を終える。
死体は・・・燃やした。
戦闘に勝利したのをクラスメイトに後で自慢するため耳を切り取る。
「次行くか!!」
しばらくゴブリンを狩っているとスマホに通知が来る。
【ボイスレコーダー付き浮ける石からはファイヤⅡを覚えました】
「ファイヤⅡ?」
そこへゴブリンが三体現れた。
「試してみるかー、ホブちゃんどいてー」
「ゴブッ!!」
【ファイヤⅡ】を選択。
いや、ファイヤⅡって言った方が早いんだけどさ、スマホを弄らないとなんか日本人感が全て失われる気がするんだよ。
だって朝昼夜全てを雑草で凌いでるんだよ、せめてプライドは死守したいね。
バーンッ!!
「す、すげぇ・・・」
ファイヤⅡは火の球体が敵に飛んでいき、爆発した。
ちなみに今までのファイヤはガスコンロぐらいの力しかなかった。
Ⅱが付くだけでこんなに違うのか・・・
「強いな・・・」
ガサガサ
「ゴブッ!!」
「お!!スモールボアだ!!さっそく・・・【ファイヤⅡ】」
バーンッ
「プギイイイイ!!」
「スモールボアの声初めてきいたな・・・」
【ボイスレコーダー付き浮ける石ころが進化します】
「このタイミングでか!!すげぇ!!もしかしてスモールボア倒すと経験値いっぱい入るのかな?」
【進化しました】
【パートナー・LEDライト付き浮ける石ころ】
「LEDライト・・・」
すごく環境に優しくなった・・・
「はぁ・・・泣けてくる」
「ゴブ?」
「まぁいいか、飯取れたし」
そう!!スモールボアの肉は前回毒にやられてて食えなかったが今回は食えるのだ!!
ファイヤⅡ最高!!
◆◇◆滝の前◆◇◆
「よーし、食うか!!」
「ゴブッ!!」
【焼肉】
パクッ
「こ、これは・・・!!」
「ハムハム」
「生臭っ!!オロロロロロ」
マジか・・・すげぇ生臭い・・・
腹が減ってて血抜きするのを面倒くさがったせいか!!
くそっ!!ちょっと不味いくらいは大丈夫と思っていたがここまでとはっ!!
「血抜きしたいんだけど技術面がな・・・」
俺は料理をしたことが無い。
何故なら近所にコンビニやスーパーがあり、これといって必要性が無かったからだ。
「ハムハム」
「・・・さすがホブゴブリン、伊達に野生に生きてないな・・・」
「ハムハム」
最近雑草しか食わせてなかったからめっちゃ嬉しそうに食ってる・・・
「ホブちゃんにそれ全部あげるよ」
「ゴブッ!?」
「俺は雑草食ってるから」
ホブちゃんはその場で嬉しそうに「ゴブゥ~」といって再び食い始めた。
俺は雑草を食べる。
なんか生臭い口が癒される感じがした。
それと同時に日本で料理しなかったことを後悔し・・・泣いた。