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追いかけっこ

オネェ魔族を倒してから数日がたった。

魔族を瞬殺した事が国中に響き渡り、ちょっとした有名人となった。

おそらく先生と俺のポジションが変わったのだろう。

そして今日は数日の間、戦ったことにより休日を貰った。

と、休日を貰っても特にこれと言ってやることが無いのでミーシャとティアを連れて街中を歩いている。

ミーシャとティアは傍から見れば同じ背丈で同い年と思われても不思議ではない。

なのでそんな幼い子供を二人連れている俺は幼女趣味の変態にしか見えない訳だ。

しかし、俺の顔を知っている人は多いので不審者がる人は流石にいなかった。


「どこ行きましょうか?アシュレイ様」

「ティアはどこ行きたい?」

「わ、私は、アシュレイ様が行く場所になら、どこでも」


俺がティアの顔を見ると、何故だか恥ずかしそうに顔を逸らす。

ここ数日その調子だ。

大丈夫だろうか?


「ぱぱー」

「ん?どうしたミーシャ」

「あそこなに?」


ミーシャが指差したのは宿屋・・・なのだが、そこにはカップルがイチャつきながら入っている様子が何組も見えた。

異世界にもあるんだな・・・ラ〇ホ。


「「・・・」」


俺とティアは黙ってその宿屋を見る。

正直に言う。

この場から逃げ出したい!!


「ぱぱ?」

「・・・ミーシャ、あそこは実はパパも知らないんだ、だから一回帰ろう、うん、そうしよう」

「ぱぱもしらないの?じゃあ、みーしゃいってみたい!!」


ガハッ

対処しきれない!!

ミーシャ、恐ろしい子!!


「アシュレイ様・・・」

「ナ、ナンダイ?」

「アシュレイ様が望むのであれば、私は・・・」


はい、アウトー。

俺のロリコン認定完了!!


ピコンッ


【アシュレイが称号・幼女に愛されし者を覚えました】


称号認定されたよ、おい。

見たくないけど一応詳細を・・・


【幼女に愛されし者】

【複数の幼女に好意を寄せられた者に贈られる称号、幼女に愛されやすくなる】


お、おう。

とりあえず、この状況を切り抜ける方法は・・・


「ティア、自分の身体を大切に使いなさい、以上」

「え?」

「さらばだーーーー!!」


強行突破、これしかない。

俺は走って逃げる。

ふふふっ、俺の俊敏力はBだ。

これについて来れるわけが・・・


「ぱぱー、おいかけっこたのしーね」

「おう!!ミーシャ、負けないぞ〜」

「わーい」

「・・・ミーシャ?」

「なーに?」

「・・・」


俺は隣で走るミーシャを見ながら、方向転換をして逃げようとする。

何故逃げるか?

あの様子だとまだラ〇ホに興味があるにだろう。

ここで捕まったらまずはラ〇ホについて聞きに来るだろう。

それだけは何としても避けなくてはならない!!


「ぱぱーまってー」

「いやーーー!!速すぎぃ!!」


すると目の前にさっき置き去りにしたティアがいた。

しまった!!ラ〇ホにまた戻ってきただとォ!?

まずい!!当たる!!


こうなったら・・・


「ティア!!」

「え?あ、アシュレイ様、きゃっ!!」


俺はティアを抱き上げてラ〇ホから逃げる。

足と背中を手で支え抱き上げる。

簡単に言えば、絵本のお姫様に王子様がする【お姫様抱っこ】って奴だ。

だってしょうがないじゃん!!

あのままだと避けきれなかったし、急に止まっても位置的にタックルする形になる。

つまり、抱き上げるという方法を取ったのだ。

ティアは素直な子だから、「アソコには近付いちゃダメ」とでも言っておけば大丈夫だろう。


「あははっ、ぱぱー、まってー」


それに反してミーシャは色々と物事に好奇心旺盛の時期だ(精神年齢的に)。

なので気になるものはたいてい「あれなにー」と聞いてくる。

俺はその度にちゃんと教えているが、ラ〇ホは無理だ。

童貞の俺にはレベルが高すぎる。


「あ、あの、アシュレイ様・・・」


ティアが恥ずかしそうに俺の顔を見上げてくる。

そりゃそうか、お姫様抱っこなんてなぁ・・・


ピコンッ


通知が鳴ったが今は見てる暇がない!!

何故なら・・・


「ぱぱーぱぱー」

「うおぉぉぉぉぉぉ!!なんでうちの娘はあんなに速いんだああぁぁ!!」


ミーシャがすぐ後ろまで迫ってきているからだ・・・

もう少しで捕まる!!

そう思っていたのだが・・・


「ぱぱ、はやーい!!」


それ以上距離が縮まる事はなく、同じスピードで走っているのだ・・・

どういう事だ?

まさか、何かのスキルか?


しかし、ミーシャも本気で来てるのは変わりない・・・

俺も本気を出さないと流石に追いつかれる・・・


「ぱぱー」

「は、速すぎる!!」

「アシュレイ様、あの、恥ずかしぃ・・・」


そんな調子で追いかけっこが始まったのであった。


◆◇◆夕方・王城(とある兵士said)◆◇◆


夕方になり、一日四回交代でしている門番の交代の時間が来たのか、同僚の兵士が来た。


「おーい、見張り交代だ」

「お、ありがてぇ」

「それより、知ってるか?今日城下町にありえねー速さで走ってる男女がいたって話」

「聞いた聞いた、なんでも速過ぎて通ったあとに突風が飛んでくるぐらいだったって噂だろ?」

「いたとしたら俊敏力がAな奴ぐらいだぜ」

「全くだ、まぁ、そんな奴いるとは思えんがな」

「だな、ハッハッハ」


俺と同僚が話していると、前からとんでもない速さで走ってくる人影が見えた。


「だ、だれだ!!」

「いや、あれは勇者様だぞ?」

「え?じゃ、じゃあここ開けとかないとな」


俺は退いて勇者様に挨拶をしようとする。


「勇者さ「ミーシャ!!ストップストップ!!」「ぱぱー、負けないよー」「わかった!!俺の負けでいいから!!」」


王城に目にも止まらぬ速さで入っていく。

そしてそれを追うように突風が吹く。


ビュオオオオオオ!!


「うわ!!」

「な、なんだあれ」

「もしかして、あの方が魔族を倒した勇者アシュレイ様か?」

「後ろにちゃんと獣人の娘もいたしな、おそらくそうだろう」


獣人の娘・・・とはアシュレイ様を追い掛けていた十歳ほどの獣人の女の子だろう。

確かミーシャと言っていたが、俺の同僚の兵士は【獣人の娘】と獣人を差別する奴ではなかったはずだ。


「おい、獣人の娘って差別するような言い方は・・・」

「いや、そういう意味じゃない、あの子はアシュレイ様の娘なんだよ」

「娘!?アシュレイ様は何歳だよ・・・しかもあの速さは明らかに・・・」

「あぁ」

「「俊敏力Aはあるだろうな」」

「けど、勇者って召喚された時はレベル一だったんだろ?数日でそんな・・・」

「確かにな・・・けど自分より強い奴を大量に倒せばあるいは」


そうして、アシュレイへの謎は深まっていくばかりだった。

ブックマーク、評価を暇な時にでも付けていただければ幸いです。

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