異能軍
「うわあああああ!!異能軍が来たぞ!!」
体育館に入ると、すぐに扉を閉め物を置く。
なるほど、異能軍を入れたくない訳だな。
入れたら何かするって訳じゃあるまいし、元は知り合いじゃないのか?
「あぁ、もうここも終わりか・・・」
「俺達どうなるんだ?」
「優しい異能使いの異能は弱いのばっかだし・・・もう打つ手無しか」
おいおい、凄い脱力してるな。
大丈夫か?
バンッ!!
体育館の扉が何かで叩かれる。
もしかしたら蹴ったのかもしれない。
蹴るんだったらあんな扉一発でぶっ壊せよ。
「おい!!無能者ども!!ここを開けろぉ!!」
「ひぃ!!」
扉の向こうからの声に怯える人達。
え?異能軍って元は近所の人達じゃないの?
そんな事を考えていると、扉に向かって何かを使ったのか鉄の扉が砂になって消える。
「な!!」
「うわぁ!!」
「た、助けて・・・」
人達が狼をみた羊のように怯える中、俺は気のなることがあった。
異能ってスキルとか魔法じゃないの?
今のは生産系の【材質変化】に似ている。
とても希少な能力で持ってる人がほとんどいないらしい。
でも世界の人口の半分が異能を持ってるなら持ってる奴がいてもおかしくない。
「へへへ、お、アイツ可愛いな」
外から出てきた異能軍の一人は確か隣のクラスの・・・誰だっけ。
まぁ、あんまり接触なかったしな。
とりあえず、頭悪そうだし【馬鹿】と呼んでおこう。
馬鹿は入口付近で泣きそうな十歳ほどの女の子を見てニヤッとした。
え?まさか、おい。
「お前は今日から俺が飼ってやるよ、拘束!!」
馬鹿は手を女の子に向けて【拘束】と叫んだ。
すると手から魔法陣が現れ、光る細い紐のようなものが出てくる。
あれがアイツの能力か。
拘束と叫んだところからあの女の子は紐で縛られるのかな?
「た、助けて・・・」
女の子が泣きそうになっている。
うん、これ以上の観察はやめるか。
「へへっ、これで新しい女が・・・?」
拘束しようと出てる紐は怯えてる人を縛るのは簡単だろう。
けれど精々縛ることしか能のない力。
距離からして十メートル。
紐を止めるのには・・・充分すぎる。
「よっ、隣のクラスの芦屋だ?覚えてるか?」
「てめぇ、ここにいるってことは無能者だろ?そんな奴が俺の異能に歯向かうとはいい度胸だ、拘束」
もう一つの手で拘束を発動するために魔法陣を展開する。
悪いけど、それ貰うわ。
俺は石ころを飛ばし、異能を発動しようとしてる手に当てる。
それだけでいい。
ピコンッ
きたきた
俺は笑うのを我慢する。
「あぁ?なんだこれ」
「俺の石ころ」
「なめんな!!」
俺に持っている石ころを投げ飛ばす。
でも、俺は念動力を持っている。
しかーし、普通に受け止める。
何故?ここにいる人達は異能とやらをよく思っていない。
念動力なんてスキルも異能と思われるだろう。
だから受け止めるだけでいい。
「ったく、ふざけやがってよォ、こ「ま、待ってくれ!!」」
馬鹿がもう一度拘束と言おうとした時に背後から声がかかる。
「あぁ?なんだおめェ」
「そいつはうちの息子だ、頼む、俺はどうなってもいいから零は・・・」
「・・・」
「頼む」
「はっ!!じゃあ二人揃って死にな!!拘束!!」
手を向けて【拘束】と言うが、何も起こらない。
うん、もうミーシャとティアは分かると思うけど。
【人探しできちゃう石ころ】
【スキル一覧】
【ウォーター】
【水圧】
【調合】
【毒属性】
【猛毒属性】
【骨合成】
【素材鑑定】
【ファイヤ】
【ファイヤII】
【ファイヤIII】
【ロック】
【念動力】
【鍛冶】
【鍛冶II】
【鍛冶III】
【裁縫】
【裁縫II】
【召喚】
【ボイスレコーダー】
【LEDライト】
【ホカホカ】
【ヒエヒエ】
【映像化】
【GPSマップ】
【生命探知】
【転移】
【拘束】
拘束、貰いました。
「あ、れ?拘束!!ん?拘束!!拘束!!拘束ぅ!!」
「おい、何やってんだ?」
何度も拘束と唱える馬鹿を心配するように仲間が聞く。
「それがよ、異能使い過ぎたみたいだからお前やってくれない?」
魔力切れだと思ってるみたいだな。
まぁ、無理もない。
今まで俺TUEEEEと言いながらやってたのだからいきなり異能が消えた、等の考えは浮かばないのだろう。
「しょうがねぇな」
するともう一人の異能軍が床に向かって手を向ける。
おそらく材質変化するつもりなのだろう。
「いいかぁ?お前ら、この床を今から水にしてからコンクリートにしてやる、お前らは生き埋めだァ!!」
「ひぃ!!」
確か材質変化は発動しながらの状態を数十秒保たなくて使えない。
しかし、扉ぐらいの面積であればの話だ。
体育館の床だとかなり掛かるはずだが・・・
「材質変化!!いてっ」
俺は魔法陣が出た瞬間、石ころを当てる。
ピコンッ
はい、ありがとうございます。
「たく、なんだお前?」
「そうだな、異能軍の敵とだけ言っておく」
「お前・・・生き埋めの刑だ、材質変化!!・・・あれ?」
「おーい、皆ー!!コイツら異能使い過ぎて今は使えないみたいだからとっ捕まえよーぜ!!」
俺は怯えてる後ろの人達に呼び掛ける。
すると「え?異能の使い過ぎ?」と一人がいい「だったら、俺らでも捕まえられるんじゃないのか?」とまた一人がいう。
その様子を見た二人の顔が血の気を無くしていく。
よくやく、気付いたのだろう。
異能がなければ自分達はただの人だと。
さて、俺はこれが終われば異世界に帰ろうか。
早く魔王倒して母さんと親父にミーシャとティアを紹介して家でゴロゴロする、うん完璧だ。
と、そんな事を話していると縄で縛り終えたようだ。
「その二人どうするんですか?」
俺が聞くと縄で縛った人が満面に笑みでが言った。
「大丈夫だ、殺しはしない、何せ俺の娘を連れ去った奴だからな」
「ひぃ!!」
縛られた馬鹿が泣きそうになる。
まぁ、生きていることを祈ろう。
そしてミーシャとティアを連れて帰ろうとした時、声を掛けられた。
「待ってくれ」
「ん?」
声を掛けてきたのは知らない男だったが、周りの人を仕切ってる所が見えたのでおそらく発言力が高いのだろう。
「君は、何故異能軍を目の前にしてアソコまで自信を持っていられたんだい?」
「・・・」
この質問はヤバい。
周りの人もリーダー的な人が話してるから少し見ている。
群れる動物はリーダーに逆らうと追い出されるという話を聞いた事がある。
ここで逆らえば親父と母さんが孤立する可能性もある。
いっそ全員転移魔法で異世界へ?なんて考えもあるが、異世界でカズヨシみたいに魔族化されたら王国に迷惑が掛かる。
ここは・・・正直の話す方がいいな。
「話してもいいが、皆が見ているところで聞こえるようにしてくれ」
「どうしてだい?」
「ここで話をして、中途半端に聞いて誤解を生ませるのは得策ではないからだ」
「・・・それだけの情報なんだね」
「あぁ、それと約束してくれ」
「なにをかな?」
「・・・親父と母さんを責めないでくれ」
異能者の家族は戦争中で言う【反逆者の親族】だ。
反逆者に親族は人質に取られたり、場合によっては処刑される。
日本だからそれは無いだろうが、少なくとも【異能者を産んだ】のようなレッテルが貼られるだろう。
それだけは避けたい。
「わかった、じゃあ皆を集めるよ?」
「頼む」
◆◇◆数分後◆◇◆
俺は皆の真ん中に立っている。
周りの人は座っているから遠くの人でも見えるはずだ。
ティアに探知系のスキルと発動してもらったが魔力の形跡が無いので盗聴はされていない。
「皆!!彼から何か話があるらしい!!聞いてやってくれ」
「まず、初めに言わなくてはならない事がある、それは・・・俺が、異能者である事だ」
俺の一言を聞いても誰も何も言わずにシーンと俺を見ている。
続けて言葉を発する。
「俺の異能は・・・簡単に言えば異能を奪う力だ、さっきの二人は異能の使い過ぎではなく、俺が奪ったんだ・・・もちろん奪ったから使える」
次の言葉を言っても誰も何も言わない。
そして俺は最後に決意を言う。
「俺の異能を怖いと言う人がもちろんいると思う、だが安心して欲しい、俺はすぐにここを出る、怖いのならばもう二度とここには帰らない、だから「ふざけんな!!」」
俺に向かって飛んでくる言葉、来ると思っていた。
大方「俺達を騙したのか!!」とでも言ってくるのだろう。
そしてキレた人物が立ち上がる。
「お前、俺の娘を助けたそうじゃないか」
「娘・・・?もしかして拘束されそうになってたあの子か?」
俺は馬鹿に拘束を使われそうになってた泣きそうな女の子のことを思い出す。
「俺はあの子の親だ、俺は・・・」
「・・・怖い思いをさせたのは俺のせいだ、だから「ちげぇ!!」」
「俺は、まだお前に恩返ししてねぇ」
「・・・え?」
その男一人の言葉で次々と人が立ち上がり声を掛ける。
「異能者だからってだけで追い出さねぇよ!!」
「お前がいなきゃ、ここは終わってたぜ!!」
「悪いと思うなら残ってくれ!!」
予想外だった。
もしかして異世界にいたから感覚が麻痺してたのかな?
そして親父を母さんが俺に近付く。
そして母さんが俺を抱き締めていった。
「行方不明になって帰ってきた息子を追い出す親なんている訳ないでしょ・・・」
「母さん・・・」
「それに零!!」
「な、なに?」
「その女の子達はどうしたのよ!!」
「ミーシャとティアの事か?」
俺はいつの間にか両腕に張り付いてるミーシャとティアに目をやる。
「ぱぱー」
「私も離れるなんて嫌です・・・」
「あら、随分と情熱的ね・・・」
母さんは感心するように二人を見る。
そしてミーシャの猫耳に気付いたようで・・・
「・・・」
「母さん?」
「カッワィイイイイイイイイ!!何これ猫耳!?本物!?」
その日、母さんは猫耳についての愛を語り続けた。
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